狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

教科書執筆者が自爆テロ! 朝日も認める「軍命は伝聞」 

2007-10-28 07:30:25 | 教科書

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「集団自決」問題の当事者ともいえる沖縄タイムスと朝日新聞が「語るに落ちて」しまった。

何と、「集団自決」で論争のポイントである「軍の命令」が伝聞であると認めてしまったのだ。

しかも伝聞を承知でこれを教科書に載せろという執筆者が記者会見をした。

さらには、嘘まみれの「11万人県民大会」も教科書に載せろというから、何をか言わんやだ。

だが、嘘も繰り返せば」「真実」になる。

今朝のエントリーの冒頭部分を敢て繰り返す。

「嘘から出たまこと」という言葉がある。

嘘もつき通せば真実となる。

一度嘘を信じ込んでしまえば、それを崩すまでは真実のままとなる。

一度完成された嘘を壊すことは容易ではない。

「嘘」から転化した「事実」が教科書にも載ることもある。

50年後の教科書記述。

「沖縄県民の怒り、11万人の県民大会が教科書を変えた

                     *  

 主語に「日本軍」明記 執筆者が異例の表明、週内にも訂正申請  (10/28 9:42)

 【東京】高校歴史教科書の「集団自決」(強制集団死)検定問題をめぐり、教科書執筆者で高校教諭の坂本昇さん(51)は27日夕、都内で記者会見し、自ら執筆を担当した教科書で「日本軍によって『集団自決』を強いられた」と記述し、軍強制を明記する方針を明らかにした。31日に教科書出版社と最終調整し、11月1日か2日のいずれかの日に文部科学省に訂正申請する予定。申請前に執筆者が訂正内容を公表するのは極めて異例だ。9月29日の「9・29教科書検定意見撤回を求める県民大会」から1カ月が経過したが、執筆者から訂正申請の具体的な方向性が示されたことで、「集団自決」検定問題は新たな局面を迎えた。
 検定後の記述は「『集団自決』においこまれたり」と、日本軍の強制性が不明りょうになっていた。今回は「日本軍によって『集団自決』を強いられたり」との記述で調整している。
 坂本さんは、本文のほかにも4点の修正を行う方針。「集団自決」の文言に脚注を付け、「これを『強制集団死』と呼ぶことがある」と加える。引用史料として記載していた「集団自決」体験者の証言には、「軍から命令が出たとの知らせがあり、いよいよ手榴弾(しゅりゅうだん)による自決が始まりました(略)」との段落を追加し、分量を増やす。
 最近の情勢を伝える別のページには、2007年の出来事として教科書検定が問題になったことを取り上げる。
9月末に沖縄で、検定撤回を求める大規模な県民大会が開催されたことも注釈に盛り込む。
 文科省は、審査が終わるまで訂正内容を外部に公表することを禁じている。坂本さんは「あくまで一執筆者の個人責任として会見した」と話した。
 県民大会に参加した坂本さんは、軍強制を明確化した記述にする理由について「沖縄の人は安易な訂正ではなく、撤回を求めている。その気持ちを大事にしたい。検定意見に徹底して抗議せずに折れてしまった執筆者の責任もある。われわれも中途半端に訂正申請すべきではない」と話した。
 対象5社のうち、ほかの3社も検定前より「日本軍の強制」を明確化した記述に改める方針を示している。11月の第1週までには、他社の修正内容もほぼ出そろうとみられる。
 文科省は、教科書出版社から訂正申請が出た場合、教科用図書検定調査審議会を開き、審議にかける方針を示している。


(琉球新報 10/28 9:42)

                       ◇

新報の大見出し(1、27、28面のトップ)を見ると、教科書記述で鬼の首どころか文科大臣の首を取ったような大騒ぎだが・・・。

ちょっと待って欲しい。(朝日風?)

