光山鉄道管理局・アーカイブス

鉄道模型・レイアウトについて工作・増備・思うことなどをば。
こちらはメインブログのアーカイブとなります。

「鉄道ミステリ傑作選 昭和国鉄編」

2024-08-10 05:06:05 | 小説
 以前からこのブログでも「鉄道ミステリとNゲージ(或いはテツドウモケイ)」という題材で主に短編や中編を中心にした鉄道ミステリを取り上げていますが、それらの元ネタはかつて鮎川哲也が監修した何冊かの鉄道アンソロジーからとっているのが大半を占めます。

 その後も有栖川有栖や日本ペンクラブなどが同様の趣向のアンソロジーを出しているのですが、ごく最近、鉄道ネタのアンソロジーがまた出ていたのを知りました。

 双葉文庫で2020年頃に出された「鉄道ミステリ傑作選 昭和国鉄編」(佳多山 大地 編)の一群(現段階で3冊)です。
 寡聞にしてこのシリーズが出ていたのを知らなかったので、存在を知った時には新刊本の書店(とはいえ、前にも書いた様に現住地では大型書店自体が絶滅寸前なのですが)では見つける事が出来ず、つい先日近所の古本屋でようやく一部を手にすることが出来た次第です。

 とはいうものの、実は今回のシリーズで取り上げられている作品は上記の先行アンソロジーで取り上げられた作品との重複が多く、先行本をすでに手にしている読者(例えばわたしw)にはやや新鮮味が薄い物ではありました(なかには鉄ミス以外のアンソロジーですでに読んでいた物もありましたし)
 ですが、これまでこの種のアンソロジーを持っていない読者の方、あるいは鉄道ミステリの魅力に興味のある読者の方であれば「どれを読んでもハズレがない」という点で大いにお勧めできるシリーズと思います。
 何より(わたしの現住地になかったけれど)今鉄道アンソロジーの中で最も簡単に見つける事のできるシリーズは恐らくこれだけでしょうし。

 とりあえずラインナップを紹介すると
 第一弾「線路上の殺意」では
  「早春に死す」(鮎川哲也)
  「あずさ3号殺人事件」(西村京太郎)
 ※☆「特急夕月」(夏木静子)
  ☆「新幹線ジャック」(山村美紗)

 第二弾「悲劇への特急券」は
 ※☆「探偵小説」(横溝正史)
  ☆「鉄道公安官」(島田一男)
  ☆「不運な乗客たち」(井沢元彦)
  「ある騎士の物語」(島田荘司)

 第三弾「殺人者を乗せて」が
  ☆「雷鳥9号殺人事件」(西村京太郎)
  「隆起海岸の巻・石油コンビナートの巻」(種村直樹)
 ※☆「準急皆生」(天城一)
 ※☆「浜名湖東方15キロの地点」(森村誠一)

 (※マークの作品は以前当ブログで取り上げた事のある作品、☆マークのは上記の先行アンソロジーにも取り上げられていた作品です)
 わたしなんかは収録作の重複を承知で購入しましたが、前に読んだ作品でも読み返しに耐える味わい深い作ばかりだったので十分堪能できました。

 編者の佳多山 大地氏は「トラベルミステリー聖地巡礼」という紀行を上梓したことがあるそうでその縁で今回のシリーズを編んだそうですが、ミステリ評論家らしく作品選択が巧みで、更に巻末の解説が鉄道ファンらしさを感じさせるところが従来のアンソロジーにない味を出しています。
(横溝正史の「探偵小説」に絡む舞台の考察なんかはわたし的にツボにはまりました。もしこの仮説の通りだったら今度行ってみたくなりますw)

 あとで書くつもりで居たのですが、鉄道ミステリが絶滅危惧種となりつつある昨今、改めて鉄道ミステリの魅力を掘り起こし紹介するという意味でも今回のアンソロジーの存在は心強いものがあります。

宮沢模型のBタンク またまた

2024-08-08 05:04:04 | 車両・16番
 今回の入線モデルはわたし的に思い出とリンクしたサプライズな1両でした。

 物は宮沢模型のBタンク蒸機。
 わたしをこの趣味に走らせるきっかけとなった元機関士の親類が良く走らせていたモデルがこれでした。

 当時の現物は親類の死去に伴い形見分けの形でわたしも頂いたのですが、実際の所モデルそのものの仕様についてはほとんど何も知らないままの状態だったのですが、今回アキバの中古ショップで同型モデルが複数並んでいるのを発見しました。


