世界的チェロ奏者・指揮者 ロストロポービッチさん死去 80歳(04/28 09:34)
札幌コンサートホール「キタラ」でロンドン交響楽団を指揮するロストロポービッチさん=2001年2月17日 |
【モスクワ27日藤盛一朗】ロシアの世界的チェロ奏者で指揮者のムスティスラフ・ロストロポービッチさんが二十七日、モスクワ市内の病院で死去した。八十歳だった。昨年十二月に入院し、肝臓がんの手術を受け、その後は入退院を繰り返していた。
旧ソ連時代の民主化の闘士としても知られ、二十三日に死去したエリツィン前大統領、ノーベル賞受賞の文学者ソルジェニーツィンさん、指揮者の小澤征爾さんらと親交を結んだ。
一九二七年、バクー(現アゼルバイジャンの首都)で生まれ、モスクワ音楽院でチェロと作曲を学んだ。師でもあるショスタコービッチの二つのチェロ協奏曲などを初演。六七年からは指揮活動も始めた。
六九年に反体制作家のソルジェニーツィンさんを擁護したことを理由に当局の圧力を受けるようになり、七四年に出国。七八年に市民権をはく奪された。九一年のクーデター未遂事件では、フランスから一時帰国し、民主主義擁護のため、エリツィンさんとともに街頭に立った。
親日家として知られ、昨年十二月に東京で新日本フィルを指揮してロシアに帰国後、健康が悪化した。
六五年と九二年に札幌でチェロのリサイタルを開催。二○○一年二月には札幌コンサートホール「キタラ」で行われたロンドン交響楽団の演奏会で指揮者を務めるなど、北海道でも名演を披露した。 (北海道新聞)
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カザルス、カサド、フォイアーマン、ピアティゴルスキー、フルニエそしてロストロポービッチ。
20世紀を代表するチェロの巨匠が逝った。
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プロの演奏家にとって誰に師事したかは重要な問題である。
辻久子さんのように父親の個人指導だけで大成した例は最近では見当たらない。
名のある師を求めて海外に行っても師匠の名を頂いて箔をつけるだけの演奏家も多いと聞く。
アマチュア演奏家でもローカルなりにどの先生に師事したかが問題になる。
友人のN君はアマチュア楽団でチェロを弾いて楽しんでいるが、殆ど独学でチェロを習得した。
楽団に入った頃ご多分に漏れず誰に師事したかが話題になった。
件のN君、すかさず言った。
「私はロストロポービッチに師事した」。
勿論誰も信じるものはいない。
そのままではチェロを弾くと言うより、大ボラ吹きと云われかねない。
間髪を入れず彼は次のようにフォローした。
「ロストロボービッチのCDを繰り返し聴いて音楽を身に付けたので、師匠はロストボービッチです」。
N君のCDのストックは膨大なものでクラシック音楽に関しては演奏と言うより鑑賞の方が本格的。
彼が心酔するロストロポービッチはバルトークを師と仰いでいたと言うから、バルトークの孫弟子ということになる。
田舎のへぼ楽団でもバルトークの孫弟子が必死になって演奏していると考えると気宇壮大になり楽しくなってくる。
ロストロポービッチは親日家としても知られ、1958年以来たびたび来日しており寿司が大好きと言う。
指揮者小澤征爾と親しく、日本のジュニア・コンサートのような巨匠に似合わない仕事も、好んで受けていた。
皇后美智子様の古希のお祝いに来日、両陛下御臨席の下でチャリティー・コンサートを開いたことはあまり知られていない。
因みに天皇陛下は皇太子時代の1970年から25年間、故 清水勝雄さんにチェロの師事を受けていた。
そのキャリアから判断するとロストポービッチを師と勝手に仰いでいるN君より陛下の方が遥かに腕はお上手だと思うのだが・・・。
天皇陛下:清水勝雄さんの死を悼み、チェロを演奏される
2002.02.21
天皇陛下のチェロの先生だったチェリストの清水勝雄さんが78歳で死去した20日の夜、天皇陛下は御所で皇后さまのピアノの伴奏に合わせて約1時間、チェロの演奏をしていたことが21日、分かった。側近は、指導を受けた清水さんの死を悼んで演奏したのではないかと話している。
演奏は夕食後、御所の居間で両陛下だけで行われた。天皇陛下は70年から92年まで清水さんに400回以上にわたってチェロ演奏の指導を受け、皇太子時代は東宮御所で職員を交えて演奏会を開くなどしていた。しかし、即位後は公務が多くなり、こうした演奏会を開く機会はなく、時々、御所で一人あるいはピアノの皇后さまと演奏している程度だという。
清水さんが亡くなったことはその日の午後、報告されており、両陛下は28日の葬儀に向けて生花を贈った。
[毎日新聞2月21日] ( 2002-02-21-20:26 )
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チェロの「恩師」に捧ぐ、両陛下が「追悼演奏」
天皇陛下のチェロの進講役だった清水勝雄さん(78)が亡くなった20日の夜、天皇、皇后両陛下が“追悼演奏”されていたことが21日、侍従の定例会見で明らかにされた。侍従によると、食後の約1時間にわたり、皇居・御所の居間から天皇陛下のチェロと皇后さまのピアノによる合奏が聞かれた、という。
陛下は清水さんを「温厚で穏やかな人だった」としのび、20日夕には侍従を通じ「長い間教えて頂いたことを思い出しています」と家族にお悔やみの言葉を伝えられた。その際には、皇后さまからも「皇室にいい音楽をくださってありがとうございます」との言葉が添えられた。
清水さんは陛下が皇太子時代の1970年から25年、計約430回のレッスンを受け持った。両陛下は一昨年4月、都内で開かれた清水さんの「喜寿記念3大チェロ協奏曲演奏会」を鑑賞されている。
(読売新聞2月21日19:33)
【動画】ロストロポービッチの「ドヴォルザークチェロ協奏曲」全曲
前奏が長いので一寸我慢して・・・4分過ぎ辺りで巨匠の力強いソロが始まります。
①http://www.youtube.com/v/xxYbF-Yzdf0
②http://www.youtube.com/v/lRRHhCAUDI4
③http://www.youtube.com/v/Iuw1ieM2Ejg
④http://www.youtube.com/v/4-GlL_qlvBM
⑤http://www.youtube.com/v/Fj0GMQCi3gY
⑥http://www.youtube.com/v/K7e7LFhfN_s
【追記】ドヴォルザークの「チェロ協奏曲」を「ドボコン」と言うと音楽通に聞こえる。