娘のオペラ公演が続いている。
4月、京王電鉄の後援を得て聖蹟桜ヶ丘のホールで「愛の妙薬」。5月は、昨年の「ラ・ボエーム」に続く岩田達宗演出第2弾の「カヴァレリア・ルスティカーナ」、6月は愛知県田原市の二つの小学校からのお招きで再び「愛の妙薬」、…そしてこの7月26日(日)、小金井市民交流センターでの「ジャンニ・スキッキ」。
例によって手作り公演の準備に追われ、娘は「死ぬ思いだ」と言いながら猛暑の中を頑張っているが、この「ジャンニ・スキッキ」で今年の公演は早くも打ち上げ……。しかも今回は、エルデ・オペラ管弦楽団とのジョイント公演であるのでオ-ケストラ付き公演となり、その楽しみも加わる。
この「ジャンニ・スキッキ」は、5月の「カヴァレリア・ルスティカーナ」と打って変わって楽しい喜劇。死んだ大富豪に成りすまして公証人に遺言を口述筆記させ、膨大な遺産をだまし取る話だ。
富豪は、全遺産を修道院に寄付するよう遺言状にしたためいたが、それを知った親戚一同は、「何で坊主だけが肥え太るんだ」と悲しんでいる。そこに現れたのがジャンニ・スキッキ、知恵を働かせて遺言状の改竄に及ぶのだが、周囲の親戚一同を「遺言状の偽造の罪は、片腕切断の上フィレンツェ追放と重い。そうなりたくなかったら私に従い、一切他言は無用」と脅して、資産の大半を自分の名義としてだまし取る。
面白いのは、このけしからん話の題材が、かのダンテの『神曲』地獄篇第30章であるということだ。だから、このオペラの「時と場所」は、1299年9月1日のフィレンツェとなっている。今から700年以上も前の話だ。大詩人ダンテは、『神曲』を書きながらも、遺産を神の世界をつかさどる人に与えるよりも、現世の人間に与えて楽しんでもらった方がいい、と考えたのかもしれない。
猛暑が予想される時節、暑気払いには格好のオペラではないか? 大好きなアリア「私のお父さん」(ジャンニ・スキッキの娘ラウレッタが歌う)など、楽しみにしている。
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