旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

ホフブロイハウスーー狂乱のビアホール

2007-10-27 18:27:51 | 

 

 ミュンヘンに行くなら、ホフブロイハウスにだけは行きたいと思っていた。オクトーバーフェストの開催に関係なく、このビアホールには何としても行かねばならない、と心に決めていた。
 
これを知った友人は、早速予約を取ろうとしてくれたのであるが、如何せん! オクトーバーフェストの最中とあって超満員、相当に苦労をしていただいたようだが、たまたま3階のショーのある部屋にキャンセルが出て予約できた。幸運を神に感謝するのみ。

 ホフブロイハウスは、1589年、時のバイエルン公ヴィルヘルム五世が、お抱えのビール醸造所として開設したものと聞く。その後、一般市民にも開放され、続いて居酒屋が増築され、現在は世界に名だたるビアホールとして、その名をとどろかせている。
 
われわれは3階のショー(バイエルンの民族ショー)の行われる部屋であったが、これとて数百人は入っていたと思う。谷克二著『ドイツ名景の旅』(河出書房新社)によれば、「大テーブルが並ぶ地下ホールは1000人収容できるし、(中略)・・・350人の客を受け入れる〈トゥリンク・シュトゥーベ〉、180人が入る〈桶屋のホール〉、宴会のホールは400人から1300人までと大小さまざま・・・」(同書p41)とあるので、毎日数千人の客を飲み込んでいるのであろう。
 
3階はショーを見ながらということもあって比較的静かな方と思われたが、それでも、誰彼となく肩を組んで唄い、椅子の上に立ち上がり歓声を上げながら“1リットルジョッキ”を掲げて飲みまくる。何せ“ホフブロイ・オリジナルビール”は1リットルジョッキしかない。私はいろいろ飲みたいので、中ジョッキはないかと聞いたが、1リットルしかないと言う。先ず、飲む単位が違うのである。因みに1リットルと言うのは6合近い量である。

 帰りに1階のホールを覗いたところ、ジョッキの林立と喧騒は、3階の比ではなかった。「飲んで騒ぐ」という一つの目的だけに全員が統一されているかに見えた。
 
そういえば、このホールは「ナチの発祥」に関係がある。19202月、ナチの前身であるドイツ労働者党が旗揚げしたのがこのホールという。ヒットラーはその後も度々ここで演説をしたらしい。
 
まさにそのような雰囲気が充満していた。

                                    


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