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その昔、同世代を生きたファイティング原田や海老原博幸に声援を送った青春の日々。
当時は最軽量級がフライ級でその次の軽量級はバンタム級であった。
そういえばもう一人の同世代のボクサー、記録より記憶に残るボクサーがいた。
原田、海老原と並び「軽量三羽烏」と言われた青木勝利だ。
強打で知られ「練習しなくても強い」と言われた青木が当時「黄金のバンタム」と言われたバンタム級世界王者にジョフレ挑戦した時の事を昨日のように覚えている。
40年以上も前の東京。
その時私は代々木上原駅近くにある友人のボロアパートの一室で友人数名とともに酒盛りをしながらラジオの実況に耳を傾けていた。 勿論テレビが今のように普及する前のことだ。
一ラウンド開始から青木の強打が炸裂した。
実況を伝える上ずったアナウンサーの絶叫。
「青木の左右の連打にジョフレ、ロープ際に追い詰められました!」
「青木、 チャンスです! 世界王者は防戦一方です!」。
≪青木のノックアウトシーンを見たい!≫
ラジオはそのままにして、一同部屋をいっせいに飛び出した。 靴を履くのももどかしく。
目指すは後楽園のボクシング会場、・・では勿論無かった。
目指すは決戦高田の馬場でもなく、アパート近くの食堂であった。
その頃は客寄せのためにテレビを置いてある食堂が我々にとっては、見たいテレビ番組の観賞の場であったのだ。
満席の食堂に飛び込んで見たテレビ画面に映っていたのは、リング上で大の字になって伸びているジョフレ、・・ではなくて、練習しなくても強い(筈だった)青木勝利だった。
因みに原田も海老原も世界チャンピオンになったが青木はその後酒におぼれて身を持ち崩した。 それでも東洋バンタム級チャンピオンだったが・・。
皮肉にも青木が華やかなフットライトを浴びて試合がテレビ放映されたのはジョフレに一ラウンドノックアウトされたあの試合が最後であった。
その後、地元の英雄具志堅用興に興奮し、ホープと期待した名護明彦の後援会にまで入った事のある古くからのボクシングファンとしては最近の亀田兄弟を中心のボクシングブームは嬉しい事だ。
・・・が、一寸待って欲しい。
確かに亀田兄弟の登場でボクシング人気が沸騰、テレビでもボクシング関連のニュースを多く流すようになった。
亀田兄弟の挑発的なパフォーマンスにメディアは大喜びで二人のテレビ露出度はボクサーの仲でも飛びぬけている。
試合以外のパフォーマンスでファンを弾きつけるの事は基本的には是としたい。
是はプロ野球における新庄のパフォーマンスをファンが支持しているのと同じ事だ。
しかし、新庄は敵のチームの選手や監督を侮辱するパフォーマンスは決してやらない。
そのド派手なパーフォーマンスにも自ずと節度とユーモアがある。
節度と品位を失ったパフォーマンスは野良犬の喧嘩と変わらない。
たとえそれが格闘技でも結局そのスポーツを下品なガキ共のスポーツに陥れる。
昨日の「亀田興毅 世界前哨戦・最終章 」と銘打つ共同記者会見はパフォーマンスを通り越して見るものに不快感を与えた。(尤もそう思うのは私だけ?)
ランキング30位の外人選手を探してきて(自分はランキング4位)、散々相手をを待たした挙句、チキンをムシャムシャ食べながら現れ減量に苦しむ相手を徹底的に愚弄した。
いわく「お? なんや、オレの相手の頬、めっちゃコケてるやん。3日かけて日本に来たんやって? 疲れた顔してるし、かわいそうや。もう帰らしたりぃや。そんな頬コケて、コケコッコーやな(笑)」
メディアは揃ってこのパフォーマンス男に「ヨイショ ヨイショ」。
≪。体調はもちろん、口もますます絶好調の興毅が、あす、そして試合本番のあさってと“亀田劇場”盛り上げる!≫(スポーツナビ)
*
亀田興毅君!
