旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

ラム酒について

2007-06-02 18:15:22 | 

 

 ハリケーンというカクテルは、バーボンなどのスピリッツをベースにミントやレモンを入れて作られたものの総称のようであるが、ニューオルリーンズのハリケーンは、ベースはラムである。
 ラム・・・、これこそカリブ海やメキシコ湾を想起させ、ニューオルリーンズの明るい雰囲気にピッタリだ。なにせ「砂糖の搾りかすの糖蜜やサトウキビの搾り汁」を原料とする酒だから・・・。

 成美堂出版の「おいしい洋酒の事典」によると、ラムは
ヘビー・ラム――上記の原料を酸醗酵により自然発酵させ、単式蒸留器で蒸留し、バーボンなどと同じく内側を焦がしたオーク樽で3年以上熟成する。
ライト・ラム――原料を純粋培養酵母で短期醗酵し、連続蒸留器で95度未満まで蒸留、加水後、焦がしてない樽で熟成、濾過する。活性炭処理をしたものがホワイト・ラム
ミディアム・ラム――醗酵は自然発酵によるが、ヘビーとライトを混ぜたり、カラメルで着色したりしたもの。
 の三種類に大別される。

 つまり私は、日本の焼酎で言えば、ヘビー・ラムが乙類焼酎(本格焼酎)で、ライト・ラムは甲類焼酎(工業食品)と思っている。

 ニューオルリーンズ最後の晩、とあるレストランでフィレ・ステーキなどを食べながらハリケーンを注文し、運んできたウェイターに「このハリケーンには何種類のスピリッツが入っているのか?」と、たどたどしい英語で訊ねた。すると、かのウェイターは胸を張って、
 「Three kinds of spirits
、three rums・・・(三種類のラムが入っている)」
と答え、よくぞ聞いてくれたとばかりに、自店のハリケーンについて自慢を始めた。私の英語力では、その全てを理解することは到底できなかったが、とにかく、それぞれの店が独特の調合をしておらがハリケーンをつくっていること、また、この地の人たちがラムに限りない誇りを持っていることが聞き取れた。

 酒はやはりその地のものである。
                            
                                        


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