スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

中野カップレース&矛盾

2024-06-25 19:00:00 | 競輪
 久留米記念の決勝。並びは新山‐菅田‐阿部の北日本,松浦‐田尾の中四国,伊藤‐嘉永‐山崎の九州で森田は単騎。
 菅田と阿部がスタートを取りにいって新山の前受け。4番手に松浦,6番手に伊藤,最後尾に森田で周回。残り3周のバックから伊藤が前との車間を開け始めると,新山も誘導との車間を開けて対応。残り2周のホームに入って伊藤が発進すると新山も突っ張って先行争い。バックで外から伊藤が叩き,森田も4番手に続いて打鐘。5番手に新山,8番手に松浦という一列棒状に。ホームから松浦が発進していきましたが,前に届く前にバックで嘉永が番手捲り。このラインに続いていた森田が単騎で発進。嘉永と森田の競り合いは森田が制して前に。嘉永マークの山崎は森田にスイッチ。このあおりで追い上げてきた松浦が外に浮いてしまい,内に戻ろうとしたところで菅田と接触して菅田は落車。単独の先頭で直線に入ってきた森田を,スイッチした山崎が楽に差して優勝。森田が半車身差で2着。松浦マークから直線で伸びた田尾が4分の3車身差で3着。
 優勝した長崎の山崎賢人選手は昨年4月にいわき平のFⅠを優勝して以来の優勝。2018年の取手記念以来となる記念競輪2勝目。2018年というのはまだ新人選手賞の権利があった頃で,そのカテゴリーの選手が記念競輪を制するというのはなかなかの快挙なので将来に期待していました。その後は大きな実績を残せていなかったのですが,競技を中心に。今年の競輪の初出走がこの開催でしたから,競技に集中したことがプラスに作用したのではないかと思います。この開催のレースをみると,以前よりも器用に立ち回れるようになったという印象なので,また競輪でも注目できるのではないでしょうか。嘉永は展開は絶好でしたが,捲って出たときのスピードがいまひとつで,そこは課題でしょう。森田はいいレースをしたと思いますが,現状は力で山崎に及ばないということなのではないでしょうか。

 自然権jus naturaeを放棄するということと,自然権を自制するということが同じ意味になってしまっているということは,ホッブズThomas Hobbesの『リヴァイアサンLeviathan』における議論に該当させると,設立によるコモンウェルスと,獲得によるコモンウェルスとが混同しているということであると國分は指摘しています。僕はここではホッブズの国家論について考察するつもりはまったくありませんから,國分がそのように指摘しているという以上のことは何もいいません。それがホッブズの探求に照合させたときに妥当なものであるのかないのかということに関心がある場合は,ご自身でお考えになってください。いずれにしても,放棄することができない力potentiaを放棄せよということをホッブズがいっているのは事実なのであって,その点でホッブズの議論に曖昧さが残ってしまっているのは間違いありません。もし自然権に対して人びとがなし得ることが,その力の行使を自制するということだけだとなると,たとえ国家Imperiumが成立したとしても,その国家の成員が自然権を行使してしまう可能性が残ることになります。これはホッブズがいうところの自然状態status naturalisにほかならないのであって,国家の状態においても万人の万人に対する闘争状態が解消されていないことになります。
                                        
 ホッブズはこのことを恐れていて,スピノザはその矛盾を見逃さなかったと國分はいっています。ホッブズが自身の議論の曖昧さを恐れていたかどうかは何ともいえませんが,スピノザがそこに矛盾があることを見抜いたのはその通りだといえるでしょう。
 この矛盾から目を背けないということは,各人が自然権を放棄することはできないということを前提として国家論を構築するということです。ですからスピノザは,自然権に反することなく社会societasが作られることを目指します。いい換えればそれは,ホッブズが指摘したこと,すなわち法lexの概念notioと権利の概念を分けなければならないということに従いつつ,その概念をホッブズとは違った仕方で,國分のいい方に倣えばホッブズよりも上手に扱って,より整合的な解釈を提出することになるのです。
 このことによって最も影響を受けるのは,社会契約の概念であることになります。

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