リヨンは美しかった。美しい、という表現では言い尽くせないので「麗しきかな」としたが、それでも言い足りない。筆舌に尽くしがたいとはこのことだろう。
友人セルジュ君が何度も「リヨンに来い」とメールしてきた理由がわかった。彼は、当初パリに行く予定の私たちを「なぜパリなどに行くのだ。フランスで最も美しい町はリヨンだ。なんとしてもリヨンに来い」と強引に誘ってきたのだ。半ば眉唾で行ったが、彼の言葉がどんなに正しかったかとつくづく思った。
町を案内しながら、美しさに感嘆する私たちに、彼は胸を張って
「俺はこの町で生まれ育った。親もここで育ったのだ!」
と何回も言った。彼が自慢するに十分値する町の景観、歴史の重み、それを大事に守ってきた人々の功績に感動しながら、同時に、自分の町にこれほど誇りを持てる彼をうらやましく思った。
私たちはいつの日か、セルジュ君のように誇りうる日本を築くことができるのだろうか……?
07年10月1日