旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

外国で飲む日本酒(その3)

2007-06-20 21:28:05 | 

 

 日本人は「混ぜもの、イカサマ日本酒」を飲み、外国人は「本物の日本酒--純米酒」を飲んでいる!
 これは許せない! と思い、帰国後、最も尊敬する日本酒の大家穂積忠彦先生に問いただした。
 「先生、初めてアメリカに行ってきたが、驚いたのはアメリカ人は日本清酒の純米酒しか飲んでいない。日本で純米酒を探すのは大変だ。日本の国酒を、日本人はニセモノを飲まされ、外国人は本物を飲んでいるとは何事ですか!」
 ところが、かの穂積先生は平然として言ってのけた。
 「首藤さん。アメリカ人が純米酒しか飲んでいないのは当然です。アメリカ・・・というより外国では『日本酒とは純米酒(米だけで醸造された酒)』とされているからです。アルコールや水飴、味の素などの入っている酒は、日本酒として認められていません。首藤さんの怒りは、的を外れています。」
 これには、またまた驚いた。
 「それはないでしょう、先生!・・・」
 と声を張り上げたが、よく考えてみれば納得だ。
 ブドウの醸造酒はワインだ。大麦の醸造酒はビールである。わが日本清酒は「米の醸造酒」と言うことになっている。醸造酒として見るならば、「日本清酒は純米酒」でなければならない。その他の蒸留酒(醸造用アルコールは当然ながら蒸留酒)などが入っておれば、それは別物--つまり雑酒の類となるのであろう。

 こうして私は、酒の勉強を深めていったのである。
 なお、90年代のアメリカでは、日本酒としてたくさんの本醸造や大吟醸が並ぶようになった。ニューヨークの居酒屋(日本酒バ-?)『蔵』などはその典型である。それらの酒が、清酒として輸入されたのか、雑酒と処理されたのかは調べる必要がある。
 いずれにせよ、あいまいな国民はあいまいなものしか飲んでいないのではないか・・・これがその時の強烈な印象であった。
                             


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