 このモデルがリリースされた頃は同じ鉄道模型メーカーであるつぼみ堂からBタンクが出ていて、好評だったらしい(これのテンダー仕様は当鉄道にも入線しています)のですが、後から出た宮沢製はまるでつぼみ堂のコピー機ではないかと思えるほどのそっくり度を誇りました(笑)

 つぼみ堂に対して宮沢の個性を象徴しているのは他社のタンク機にはない「フロントのカウキャッチャー」ですがロコが可愛らしいだけに見た目には遊園地の遊具のようにも見えてしまい若干損をしている気もします。
 (事実、親類も入線させてすぐにカウキャッチャーを撤去していた様です。まあ、蒸機全盛期の当時でも岩手辺りではまず見ない装備ですし)

 今回初めて知ったのは、このロコは普通の蒸機と同様の黒ボディと店頭では「メッキ仕様」と書かれていた真鍮黒染めの仕様の2種類が出ていた事です。親類から譲り受けた時には経年があるにせいても黒とは異なるくすんだ色調のボディだったのですが、これは未塗装ではなく元々黒染めに近い表面処理を施した物だった様です。

 と、そこまでは分かったのですがすでに形見としての同型機がいるにも拘らず、黒ボディの方を眺めているとこちらの仕様も魅力的に見えてしまい、しかもお値段もNゲージのBタンクより安価だったのでつい手を出してしまいました。
 走行性は親類の仕様よりもやや良いという程度ですが「あちらでは玉切れで点灯しなかったヘッドライトがちゃんと点く」アドバンスがあります。
 
 前にも書きましたが同系列のモデルは二つ以上居るとレイアウト(やお座敷運転)の活気がまるで違って見えますから、親類のモデルとの仕様違いが並んだ事でうちのHOゲージ機関区も結構活気づいてきた様な感があります。

「偉大なる凡庸」の系譜2024・EF65編

2024-08-07 05:59:58 | 車両・電気機関車
 先日のEF58に続く当鉄道の「偉大なる凡庸」のはなし第二弾
 今回のネタはEF65です。

 前回このネタで「偉大なる凡庸」としてEF65を取り上げたのは12年前、続編として前回EF65を取り上げたのは2017年ですが、流石にあれから7年も経つと当鉄道のEF65の顔ぶれにも変化が出てきています。
 当時の記事はこちらから
「偉大なる凡庸」の系譜・2・EF65
偉大なる凡庸のそれから・EF65編

 Nゲージで言うならその間の変化としては
 従来KATOの独壇場だった当鉄道にTOMIXの高崎機関区セットでいきなり3両も500番台が入線した事と、これまたこれまでノーマークだった「マイクロエースのEF65」が入線した事で0番台、500番台に関する限り当鉄道の65も百花繚乱の域に達しています。

 どちらもKATO製とは異なる佇まいと造形のノリを感じさせるものでKATOのそれと並べてもクローン臭さがないのが面白いところです。

 そして今年に入ってからの新展開としては、16番とZゲージでEF65が相次いで入線した事でしょう。

 これについては相当に偶然の要因が大きかったのでまさに幸運という言葉が似合います。
 特にマルイの65はコロナ禍以来5年ぶりのZゲージの入線でしたから。

 これらを合わせると当鉄道のEF65の在籍数は同じく「偉大なる凡庸」のED75に匹敵する物になっていてまさに「両横綱」という言葉が似合いそうな感じもあります。
 が、故郷で馴染みがあり新製品を新車で入線させることが多いED75と違い、EF65はその9割以上が中古モデルの入線なのが特徴的です(それだけに定価より高いものはありませんでしたし)

 まあ、それだけ「どこの中古ショップにも出物がある機関車」という事でもありますが、それでもわたしの琴線に引っかかる様なモデルが今でも散発的に出てきているというのは凄いはなしなのではないでしょうか。

松川弁当店の「W牛ハラミステーキ弁当」

2024-08-06 05:58:07 | グルメ
 先日、行きつけのスーパーに出かけたらたまたま「東北フェア」というのをやっておりまして、例によって東北の駅弁がいくつか売られておりました。
 基本的に「山形の牛肉」と「仙台の牛たん」ばかりでしたが、いい機会だったので今日の昼は駅弁にする事にしました。