明日の試合では相手の減量苦、ランキング、長旅の疲れ等々から、きっと君は勝つだろう。
そして世界チャンピオンになる日も遠からず来るだろう。
だがボクシングを下品なガキのスポーツにしたくなかったら、計量で苦しむ相手を威嚇や侮辱したりするのはパフォーマンスも度を越して下品だ。
試合後悪童風の受けを狙いで独特のパフォーマンスは大受けの半面、「やりすぎ」と眉をひそめる、昔からのボクシングファンが多いのも事実だ。
世界の頂点にたったときは、強さ・品格ともに備わったボクシング界の「真の王者」になってほしい。
少なくとも日本のサムライは強さと共に品格を求めた。
上杉謙信が敵に塩を送った故事を学んで欲しい。
◇
これも「再掲」です。
*
のんびりとした日曜日の朝。
関口宏の「サンデーモーニング」のスポーツコーナーを見ていた。
大沢親分と張本コンビの「渇!」と「アッパレ!」がオモシロイ。
一昨日の亀田兄弟の試合で大沢親分が特大の「アッパレ!」を放ったところで、
隣で見ていた大学2年の息子と久し振りに会話の花が咲いた。
◇
A:「減量に苦しむ相手を前に、チキンをクシャクシャ食い散らかしながらの共同記者会見。下品だし、第一相手に対しても失礼だよ」
B:「相手にメンチをきって威嚇して、自分を奮い立たせるのが作戦なんだよ」
B:「格闘技では良くあることなんだよ」
A:「それは良く判る、・・・だがそれも程度問題だよ」
B:「結局、本人が強いから誰も文句言えないよ」
A:「でも強ければ何をやってもいいという訳ではないだろう」
B:「上品な弱いボクサーより多少下品でも強いボクサーをファンは求めている」
B:「亀田兄弟が出て来て、ボクシングファンが増えたし今ボクシングブームだよ」
A:「それで亀田兄弟は本当に強いの」
B:「当たり前でしょう。 今まで二人とも負け知らずだよ」
B:「それもKО勝ちが当たり前。 弟の大毅などは先月の試合でKO出来なかった悔しさでたった18日後にはKOでリベンジしている」
A:「リベンジって? 同じ相手じゃないんだろ? 大体たった18日の準備期間で探し出せる相手なんてまともなボクサーじゃないだろう。 いわゆる小使欲しさのKO要員だろ。 そういうのをかませ犬だよ」
B:「でも興毅の相手は世界4位だよ。 世界ランカーを2ラウンドでKОするんだからやはり強さは本物だよ」
A:「いやそれは間違いだ。 相手は興毅より格下のボクサーだよ、世界ランクは32位というから。 それにIBF4位と言うがこの団体はいい加減でJBCつまり日本ボクシングコミッショナーは認めていない団体だよ」
B:「それでも2ラウンドでのKO勝ちは強い証拠だ」
A:「強いと言っても弱いもの苛めて強いのか、強い相手に強いかの問題だろ」
A:「3月8日の興毅のKO勝ちは明らかにローブローの反則だよ」
B:「興毅は、レフリーが何も言わないから問題ないと言っている」
A:「それが問題なんだ。 テレビ局が大々的に支援する亀田親子に逆らえるものは誰もいない。 レフリーだって八百長試合の当事者だよ」
B:「それを言ってはお終いだよ。 兎に角ボクシング人気を盛り返したのは亀田親子の功績だよ」
A:「その点だけは認める。 だがそのやり方にも程度の問題がある。ボクシングは野良犬の喧嘩ではない」
B:「話が堂々巡りになって来た」
A:「目的の為には手段を選ばないと言うのではホリエモンと同じだよ。 テレビや芸能人を巻き込むところなんか」
B:「亀田兄弟には若い女の子のファンも増えている!」
A:「そんなのはボクシングファンではない!」
「昼ご飯ですよ!」の妻の一声でしばし水入り。
このバトル、水入り後はどうなるのやら・・・・・・。
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