「民主主義への挑戦」 与野党幹部、怒りの声
2007年4月18日 09時56分
長崎市長銃撃について報道陣の質問に答える加藤紘一衆院議員=17日夜、衆院第二議員会館で
長崎市の伊藤一長市長が撃たれた事件は、政界に強い衝撃を与えた。選挙運動中の政治家が銃撃の標的になったことに、民主主義社会の危機と受け止め、与野党首脳は怒りをあらわにした。
安倍晋三首相は17日午後8時3分に首相秘書官から報告を受けた。この後、「捜査当局において厳正に捜査が行われ、真相が究明されることを望む」とのコメントを発表した。塩崎恭久官房長官も「理由を問わず、公職にある者に対する暴力は誠に卑劣な行為で、絶対に許すことはできない」とコメントした。
自民党の中川秀直幹事長は「衝撃を受けている。万一にも、異なる政治的立場を凶弾により抹殺しようとすることはあってはならない。われわれは政治信条の自由を断固擁護し、こうした暴力に反対する」と銃撃を非難した。
公明党の斉藤鉄夫政調会長は取材に対し「ショックだ。暴力で何か言おうとしたのか分からないが、民主主義への挑戦であり、全く許せない暴挙だ」と語った。
民主党の鳩山由紀夫幹事長は「言葉を失う。すべての暴力、特に銃による暴力は絶対に認めてはいけない。日本人が銃を普通に持つ国にしては絶対にならない。こういう惨事をなくしていくため、あらゆる手段を講じていくのが政治の責任だ」と述べた。
共産党の志位和夫委員長も「蛮行を行った者に対し、深い憤りを感じる。こうした卑劣なテロ行為は、わが国の自由と民主主義に対する最も凶暴な攻撃であって、絶対に許されない」と述べ、再発防止策の必要性を指摘した。
社民党の福島瑞穂党首は「長崎市は伊藤市長自ら先頭に立って、原爆や平和の問題に一生懸命取り組んできた。その意味でもショック。どんな角度からも暴力を許さない社会をつくっていくことが必要だ」と強調した。
国民新党の亀井久興幹事長は「民主主義国家において暴力によって問題の解決を図る行為は断じて許されない。(国民新党は)政治信条の自由を堅持していく」との談話を発表した。
◇暴力で発言やめさせるな 加藤元幹事長も懸念
昨年8月、右翼団体構成員に地元事務所を放火された自民党の加藤紘一元幹事長は17日、伊藤一長・長崎市長への銃撃について、国会内で記者団に「暗い事件だ。政治家が選挙の最中に問答無用で撃たれることはあってはならない」と述べた。その上で、自らの体験も踏まえて「これで発言を控える世の中になってはならない。暴力で発言をやめるのはあってはならないという理解を国民が共有しないと、こういう事件は続発する」と懸念を示した。
(東京新聞)
◇
伊藤市長の主義主張はいかにあれ、暴力によって抹殺・排除するやり方は、けしてあってはならない。
亡くなられた伊藤市長のご冥福をお祈りする。
この事件の本質は海外メディアが既に報じているようにヤクザの強請りに応じなかった行政の長を殺害に及んだと言う暴力団がらみの事件である。
今朝のテレビ朝日「スーパーモーニング」は如何しても「言論封殺による民主主義への挑戦」と言う構図に持って行きたいようだった。
以前から犯人の相談を受けていたと言う弁護士のインタビューで鳥越俊太郎は「犯行の動機」を尋ね、「如何してこんなバカなことをしたか分らない」という弁護士は答えた。
そして鳥越氏が、
「思想的背景は?」
と一番聞きたかった点を尋ねると、
「それは(思想的背景は)一切ない」
と断言され、鳥越氏が思わずズッコケタ姿には笑えた。
折角描いた「安倍首相になって激しくなった右傾化の風潮がもたらした言論弾圧による民主主義への挑戦」であり、「危険な戦前の軍国主義への道に繋がっている」とかいった定型文言が一瞬にして砕け散った瞬間だった。(爆笑)
それにしても今日の琉球新報夕刊の見出しは例によって凄い!
1,2,3面を大きく使って市長の死を報じているが、2,3面にまたがる白抜きの大見出しは騒ぎすぎでは。
志半ば凶弾犠牲 「卑劣」渦巻く怒り
そして囲み記事は市長の写真入りで
<平和訴えた伊藤市長>
国連で核大国・米を批判
と見出しが躍る。
「言論封殺 許せない」
東門沖縄市長、怒りあらわ
東門さん、北朝鮮のミサイル乱射の時は記者の質問にもコメントを避けていたようだが、
ヤクザの事件を「言論封殺 許せない」とはずい分鼻息が荒いが、とんだオオボケだ。
今後暴力団による殺人事件は全て「言論封殺ー民主主義への挑戦」と言うのだろうか。
政界に憤りの声 首相の姿勢に批判も 長崎市長銃撃事件
2007年04月18日17時20分 朝日新聞
(略) 一方、事件発生直後は「真相究明を望む」と短いコメントを出すにとどめた安倍首相の姿勢に対し、野党から批判の声も上がった。社民党の又市征治幹事長は「表現・政治活動の自由、選挙運動を暴力で圧殺することに対し、一国の総理としては極めて残念なコメント」と指摘。(略)
◇
暴力団の強請りたかり絡みの殺人事件を「民主主義への挑戦」と捉えるメディアの誘導には、安倍首相も選挙前ではさからなえない。
遂に「民主主義への挑戦許さぬ」と発言した、というか、させられた。
もっとも普遍的には、この言葉は正しいとは思うのだが・・・。
これを言わないと「民主主義の敵」にされかねない新聞の報道にはウンザリだ。
[民主主義への挑戦許さぬ」 安倍首相
2007年04月18日10時28分
安倍首相は18日朝、銃撃された長崎市の伊藤一長市長が亡くなったことについて「県会議員時代から存じ上げていた。ご冥福を衷心よりお祈りしたい。選挙期間中、選挙運動中の凶行は民主主義に対する挑戦であり、断じて許すわけにはいかない。こうした暴力を断固として撲滅をしていかなければならないと思う」と語った。公邸前で記者団の質問に答えた。
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