事態は10月初旬から何ら進展してはいない。

記事内容は1人の左翼教師の自爆行為とも取れるパフォーマンスに過ぎないのだ。

教科書執筆者と教科書課会社は必ずしも意見は一致していない。

10月5日の時点で、教科書会社の態度を、新報は次のように報じている。

「集団自決」軍強制 出版社、元の記述を困難視  (琉球新報 10/5 )

坂本氏の申請理由には説得力のある新証拠・学説は何一つ無く、無理を承知で自爆行為に打って出たとしか思えない。

>「軍から命令が出たとの知らせがあり、いよいよ手榴弾(しゅりゅうだん)による自決が始まりました(略)」との段落を追加し、分量を増やす・・・

本来なら坂本氏を後押しするはずの朝日も「軍の命令が・・・」のくだりを、何と「伝聞」と表現している。

「軍の強制」復活申請へ 教科書執筆者「新証言を追加」写真付き記事(朝日新聞10月28日)

≪ 訂正申請では、伝聞で日本軍の命令を聞いたという生存者の証言を追加し、集団自決は「強制集団死と言われることもある」という趣旨の脚注も入れる。さらに、07年のできごととして、検定が問題となり、沖縄で反対運動が起きたことにも触れるという。≫

流石の朝日も自爆教師には付き合っておれないと見たのだろう。

> 9月末に沖縄で、検定撤回を求める大規模な県民大会が開催されたことも注釈に盛り込む。

新報は「大規模な県民大会」としているが、中日新聞では「十一万人規模の県民大会」と表現している。

≪執筆者の高校教諭坂本昇さん(51)が二十七日に記者会見し明らかにした。「日本軍によって強いられた」を「日本軍によって追い込まれた」などの表現にする可能性もあるという。さらに、今年の教科書検定で、日本軍の強制に関する記述が消えたことや、九月に沖縄県で検定意見の撤回を求める十一万人規模の県民大会が開かれたことについても教科書に書き込む方向で調整が進められているという。(10月28日 共同ー中日新聞)≫

どうせ自爆して果てるつもりなら、毒を食らえば皿までと、

でかい嘘で申請するつもりなのだろうか。

                    *

教科書検定制度の当否はここでは問わない。

だが、日本には教科書検定制度が存在するのは紛れも無い事実。

その制度により、記述に「誤解のおそれがある」と意見書が付き、

それによって記述が変更になった。

その変更に対して、新しい「証拠」等による学術的検証が行われ、

その結果、元の記述或いはより踏み込んだ記述に戻ったとしても、

検定制度に何ら矛盾することはない。

だが、検定意見を覆すような新「証拠」、「学説」が無いのにも関わらず、数の暴力に負けて変更前の記述に戻るとしたら、

これは検定制度の否定であり、ひいては法治国家の否定にもなる。

東京都の高校教師である教科書執筆者・坂本昇氏の主張はまさに検定制度の否定であり国家の否定だ。

教科書検定制度について10月1日、町村官房長官は次のような談話を発表している。

≪教科書の中身というものがそのときどきの政治的な思惑によって動かされることがあって本当にいいんだろうか。我々自民党の立場からすると、マルクス・レーニン主義によって、あるいはマルクス・レーニン主義者を自ら認めているような教科書の執筆者によって書かれたものが率直に言って不満に思ったことはずいぶんあります。しかし、それでも自由民主党としては、これは教科書検定という制度の中で認められたものだから、ということでそれ以上のことはいいませんでした。≫(10月1日午後、町村官房長官記者会見)

今回の検定意見はこれらのマルクス主義史観の記述からバランスの取れた記述への変更であり、

ことの妥当性は実は執筆者自身が一番承知している筈なのだ。

今朝の琉球新報は、執筆者を煽る大見出しが踊る。

前進  背中押した 沖縄の声

実行委「勇気ある一歩」

<執筆者> 自責、苦悩、・・・覚悟を決める

 だが、マスコミが必死で背中を押しても執筆者と教科書会社の意見は必ずしも一致していない。

≪「教科書の執筆者を辞める」。

教科書出版社が申請見直しを求めてきた場合の対応を聞かれて、坂本さんは強い覚悟を見せた。≫(琉球新報 10月28日 社会面)