 で、選んだのが米沢の松川弁当店の「W牛ハラミステーキ弁当」と言う奴です。
 同じパッケージにカットステーキとさいころステーキの2種類が入った豪華版、付け合わせもニンジン、カボチャ、いんげんと彩のバランスが良く食欲をそそってくれます。
 一方で店のステーキではありえないであろう「玉子焼きと漬物」が駅弁を主張しています(「ほっと●っと」や「か●どや」ではこういう組み合わせはやらないだろうな笑)

 カットステーキは薄味で肉の風味で勝負している一方で、さいころの方は牛の角煮みたいにたれが濃厚。一食で食べるなら味のバラエティも感じられ駅弁としては楽しい構成です。
 駅弁の常でご飯がみっちり詰まっているのでサイズの割には満腹感はありました。

 と、まあ、そこまでは良いのですが(笑)これを買ったのは「雨の日曜日の朝」
 帰宅しても「家の中はどんよりと薄暗く、ワクワクして駅弁を食べる雰囲気でなかった」のが残念でした。

 いや、例え雨の中でも列車の中の賑やかな雰囲気で食べれば駅弁らしい旅情感も得られるのでしょうが、流石に自宅の中に「車内の喧騒」まで持ってくる訳には行きません(汗)

 アテの飲み物は先日購入した「未来のレモンサワー」
 この間の上京の折、あちこちで広告や看板にお目に掛った一品(何しろ渋谷ではビルの一階が丸ごとこれの広告になっていた位です)ですが「薄切りのレモンがサワーに浮かんでいる」のが売りで、のど越しの爽やかさはこういう脂っぽい駅弁にはよく合います。

梅桜堂のペーパーストラクチャーに挑む・1

2024-08-04 05:29:18 | ストラクチャー
 ここ暫くの猛暑と多湿の繰り返しで平日休と言えども昼過ぎは事実上自宅蟄居状態が続いています。

 コロナ禍の時は夏場は自宅にこもりながらも積みキットでペーパーストラクチャーを消化していた物ですが、今年も6月に入手した中古キットに手を付けました。

 ここ数年の傾向としてストラクチャーの世界ではレーザーカッティングによるペーパーストラクチャーのメーカーが次々に参入して一種百花繚乱の勢いです。
 先日の上京の折に中古を見つけた「梅桜堂」もそうしたメーカーのひとつですが、ラインナップを見るとみにちゅあーとよりも細密、懐古嗜好を感じさせるもので落ち着いた街並みを再現するには打ってつけのメーカーの様に思えます。

 今回入手したのは看板建築シリーズ「中島商店カラーVer」と称する物。
 この種のキットはペーパー構造という事もあって薄手の袋か箱に入っている事が多いのですが、これを手に取った時の意外なほどのずっしり感に「これは一筋縄ではいかないのでは?」と感じたものです(汗)

 帰宅後開封してみたところではパーツの構成は先行他社にごく近いものでしたが、組み立て説明書がB5で数枚、完成図も含めて結構なボリュームです。
 細かなパーツの歪みを防ぐためか、一部のパーツは厚紙で挟み込んでありました。

 パッケージの厚みの秘密はこれだったのでしょう。なかなかの配慮です。

 先日の猛暑の日の昼下がり、自宅で数少ない冷房のある部屋である台所の片隅でコロナ禍の時と同じ様に「ちまちまとペーパーキットを製作する」図がこの夏も現出する事になりましたw

 シンナーも塗料も使わず、カッターとピンセットで少しづつ工程を進めてゆけるのは「キッチンモデラー」にとっては大いに有り難いところです。
 (ただ、ひと段落つけるたびに決まって肩凝りと項部痛に襲われるのは一種の宿命の様な物でしょうか)

 もしこれが上手くゆく様なら、ラインアップをチェックしてもう夏場にもう1軒くらい作るかもしれません。

カワイモデルの蒸機のレストアに感じたことw

2024-08-03 05:27:32 | 車両・16番
 5月からこのかた、当ブログのネタの中心になっていたカワイモデルの60型蒸機のレストア。

 思えば、N/HO/Zの各ゲージのモデルでレストアや動力の分解・整備、改造はこれまでにも時々やってきたのですが、今回の物ほど考え込み、試行錯誤し、手古摺ったものはなかったと思います。

 モーターの不動から始まり、集電系の製作、モーターマウントの調整などわたしレベルの素人が思いつく事はすべて試し、曲がりなりにも走らせる事は出来ましたが。
 その結果分かったのはこのモデルが「走行系のすべての要素に問題を抱えていたモデルだった」という事くらいです(笑)

