エジプトの政情がようやく落ち着きの方向に向かうようだ。何とか軟着陸して民主的な国になってほしい。
エジプト大統領というとナセルという名前が強烈に残っているが、近時はムバラクという名が通っていたので、エジプト大統領とは思ってはいたが、30年間も独裁を続ける大統領とは、最近の事件で初めて認識した。アラブの王様は長期にわたって国を治めているという印象はあったが、21世紀の時代に30年の独裁政権がのうのうと続いている現象には、改めて違和感を持った。
しかも、30年前に政権の座に着いた時の非常事態宣言を未だ解除しないままに維持してきたなどは、議会制民主主義の中に身をおくものには想像を絶する事態だ。
権力の座というものはそれほど魅力のあるものなのか、このムバラクの引き際も見苦しかった。30年も独裁を続け、そろそろ退陣せよと国民があれほど求めるのだから、もうちょっと物分りのよさを発揮しても良かろうと思うが、そうは行かないのが権力というものだろう。
とり巻きもとり巻きで、国民の声を早く察して退陣の準備を進めておれば、それこそ「名誉ある撤退」の方法などいくらでもあったと思う。30年も時間があったのだから・・・。しかしこれまたそうは行かないのであろう。とり巻きはとり巻きで美味しい汁をすすっていたのであろうから。
日本の権力争いも嫌気がさしてきた。何とか政権を維持しようという思いから小沢一郎のような男を切ることもできない菅政権。それを攻める自民、公明など野党も、相手のミスや弱点を突いて退陣に追い込む、つまり政権奪還だけを目指して国民生活に目を向けようともしない。民主党に向かって「お前は国民に支持されていない」という自民党の支持率もせいぜい20%強に過ぎない。目クソ鼻クソを笑う低次元の言い合いで、これほど苦しい国民生活を救う法案審議もそっちのけだ。
かつての政権の座にあった自公は、その「美味しさ」を知っているので、何はともあれ民主党を退陣させて権力の座に帰り咲きたいのであろう。
言っておくが、国民は民主党に愛想をつかしているが、自民も公明も支持しているわけではない。自分たちの政党支持率を見れば分かるはずだと思うが、それに気が付かないのが権力亡者のゆえんかもしれない。