これではまるで沖縄を救う英雄のようではないか。

まぁ、この人にはそれなりの考えもあるのでしょう。

執筆者を辞めても定年後は、「元高校教師」の肩書より、

文科省に異議を唱えた「反逆の歴史家」の方が商品価値が大きいと見たのでしょう。

教科書執筆者は「集団自決」検定に批判的立場の人が多い

「集団自決」検定/執筆者「恣意的」と非難

当日記は「集団自決」に関して「市民運動で歴史を決めるのではなく、学者・専門家の議論・検証に委ねるべき」と主張してきた。

教科書執筆者も多いという「歴史教育者協議会」に検証を委ねよという意見が一部にある。

ところが、この一見研究者集団風の団体は、実はマルクスレーニン主義者の集まりだというから驚く。軍命削除撤回を決議 歴史教育者協議会

このきわめて左翼的組織はマルクス史観の歴史家松島栄一氏の創立したものと聞けば納得できる。

それに日教組の社会科の教師が集まったとなると、全ての歴史はマルクス史観の色眼鏡を通して判断される。

この集団は苔むした「マルクス史観」の研究団体ではあっても、まともな歴史研究団体ではない。

いや、むしろ「政治団体」といったほうがその名に相応しい。

上記記事の高校教師・坂本昇氏は、杉並区で採択された扶桑社歴史教科書への抗議に名を連ね政治活動に余念が無い
http://www.jca.apc.org/rekkyo/data/data01/book/shoseki
/21-26y/rekishi261030.html


坂本氏の本音は、史実の検証に基ずく歴史教科書ではなく、自分たちのイデオロギーに沿った教科書を数の暴力でゴリ押しすることだ。

                      ◇

■朝日新聞、沖縄タイムスが「軍命は伝聞」と認めた■

新報はあえて伝聞の文字を避けているが、沖縄タイムスの記事では「日本軍の命令」は伝聞と記述するという。

「集団自決」問題の当事者とも言える沖縄タイムスと朝日新聞が「日本軍の命令」を「伝聞」と認めるということはこの問題が既に決着が着いた事を意味するのではないか。

やはり、秦郁彦氏がいみじくも言うように、執筆者は皆知っていたし、検定意見書は「渡りに舟」だったのだ。

伝聞で、

「日本軍が集団自決を強制した」と教科書に記載?

冗談でしょう。

伝聞記事が検定を通るはずは無いし、教科書に載るはずも無い。 

「軍の強制」明記/執筆者坂本氏 申請へ  
(沖縄タイムス 10月28日)

 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した教科書検定問題で、検定意見の対象になった五社のうち一社の執筆者を務める高校教諭の坂本昇さん(51)が二十七日、東京都内で記者会見し、自分が執筆する教科書に「日本軍によって『集団自決』を強いられた」との記述を明記して文部科学省に訂正申請する方向で準備していることを明らかにした。また、「集団自決」体験者による「軍から命令が出たとの知らせがあった」との証言を史料として掲載し、伝聞形式で「日本軍の命令」を明記することも検討している。

                      ◆

【保存資料】
朝日新聞  「日本軍の命令は伝聞」

「軍の強制」復活申請へ 教科書執筆者「新証言を追加」

2007年10月27日23時08分 朝日新聞

 沖縄戦での「集団自決」をめぐり、教科書検定で「日本軍の強制」が削除された高校日本史の執筆者で、高校教諭の坂本昇さん(51)が27日、日本軍による強制で集団自決が起こったという趣旨で、教科書会社が文部科学省に訂正申請する見通しを明らかにした。他の教科書会社も同様に、強制性を記した訂正申請を検討中という。

