娘が心血を注いで取り組んできたオペラ公演が、ようやく、しかも好評を得て終わった。昨年の「ボエーム」に続く岩田達宗氏演出の「小劇場演劇的オペラ」の第2弾で、娘とそのスタッフ(オペラ普及団体ミャゴラトーリ)は、文字通り心血を注ぎ込んで取り組んできた。その姿を日夜見てきた私は、果たしてオペラは出来上がるのだろうか?…と不安を抱く日々が続いた。
財力のないミャゴラトーリとしては、制作趣旨に賛同してくれる出演者のキャスティング交渉から、舞台衣装や大道具小道具作りまで、全て手仕事だ。我が家の駐車場は、使用する大小さまざまな十字架を作る作業場と化していた。昼間は道具類を造り、夜は練習に出かけていた。しかもその練習場も、費用の関係から転々と場所が変わる。娘は毎夜、疲れ果てて深夜に帰ってきた。
しかし、その公演は見事に成功したのではないか!? わずか300席未満の牛込箪笥ホールではあるが、舞台、客席、通路を目いっぱいに使った演出は、出演者と観客が文字通り一体となった「小劇場演劇的オペラ」の真髄を見せつけたのではないか?
並河寿美(サントゥッツァ)、青柳素晴(トゥリッドゥ)、大沼徹(アルフィオ)ほかソリストたちの抜群の歌唱力は観客を魅了した。日本一の歌手たち、と言っていいのではないか。また舞台から客席後部まで広がった30人の合唱隊も素晴らしかった。娘が一人ひとりお願いして集めた合唱隊だ。うちプロは4人というからアマチュア合唱隊と言っていいほどであるが、私はその素晴らしさに感動した。恐らく岩田氏のカリスマ性がその素晴らしい統一力とハーモニーを引き出したのであろう。
終わった後、会場を埋め尽くした観客の拍手は鳴り止まなかった。私もずいぶんたくさんの公演を見てきたが、久しく経験しなかったほど強く、長くつづく拍手であった。
娘の努力は報われたのであろう。私は専門家ではないので分からないが、オペラ史に新しいジャンルを切り開きつつあるのではないか?
いつもながら素敵な Mariさん原画、太田さんデザインのチラシ
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