旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

10年目に向かう「純米酒フェスティバル」(2)

2008-10-08 17:33:44 | 

 

 これまで何度も書いてきたように、外国で酒を飲む場合に銘柄も告げないで注文することなど先ず無い。ビールだろうがウィスキィだろうが銘柄指定の注文だ。ワインにいたっては、指定したワインをウェイターがビンのまま持参し、ラベルを見せて間違いないか再確認し、更にグラスに少し注いで注文者にテイスティングをさせ、注文者のOKを得て初めて卓上に出される。
 ところが日本においては、テイスティングどころか銘柄も告げずに「お酒」と注文し、出された中身がどのような酒かを確かめもしないで、とにかく出されたものを黙って飲む習慣が長く続いていたのだ。
 その原因は、アル添三増酒にあっただろう。アルコールを添加し水飴を混ぜ、調味料で味付けしたこの酒は、何処の蔵が造ってもほとんど味の差はない。だから、あえて銘柄を問う必要もなかったのだ。ビールでも、米やスターチ(でんぷん)やコーン(とうもろこし)の入った日本のビールは、何処の会社の製品もあまり差はない。よく「おれはキリンしか飲まない!」などと言っている人が目隠しテストをされると、どれがキリンか当たらない例が多い。
 ところが、純米酒を中心に個性的な日本酒が多くなり、ビールにしてもモルツビール(麦芽とホップのみの本物ビール)や地ビールの登場などにより、銘柄により差が出てきた。
 ここに、銘柄が重視され、酒の種類(純米酒や吟醸酒や山廃酒など)が要求され、飲み屋もそれを表示するようになったと思われる。これが大変化だと前回書いた。

 次はテイスティングが問題になるのではないかと思っている。ワインのように、「自分の頼んだものが本物か」または「劣化などしてないか」を確かめて注文するようになると、いよいよ本物になるのではないか。いよいよ良い酒だけが求められてくるだろう。味見をすれば、美味しいものを選ぶに決まっているから。
 また、その日の肴や食べ物に合わせて、「それに合うものをテイスティングして選ぶ」ようなことになると、酒文化はもっと花咲く。お店の側も、その日の推薦食品を勧め、それに合う酒をテイスティングさせて推薦するぐらいになると、酒と食の世界はもっと楽しいものになるだろう。
 ワインの国がやっていることを、そろそろ日本でもやる余裕が出てきていいのではないか。
                          

                        


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