図

教科書検定の流れ

 坂本さんが執筆する教科書会社の編集者との打ち合わせは終わっており、会社が30日をめどに最終判断し来月初めにも申請する予定という。

 訂正申請では、伝聞で日本軍の命令を聞いたという生存者の証言を追加し、集団自決は「強制集団死と言われることもある」という趣旨の脚注も入れる。さらに、07年のできごととして、検定が問題となり、沖縄で反対運動が起きたことにも触れるという。

 坂本さんは、こうした記述を入れる理由として、検定で削除が明らかになって以降、新たな証言が出たなど状況の変化を挙げ、「『日本軍の関与』なら認められるだろうが、強制だったことをはっきりさせたかった」と説明した。

 検定の規則では、申請者は、検定が終わるまで内容を明らかにできない。坂本さんは「検定の密室性に一石を投じたい」と、教科書会社とは別に一執筆者として申請前に修正案を明らかにすることにしたという。

 

左翼教師の「自爆テロ会見」を英雄的に報じる沖縄の新聞は、
やはり異常だ!と思う方
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「11万人」に拘る人  産経那覇支局がバッシング?

2007-10-28 06:38:57 | 教科書

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「嘘」も皆で騒げば「事実」となる。

「嘘から出たまこと」という言葉がある。

嘘も突き通せば真実となる。

一度嘘を信じ込んでしまえば、それを崩すまでは真実のままとなる。

一度完成された嘘を壊すことは容易ではない。

「嘘」から転化した「事実」が教科書にも載ることもある。

50年後の教科書記述。

「沖縄県民の怒りが11万人の県民大会で噴出した」

                  *

 

「11万人か1万数千人か」。

この論争もそろそろネット上の話題から消えかかっているが、

騒動の震源地沖縄では、地元メディアは「11万人」で押し通している。

「主催者発表」の五文字を記事では報じていないのだ。

全身逆風の状況下、沖縄でこれに異論を唱える全国紙の記者がいる。

産経新聞那覇支局長小山さんは自身のブログ今夜も、さ~ふ~ふ~で、「11万人」の数字にこだわり続けている。

簡単なことだという。

「主催者発表の五文字を入れてくれ」

ジャーナリストとして当然のことだという。

全国紙といっても朝日や毎日の那覇支局だったら論調は地元紙と同じなので仕事もやりやすいだろう。

だが、論調が真逆の産経は「11万人」でも朝日と論争をしたくらいだ。

四面楚歌の心境か。 

論争「朝日vs産経」

それに、那覇支局の事務所は琉球新報のビル内にあり、色々やりにくい点もあるとは思うのだが。

次のような地元紙の記事も産経新聞へのあてつけのように感じるらしい。

≪県民大会参加者数を少なく伝え、沖縄の地域問題に矮小化する一部メディア、沖縄戦の実相を歪める動きもある。≫(沖縄タイムス記事)

勿論、ここで言う「一部メディア」とは産経新聞のことだろう。

してみると震源地の那覇支局への風当たりが強いのは素人でも予測はつく。

以下今夜も、さ~ふ~ふ~から小山さんのつぶやきを拾ってみた。

同ブログは地元紙の「読者欄」(オピニオン面)にも徹底的に目を光らせている。

 

▼≪11万6000人が県内外から集まったことはすでに歴史になってます。≫

オピニオン面にデスクはいるのですか?

2007/10/21 16:55

▼今朝の新報、タイムスのオピニオン面を拾い読み。
まずはタイムスから。







次は新報から。





数字が入ってない投稿は他にもありましたが、
オピニオン面では、もはや検証の必要のない既成事実になっているようです。≫




▼ ≪聞くところによると、県民大会に関するわたしのエントリーが削除されているというデマが流れているそうです。
相手側からクレームがあったせいかなどすると憶測付きで。
ひょっとして何かの間違いで消えてしまったのかと思って確認したら、
ちゃんと掲載されてました。
なにしろ、いまだにわたしは当日、会場にいなかったという究極のデマまであるので、付き合いだすときりがないのですが、今回はこれくらいで。≫

