アラン・シャバ監督『ディディエ』1997

「ディディエ！」
ディディエはどんどん走って行ってしまう。
飼い主さんが呼んだって振り向きもしない。
そして一回の散歩で４回くらいウンチをするので、飼い主さんは気が抜けない。

ディディエって何語ですか？どういう意味？
と、自分の犬の名前がジーロだと言うとよく聞かれる質問をしてみた。
「フランスの男の人の名前らしいです。
映画が有るんですよ。ディディエって名前の犬が人になっちゃう。
オス犬の習性そのままだから、サッカー選手になって活躍するっていう。」

へえ！
落語に「元犬」ってのがありますよ。
神社に棲み付いている野良犬が願をかけて人になる。
裸でうろうろしているところを商人に拾われるけど、
動作が犬のまんまでおかしいって噺。

「そうそう、その映画でも、人なのに椅子に座る前にぐるぐる回るの。
オス犬を飼ってると、ああ！わかる！っていうのがいっぱい有る。
そんなに特別笑えるって映画でもないんだけど。」

借りて、観た。
ＤＶＤになっていない。
「ＶＨＳしか無いんですよ。」
我が家のビデオデッキは健在である。

なるほど、特別笑えるというほどでもないし、
特別ココロ温まるってんでもないし、
特に感動することもない。
「人間になった犬がフランスを救う
サポーターはあなた。感動の拍手を」
なんてパッケージに書いてあるけれど、大袈裟ですよ。

ただ、犬が好きなら楽しめる。
あははは、あるある。で、いいのだ。
犬のディディエを預かった男が、
裸で家の中に突然いた言葉のしゃべれない男が
ディディエの変身したものだということに気付いて、
受け入れるスピードがなかなか滑稽である。
無理が有るだろ。で、かまわない。

ＶＨＳのビデオデッキとヒマが有るなら、どうぞ。