昨日は、二つの裁判で司法の画期的判決が示された。一つは大飯原発の運転差し止めを求める訴訟に対する福井地裁の「差し止めを命じる」判決、もう一つは、厚木基地の騒音被害に対する夜間飛行の禁止と損害賠償を求める裁判で、横浜地裁が下した「自衛隊機の夜間飛行禁止と、国に70億円の損害賠償を支払う命令」である。
後者においては、米軍機の飛行禁止に至らない問題点を残したが、いずれにせよこの二つの判決は近来ない画期的な判決であった。
特に大飯原発問題では、「安全性に欠陥」という原発が抱える根本問題に言及した判決であった。その判決を伝える垂れ幕に、「差し止め認める」というものに加えもう一枚、「司法は生きていた」と書かれていたのに私は感動した。
安倍政権の登場以来政治の右傾化が激しいが、同時に、予てから言われてきた司法も保守化右傾化を強めているのではないかということを心配していた。しかし、裁判官の良識、良心は消えてはいないのだ。当然のことではあるが…。
民主主義の基本は三権分立にある。与党自公が圧倒的議席を占め、なぜか安倍政権の支持率も高率を保っている中で、その政治にブレーキをかけるのは司法の良識であろう。
「司法よ 生きていてくれ」、この願いを強くする二つの判決であった。
「5月22日付毎日新聞一面トップ」より