旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

24節気の酒 ・・・ 夏至

2009-06-21 17:39:34 | 

 今日は夏至。一年で一番昼の長い日とされている。冬至から見れば、今年も半分が終わったのだ。つまり夏のさ中というわけだ。
 しかし日本の夏至は梅雨の季節にあたり、じめじめとして夏という気がしない。今日も朝から雨で、夏の気配はない。

 この時節の酒は何か? 一年のほとんどを日本酒で過ごす私も、この時期はカラリとした焼酎が欲しくなる。六月の酒は焼酎(しかも本格焼酎)ではないか?
 焼酎もまた悲しい戦後史を生きてきた。日本酒が、美味しくない混ぜ物清酒でシェアーを激減させてきたように、焼酎も「甲類焼酎」という似て非なるものにシェアーを奪われてきた。甲類焼酎は連続蒸留器で100%まで蒸留したものを、薄めて味付けしたものであるので、本来の素材(芋とか麦とか)の味は生きていない。本来の焼酎(本格焼酎)は、ポットスチル式の単式蒸留で素材の味を残し生かしたものだ。ところがこれが「乙類焼酎」と分類され、長く日陰を歩いてきた。
 誰でも乙より甲が上だと思う。そして飲んだ甲類焼酎を本物と思われてはたまらない。これに対し、「これぞ本物」と本格焼酎を押し出してきたのが近時の焼酎ブームだ。芋のとれる鹿児島は芋の味を生かし、米の豊富な熊本は米焼酎を、麦の多い大分などは麦焼酎をと個性を打ち出した。このような個性的な味は甲類焼酎には生まれない。

 そしてこの本格焼酎ブームを不動のものにしたのが『森伊蔵』であろう。これまで随分飲んだが、その生い立ちを思うとなお更名酒と思う。長くなったので詳細は次回に譲るが、今や国内外に名をはせ、JAL国際便の土産品にもなったその品を先日飲んだので、写真だけでも掲げておく。
                    


投票ボタン

blogram投票ボタン