16.サンフランシスコへ
初めて海外での国内線だが、特にどうということは無い。Country Music でも聴きながら、読めない機内誌を見て過ごす。コーヒーをもらう。席のテーブルが壊れている。コーヒーの味はちゃんとしている。他の米国の航空会社のそれは、黒っぽいお湯というべき代物であった。出発が2時間も遅れたが、1時間半でサンフランシスコ到着である。鉄道では約12時間を要したから、速さは比べるまでもないけれど、車窓を楽しめる鉄道の方が旅は楽しい。食堂車もある。
1時間半で着いたものは仕方ない。初めてサンフランシスコに着いた時、つまり初めて外国に着いた時は、何とも不安で恐ろしくもあり、2時間ばかりこの空港から出られなかったが、場数を踏んだというか、やけくそなのか、今日は平然とバス乗り場を探す。バスに乗る前にアメリカン航空のカウンターで、帰りの便の予約再確認(Reconfirm)をする。出発の2時間前迄に来るようにいわれる。ちなみに出発時刻は午前8時35分なので、午前6時35分迄になのか。この時期のサンフランシスコのこの時間は夜明前である。
バス乗り場に行くと、ダウンタウンへの便と、もよりの鉄道駅への便があり、もちろん鉄道駅への便を利用する。そこにいた女性にこの乗り場でよいのか尋ねる。ダウンタウンへ行くのに何故直通バスを利用しないのか逆に尋ねられる。今になって思えば、尋ねられたのではなく、直通バスを薦める、英語の言いまわしなのだ。わざわざ鉄道に乗り換える理由を説明するのは日本語でも難しい。
SamTrans 運営のバス(運賃$1.10)でBART(San Francisco Bay Area Rapid Transit District)の駅 Colma へ。BARTはAMTRAKと違い、文字通りベイエリアの高速で結んでいる鉄道で、電車である。前回サンフランシスコを訪れた時には Daly City までの営業だったので、そこまで乗車しているが、1駅空港よりの Colma まで延伸開業している。これに乗らなければならない、と英語で説明する力は私にはない。
自動券売機で Colma から Powell St までの切符($2.25)を買う。LAのMTAより高い。自動券売機は、とてつもなく大きい。自動改札機を通り、ホームへ。車内に入るとカーペット敷きで落ち着いている。乗り心地も申し分なく、加減速もスムースだ。市の中心部に入ると地下区間となる。そのまま海底トンネルとなり、湾の対岸の Oakland 方面と結んでいる。今日は対岸には渡らずにPowell St で列車を降りた。 (つづく)
※現在、BARTは空港まで乗り入れています。