町蔵来る

[あらすじ] 私には、誕生日の違う三つ子の姉と弟がいる。

引性と言おうか、偶然なのか虫の知らせなのか、
ブログに三つ子の事を書いたら、その日の昼前にヒョイと町蔵が現れた。

「ジョージアに行ってきた。やっぱ英語は通じないな。」
ジェイムズ・ブラウンが育った町でも見て来たか。
ＪＢのドキュメンタリーを見ても、訛りがキツくって何を言ってるのか聞き取れないもんな。
と思ったら、
「貴腐ワインじゃなくて悪いけど。」とグルジア・ワインを差し出す。
ありゃ、そっちのジョージアか。

いいなあ、民謡は聴いてきた？
「聴いたぞ、本場仕込みだ。」
そう言って私がリクエストした『スリコ』を歌ってくれたが、
記憶を消したいくらいひどいものだった。私のスリコを返せ。

町蔵は、カメラを持たない。
メキシコの愛子さんの写真というのも、自分が行ったその時に撮ったものではなく、
７番目の孫の誕生祝いに写真屋に撮らせたものだそうだ。

しかし律儀になのか余り物なのか、来る時には何かしら土産は持参する。
どこかの国へ行ったら必ずその後にやって来るわけでもないので、
律儀ではないか。
タイミングか、気まぐれか。

アップしたばかりのブログを読ませると、
「なんだこれは。まるで俺の説明になっていない。
これじゃす～さんの親父さんが他の女に子どもを産ませたと思われるだけだろう。
訂正記事を書け。」
えー、別にこれでいいと思うけどな。
実際、私が母の胎内にいる間に、父はどこぞの女と関係を持っていたという話だし。

でもきょうだいだよなあ？
「それはそうだけど、まあ、姻戚関係とでも書いておけばいいんじゃないか。」
姻戚関係？・・・なるほど。うまいこと言うなあ、町蔵は。

つづく