ワシントンの中心は、モールの中央にそびえアメリカ独立の英雄を称えるワシントン・モニュメントで、その周辺にアメリカ建国の歴史を語る建物が幾何学的に配置されている、と書いた。その中のジェファーソン、リンカーン、ケネディに触れておく。
・ジェファーソン・メモリアル
モニュメントの南方に位置するこの白亜の殿堂は、巨大な建物であるがその中にはジェファーソンの立像(約10メートル)以外に何もなく、立像を囲む壁には彼の言葉が刻み込まれている。
その中で、ひときわ眼を惹くのが言うまでもなく独立宣言の一説である。
「・・・全ての人は平等に創られ、誰にも譲ることのできない権利を、神により授けられた。すなはちそれは、生命、自由、幸福追求の権利である。・・・」
・リンカーン・メモリアル
モールの西端ポトマック河畔に建つ、これまた白亜の殿堂であるが、この中にも椅子に座したリンカーン像(約5.8メートル)のほかに何もなく、彼を囲む壁の南壁には、分裂国に再結集を求めたあのゲティスバーグの演説が刻まれている。
「神の下に、この国は新しい自由の誕生を経験し、人民の人民による人民のための政治が、この地上から消えないように・・・」
・アーリントン墓地のジョン・F・ケネディの墓
リンカーン・メモリアルから、なお西にポトマック川を渡るとアーリントン墓地がある。その中のジョン・F・ケネディの墓には、「永遠の火」が燃え続けている。そしてそのそばに、1961年の大統領就任演説から、次の言葉が引用され刻まれている。
「そこで、わがアメリカ人よ。国があなたに何が出来るかを尋ねてはいけない。あなたが国のために何が出来るか、を問いたまえ。わが世界の同住人よ。アメリカがあなたのために何が出来るかではなく、われわれが協力して、人間の自由のために何が出来るかを問いたまえ」
私は、これらの施設を回り、それぞれの言葉に触れて、改めてこれらの人物の果たした役割とスケールの大きさに、思いをいたしたのであった。