病棟の看護師さんのことで(心窩部痛)消化器科医に相談したいことがあった。連絡すると、中央処置室にいると言われた。
行ってみると、点滴室で比較的若い男性と話をしていた。25歳時から、急性膵炎で頻回に入院していた、現在39歳の男性だった。
3日前から心窩部痛が続いて、予約外の受診だった。検査では血清アミラーゼ・尿アミラーゼが軽度に上昇して、炎症反応も軽度に上昇している。
重症ではないと診たのだろう、造影まではしないで腹部単純CTで確認していた。膵頭部が少し腫脹しているようだ。周囲脂肪織の炎症像(浸出液貯留)もわずかだった。
膵鈎部に石灰化がある。胆膵を専門にしている病院に紹介して(消化器科医はその病院の出身)、内視鏡的に膵石摘出が行われてから膵炎を起こしにくくなっていた。主膵管は多分少し拡張して不整がありそうだが、現在は膵石除去を必要とする状態ではないだろう。
3年ぶりの入院となった。それほど長い入院にはならないのではないか。慢性膵炎の急性増悪になるが、この患者さんはアルコール性ではないので、増悪の原因はわからない。
この患者さんと、もうひとり現在36歳の男性が以前よく急性膵炎で入院していた。(2人いっしょに病棟に入院していたこともある)こちらの患者さんは、小児期から急性膵炎を繰り返していた。膵石灰化が著明だが、膵炎発作はずっと起こさなくなった。
現在は糖尿病で当方の外来に通院している。今のところは経口血糖降下薬で血糖コントロールできていて、インスリンは使用していない。(膵酵素補充でリパクレオンも使用している)
今回入院した患者さんはまだ代償期(腹痛、膵炎発作)で、こちらは非代償期(糖尿病、消化吸収障害)ということになる。小児期に大学病院で遺伝子検査をうけたことがあったが、その時は特に言われなかった。たぶん膵消化酵素に関連した遺伝子異常があるはず(今だったら証明されるかもしれないが、治療には結びつかない)。