憲法改正手続き
古代ギリシャのある法律は、次のような命令とともに発せられた。「この法典の改修を発議せんと欲する者は、頚(くび)に一条の縄を懸けて議会に臨むべし。もしその議案にして否決せられたるときは、発議者は直ちにその縄をもって絞殺の刑に処せらるべきものなり」▲穂積陳重の「法窓夜話」にある話で、著者は「議員たるものは宜(よろ)しく頚に絞索(こうさく)を懸けたくらいの気持ちになって、真面目(まじめ)に立法参与の大任を完(まった)くしてもらいたいものだ」と評している。この命令をした人物はよほど法の改正を阻みたかったのだろう▲首に縄まで要らないが、国の根本規範である憲法もその改正に普通の法律より厳しい手続きを課している国が多い。その改正しにくい憲法を「硬性憲法」と呼び、改正の発議に国会議員の3分の2以上の賛成が必要な日本国憲法もこのタイプである▲ただいくら改正条件が厳格といっても、その手続きを決めた法律がないために改正不可能というのでは「硬すぎる」といわれても仕方ない。国会の発議を受けて行われる国民投票の手続きを初めて定めた国民投票法の与党案が衆院特別委員会で可決され、きょうにも本会議を通過する▲投票年齢を「18歳以上」とし、9条なら9条というテーマごとに投票にかける「個別発議」を掲げた与党案である。ただ改憲に必要な「過半数」とは有効投票の過半数で、また投票成立に必要な最低投票率が定められていない点には改憲反対派などから「軟らかすぎる」の声も出る▲首相が憲法改正を参院選の争点にする意向を示す中、どうも成立しそうな憲法の“軟化”である。では国民一人一人が「立法参与の大任」の票を投ずる日はやってくるだろうか。その日には首に縄をかけた気持ちになるだろうか。
毎日新聞 余禄 2007年4月13日 0時13分
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毎日新聞も流石に「平和憲法を守るため国民投票法案成立を阻止する」なんてバカげたことは言っていない。
ということは「国民投票法案の成立」そのものには賛成なんでしょう。
>どうも成立しそうな憲法の“軟化”である。
“軟化”と言うより今までが「硬すぎた」わけで改正の手続きである国民投票法案のない憲法なんてコンクリートで固めたようなものだ。
今朝の琉球新報はウェブサイトでは触れていないが、「国民投票法案可決」を1,2,3、28,29の各面で取り上げて、まるで戦争でも始まったような大騒ぎだ。
見出しを拾ってみるだけでも突っ込みどころ満載。
先ず社会面28、29の両面にまたがる大見出しは10段を使って
数の暴挙にいら立ち 市民に9条順守の声
民主主義は多数決が原則であり、それを「数の暴挙」とは琉球新報は民主主義を否定するおつもりか。
一面トップにも「特別委で賛成多数」の見出しが躍っていたがそれが如何した「賛成多数」でしょう。
「市民に9条順守の声」とは臭うようなサヨク用語で、「プロ市民」、サヨク学者の声と言ったほうが正しい報道。
更に社会面には大見出しが踊る。
平和憲法崩壊を危惧
暮らしへの影響懸念
「拙速」批判高まる
教員処分、公平性に危機感
東京慈恵医科大の小沢隆一教授の意見を引用して、
「議論が十分に尽くされたとは言えない状況での採択はあまりにも拙速」と反対意見。
議論を拒否しているの野党側で、「議論不十分」を「議論十分」に持っていくのは百年河清を待つようなもの。
次の見出しにも驚きだ。
6割が議論不十分
弁護士らのアンケート
「中味知らない」も
法律の専門家が「中味も知らない」のに議論も、拙速もないだろう。
結局「護憲のために国民投票法案成立」を阻止したいだけの話。
3月25日の琉球新報・「声」欄には護憲の立場ながら理屈の通った意見が載っていた。
煩雑を承知で同エントリーを引用。
≪・・・もう一つの「声」は「平和憲法」とか「反戦平和」と言う言葉から、その立場はサヨクの方と分るが、それにしてはバランス感覚の取れた意見で、福島瑞穂社民党党首にも読んで欲しいくらいだ。
コンビニエンス勤務の58歳のMさんの、
「反戦平和主義と民主主義」と題する「声」です。
Mさんの主張は
「平和憲法を改憲するか否かは国民投票で決定するものであり、国民投票法案を阻止することで平和憲法を守ると言うのはおかしい。」と言うのである。
確かにおかしい。
Mさんは更に主張する。
「国民投票法案に反対するのは反戦主義ではあっても民主主義ではない。」
法案反対は
「主客転倒」だと言う。
「民主主義国家の日本に国民投票法案がないことが異常なことです」と断じる。
Mさんは「平和憲法」と言う言葉からいって「護憲派」と推測できるが「国民投票法案」に関しては、
「・・・議員の過半数の賛成で国民投票ができるように改憲してほしい・・・」と改憲(国民投票法案成立)賛成のようだ。
Mさんと当日記では護憲と言う点では意見を異にするが、主張する事は論理的で良く理解できる。
福島議員のみならず東門沖縄市長や糸数慶子元議員にも目を通して欲しい今朝の新報の「声」である。≫
◇琉球新報の二つの「声」 「河野談話」と「国民投票法案」