旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

列車の旅

2007-06-13 21:42:42 | 

 

 ワシントンからニューヨークへは列車で行った。確かメトロライナーとかいう特急クラスの列車で、3時間ぐらいで行ったように記憶している。十数年前の話なので、今はもっと早い列車などがあるのであろう。
 しかし、交通機関というものは、ただ早ければよいというものでもない。外国旅行は飛行機を乗り回すことが多く、移動しながらゆっくりその地を楽しむことが少ない。その点、列車のスピードは楽しい。バスでも良いが、ゆっくりとしたコンパートメントで仲間と向き合い語り合いながら、初めての土地の風景を追うのは旅の醍醐味である。
 ヴェニスのサンタルチア駅を発ってヴェローナまで往復した汽車旅も楽しかった。なにせ、水上タクシーで運河を走り列車に乗り込むこと自体が、ヴェニスならではのことである。
 中でも思い出深いのが、サンクト・ペテルブルグからヘルシンキまでの汽車旅。なんといっても列車の名前がシベリウス号(シベリウスはフィンランドの大作曲家)であることが、ヘルシンキに向かう気持ちを高ぶらせてくれる。とくにロシア領を抜けてフィンランド領に入るや緑の量が厚く、森と湖の国を走っている充実感があった。 
 出発前から読み始めた『カレワラ』(ギリシャの『イーリアスとオデュッセア』、日本の『古事記』などに匹敵する壮大なフィンランド叙事詩)後編のページをめくりながら、私は車窓を移ろう美しい景色にどっぷりとつかった。

 ワシントンのユニオン駅を出発した列車が着いたところは、ニューヨークのど真ん中ペンシルバニア駅。しかし私にとって思いで深い駅は、これまたど真ん中のグランドセントラル駅・・・・・・。なぜなら、そこに有名なオイスター・バーというレストランがあり、われわれはニューヨークに行く度に、そこでオイスターやロブスターを食べながら宴を張った。広大な食堂で、大勢の人たちがワイワイガヤガヤ食べたり飲んでいたりしている雰囲気もアメリカ的だ。
 北欧などとは全く違う雰囲気だが、それぞれの国柄が表れるので楽しいのだ。
 次回から、アメリカにおける「日本酒事情」について。
                            


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