旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

秋田の一番いい季節「六月」を満喫

2009-06-15 15:59:45 | 

 3ヶ月ぶりに秋田を訪ねると、入梅宣言はいつか、などのうっとうしい気分とは裏腹に快適な季節であった。
 12日午後2時秋田空港着。空港から秋田駅までのバス、秋田から八郎潟までの列車の車窓には、かなり緑を濃くした稲が水を張りつめた水田に勢いよく伸びていた。そして夕刻八郎潟に近づくにつれ、空は明るく晴れてきた。

 翌朝、旅館の窓を指し込む明るい日差しに目を覚ます。宿を出る頃(10時)、にわかに掻き曇ってポツリと来た感があったが、その雲も瞬く間にかき消され、快晴の空が広がる。
 実は今年の一月から『秋田歳時記』なるものを書きつづけているのだが(「こめたび」ホームページ所収)、この「六月」を“緑濃く最高の季節”と題して、「秋田の6月は、一年で一番いい季節」と書いた。もちろん、私の独断で書いたのではなく、かなり多くの人に取材して書いたのだが、私は、ほんとうに「そんなに良い季節なのか?」と一抹の不安を感じていたのだ。
 ところが、この1214日の3日間で、その快適さを満喫した。13日は、八郎潟町のK先生に“秋田の歌碑”などの資料と貴重な話を聴き、昼食を兼ねた某寿司屋の主から“はたはた漁”の話を聴き、車を秋田市に飛ばして「竿灯資料館」で説明員の方に竿灯の歴史、実演、映像を通した話を聴き、リーフレットや本を買い込む・・・という取材を続けた。
 そこから、その日の宿「ゆぽぽ山荘」(わらび座の山荘)に向かったが、角館を過ぎ田沢湖を遠目に、駒ヶ岳の中腹まで上るその行程は、高く青い空に伸びる木々と、濃い緑に包まれていた。空気は怜悧で、半袖シャツでは薄ら寒さを感じるくらいであった。
 翌日も最高の天候で、乳頭温泉の一つ黒湯で“快晴の下の露天風呂”に浸かった。湯の花の浮く湯船に四肢を伸ばし、真っ白な雲、真っ青な空と調和する深い緑をいっぱい吸った。

 6月のど真ん中・・・、自ら書いた「緑濃く最高の季節」、「一年で一番いい季節」を肌で実感しながら、私は心の底から満足した。

 しかし待てよ? そう世の中うまく行くのかなあ? これは、大して分かってもいないよそ者が折角「良い季節・・・」などと書いたのだから、せめてそ奴が来た時くらい心地よくしてやるか・・・、という天の計らいであったのかもしれない。
                                                               


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