▼≪タイムスの特集面で、もうふとつ気になる表現がありました。
こちらに赴任して悲しいことのひとつは、何らかの異議・疑問を呈すると
「沖縄戦、沖縄問題を矮小化しようと策動するやから」というレッテルが張られかねないことです。
「主催者発表」の5文字をつけるべきと主張することが、「反沖縄」なのでしょうか?≫

▼≪わたしは逆に「11万人」を導き出した手法に強い違和感を持ちました。

実行委員会幹事の平良長政県議は本紙の取材に対し、算出方法について、こう答えています。

「一人一人をカウンターで計算しているわけではない。同じ場所で開かれた12年前の米兵による少女暴行事件の集会参加者数8万5000人(主催者発表)を基本にした。当時に比べ、会場周辺への人の広がりは相当のものだった」と語り、主に日米地位協定の見直しを求めた平成7年の県民大会の写真と比べながら、算出したと明かした。

つまり12年前の写真との目分量の比較でしょうか。
この方法に違和感はありませんか?≫

 

▼≪ところで、昨日、沖縄県警の幹部による定例会見があったのですが、
驚いたのは県警側から「実行委員会はどのような方法で11万人という人数を算出したのですか」という質問が、われわれに出されたことです。
軽口ではなく、真剣な表情でした。
興味がない、なんてことはないでしょうね。

簡単にいえば12年前と今回の写真の比較から、そう判断したというのが取材に対する主催者側の回答です。≫


▼≪最近、会合や会見でなぜか隅っこにいる私にカメラをしつように向ける人がいつのですが、「行確」用の資料でしょうか?

本日、こんな記事が掲載されてます。
いろんな数字が出てくるものですね。

週刊新潮では

2007/10/25 13:19

 

▼≪実行委員会幹事の平良長政県議は本紙の取材に対し、算出方法について、こう答えています。

「一人一人をカウンターで計算しているわけではない。同じ場所で開かれた12年前の米兵による少女暴行事件の集会参加者数8万5000人(主催者発表)を基本にした。当時に比べ、会場周辺への人の広がりは相当のものだった」と語り、主に日米地位協定の見直しを求めた平成7年の県民大会の写真と比べながら、算出したと明かした。

つまり12年前の写真との目分量の比較でしょうか。
この方法に違和感はありませんか?≫

                     *

小山さん、逆風に負けずに頑張って欲しい。

「天網恢恢疎にして漏らさず、天知る、地知る、読者知る!」(後半は手塚治虫の言葉?)

                      ◇

もう一人「11万人」の数字にこだわる人がいた。

現代史家・秦郁彦先生は26日の産経新聞「正論」で本業の歴史はさて置いて、専ら「11万人」についての検証をしておられる。


【正論】集団自決と検定 現代史家・秦郁彦2007.10.26 03:07
 
 □沖縄集会「11万人」の怪

 ■「1・9万~2万人」の推定数も

 ≪産経と朝日の応酬に端緒≫

 福田首相の人柄もあってか、何となく堅苦しい気分が漂う昨今だが、久々に笑いを誘ったのが教科書検定に抗議する沖縄県民大会(9月29日)の参加者をめぐる産経新聞と朝日新聞の応酬であった。

 かいつまんで要点を紹介すると、まず10月3日の産経抄が「(県民大会で)沖縄11万人抗議」の大見出しで1面トップの大半を埋めた朝日の特大報道をとりあげる。そして11万人は主催者発表の数字で「関係者によると、参加者は最大で4万3000人だそうです」「規模を2・5倍も誇大に報道する姿勢は、戦時中に大本営発表を垂れ流し続けた貴紙の過去とだぶってしまいます」と切りつけた。

 朝日も黙ってはいない。翌日夕刊の「論説委員室から」というコラムで、産経も9月30日朝刊の第一報では「撤回求め11万人」と報じ、2日の産経抄でも「11万人が参加した」と書いているから「何だ、同じではないか」「やはり11万人(主催者発表)と書いた朝日をたたく。自己矛盾…」と切り返した。