 わたしがこれまで見てきたHOの小型蒸機モデルに比べて特に特徴のない、言い換えれば「ごく単純な機構の動力」だったにも拘らずこのふた月悩まされました。

 結局根本の問題のひとつであるギアの摩耗については現時点で打つ手が思いつけない状態です。

 ですが、その一方で今回のレストアほど勉強になり、且つ面白かった物もありませんでした。

 単純な機構でも微妙な調整次第でコンディションが激変するのは、精密度の高い今のNゲージやHOの動力には見られない性質のものと思います。

 が、それだけにこの機関車についてはアナログ的というか「工作の愉しみの原点」の様な物が感じられ、トラブルが起きても「では次にどうするか」を考えて実験を重ねつつゴールを目指す過程が一つの愉しみになっていた様な気がするのです。

 現時点での結果としてスムーズさとは程遠い走りではありますが、曲がりなりにも不動品をここまで持ってこれた事自体には一種の達成感を感じてもいます。
 少なくとも今の時点でわたしにできる範囲の事はすべて試しましたから。それでも手に負えなかったとはいえ、がっかりはしていません。

 実をいうと、この手の修理系の作業は子供の頃からわたしが最も苦手としてきた事で、玩具にしろ模型にしろ「動かなくなったらただ泣いているしかない」状態で、わざわざ手を掛けて修理するなんてのもほとんどできなかったくらいです。
 それが今では走らない模型を走れるように持って行く事、そのために手を動かし、頭を使い時間をかける様になっているのだから世の中は分からない物です(笑)

 流石にこれより複雑な機構の動力の修理なんてなったら、今のわたしでもお手上げになるだろうとは思いますが、それでも昔ほどには尻込みはしないだろうという気もしています。
 少なくとも自分の手に負えるかどうかの見当くらいは付くでしょうから(恥)

 でもこんな事ができるのも「これが趣味だから」なのかもしれません。
 改めて思うのですが趣味の一面には「金を払って苦労を買う」という側面があり、それは「好きだから」こそ可能な事と思えるからです。

 今回のレストアでは色々と試行錯誤はしましたが、それと同時にそういう事も考えたりもしていました。

KATO485系の中間車追加に思うこと

2024-08-01 05:25:17 | 車輌・電車

 先日入線したKATOの485系300番台ですが、旧製品のトレーラーのM+Mのユニットを加えても現時点ではトータル8連と思ったほどには長くなりません。
「やまびこ」か「はつかり」辺りを想定するならせめてもう2ユニットのM+Mが必要になります。

 とはいえ、現住地では中間車だけの増結セットはなかなか手に入りませんし通販を使うのも何か業腹な気もしましたので、先日の秋葉行きで中間車のユニットを漁る事にしました。
 流石にそこは「鉄道模型の店を梯子できる」あの場所の事、すぐに物を見つけることが出来ました。

 ですがそこで驚いた事は「M+Mのトレーラーとはいえ、れっきとした新品のNゲージのモケイが2両で3千円ちょっとだった」事です。
 何しろ最近の鉄道模型は価格の高騰が著しく、あの鉄コレですら次回製品は1両2500円。これにN化パーツや車輪を入れると1両で今回のセットより高くなる計算になるのですから。
 確か最近出たマイクロの10系客車も1両で5千円くらいはしたと思います。

 実のところ、今回は上京が急に決まったので、事前に価格を調べておらず漠然と「2両で5千円くらいだろう」程度に考えていましたから(量販値引きを考えても)意外な展開だったのです。
 そんな事もあって当初2連だけ揃える予定だったのが4連買える事になり、実車同様の12連が組める状態にもって行けたのは幸いでした。

 ところでKATOの485系増結セットには実は2種類ありまして「きのこクーラーの初期型」と「ボックスクーラーの後期型」がチョイスできます。
 前にIMONの展示品で「電気釜にきのこクーラーの中間車」の組み合わせに違和感を感じていたのですが、今回増結を2セット買えるとなると逆に「同じセットを二つ」というのが面白くなくなってきたのも確かで片方は初期型を選択しました。
 (編成表によると当時は「白鳥」「ひばり」「あいづ」などで初期型の中間車を組み込んだ編成があったそうですが「やまびこ」にそれがあったのかは不明です)

帰宅後、さっそく組んでみた電気釜12連編成は流石に迫力もの。前に入線していたマイクロの483系「やまびこ」との釣り合いもちょうど好い感じでした。