 そのころ、ネット上では参加者の実数をめぐる論戦がヒートしていた。2万人とか3万5000人とかの数字が乱れ飛んだが、沖縄県警が当局側調べの数字を発表していたら、こんな論争は起きなかったろう。

 そもそも大型の集会やデモの参加者は主催者発表と警察発表の2種類があり、新聞は両方を併記するのが慣例になっている。たとえば戦後最大のデモとされる60年安保騒動の数字を朝日の縮刷版で調べると、「空前のデモ 国会を包む」の見出しがついた5月26日は17万5000(主催者)対6万人(警察)、6月19日は33万対13万人というぐあいで、2~3倍の開きがある。

 ≪県警が公表を拒んだ理由≫

 今回に限って沖縄県警が公表を拒んでいるのは「ある種のマグマが爆発寸前」(仲井真弘多知事)とされる県民の怒りを買えば、一般犯罪の捜査に差しつかえると判断したのかもしれない。

 それにしても、高速道路の通過車両をカウントするに似た調査法はないものかと思案していたら、やはりあった。テイケイという中堅の警備会社(高花豊会長)が、県民大会の拡大空中写真をタテ8コマ(A~H)、横13コマ(1~13)に分割して1Cは124人、10Eは620人というぐあいに1人ずつカウントして集計した視認可能の合計が1万8179人、別に建物、木陰、写真外などを推定で加えた総数を1・9万~2万人と算出したのである。

 区画ごとのカラー写真も添付してあり信頼性は高いと思うが、他にも熊本で似た手法を用い3日かけてほぼ同じ数字を算出した人がいると聞く。

 どうやら主催者発表は実数の5倍前後になるようだが、このうち無料バスまで出した官民合同の組織的動員や本土からかけつけた人がどのくらいいるのかは知るすべがない。

 しかし6月9日の県民大会とデモの参加者が3500人(主催者発表)とか、10月15日東京沖縄県人会などが開いた総決起集会に集まったのが650人(琉球新報、うち170人は沖縄から上京した要請団)のような規模からおよその見当はつく。もっとも10月14日、那覇市内での大綱引き大会には20万5000人(主催者発表)が集まったそうだから、県民のお祭り好きは理解できるというもの。

 ≪すりかえ闘争戦術が奏功≫

 では県民12人に1人の「11万人」を集めた県民大会は何をめざしたのか。朝日の報道によると、採択された決議は「“集団自決”が日本軍による関与なしに起こりえなかったことは紛れもない事実」だとして、文科省に検定意見の撤回を求めたのだという。また大会の最後に、2人の男女高校生が声をそろえて「教科書から軍の関与を消さないでください」(赤旗)と宣言したよし。

 ところが福田首相は10月4日の国会での代表質問で「(検定意見は)軍の関与を否定するものではない」と答弁した。念のため今年春の検定意見を読み直し、その通りであることを確認したので、筆者はキツネに化かされたような気分になった。

 察するに、なかった軍の命令、強制と、ありえた軍の黙認、制止を「関与」の一語に集約した沖縄の闘争戦術が、すれちがいを生んだのではあるまいか。このすりかえはそれなりに成功した。

 「沖縄11万人の抗議」の大合唱にたじろいだ政府は、教科書会社の訂正申請という姑息(こそく)な便法で切り抜けようとしているが、数のトリックに屈してはならない。(はた いくひこ)

                      *

上記論文中の「テイケイ」が行った参加人数の検証は次のリンクが決定版。テイケイが証明した沖縄集会のウソ



【おまけ】

仲井真県知事は「11万人」にこだわり過ぎて逆切れし、ついには「20万人」と言い出す始末。

【沖縄集団自決問題】 県民大会の群集はウッドストックフェスティバルを凌ぐ数だと仲井真沖縄県知事

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