ちゃ~すが・タマ(冷や汗日記)

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根來秀樹『お母さんのための児童精神医学-子どもの心の脳科学』日本評論社

2010年02月19日 08時27分55秒 | 
同僚の根來秀樹さんからいただいた著書をようやく読みおわった。「心の科学」に「フロントライン」として書かれたものを、「お母さんのための」という修飾語を添えてまとめなおしたものである。「脳科学」を中心に生物学的な側面を基礎にしつつ、臨床の場面でであった子どもたちの姿を示している。
一つのテーマで先端的な論文を生産する人も大切だが、それをまとめて全体像を示す仕事をしている人は尊敬する。広く、その分野の成果を吸収していないといけないからだ。その意味で、聞く耳や見る目をもっていないといけない。

内容は次の通り

1 発達障害はここまでわかった
1章 アスペルガー障害の臨床
2章 アスペルガー障害の脳科学
3章 ADHDの脳科学と臨床
4章 大人のADHDとADHDのようにみえる子どもたち
5章 学習障害の脳科学
6章 発達障害がある子の性の問題

2 児童精神医学はここまでわかった
7章 強迫性障害を科学する
8章 チックを科学する
9章 排泄の問題を科学する――遺尿・夜尿・遺糞など
10章 PTSDを科学する
11章 「キレる」を科学する

3 児童精神科の現場から
12章 子どもの気分障害を考える――子どものうつ病・躁うつ病
13章 不登校・ひきこもりを考える
14章 アメリカに住むお母さんの子育て相談
15章 子どもの薬物療法

以前は、事象関連電位をやっていたようだが、最近は、NIRSをつかってヘモグロビン値の測定から脳の血流を測定する研究をしている。うちのセンターにも簡易計測できるNIRSが導入された。そのデモの時に、疲れていたので、ちょうどいいから見てもらおうと、額の上に、測定のバンドのようなものをつけてもらった。そのときの脳の動きが気になったので、N先生に、尋ねた。

T「ニルスで頭は動いていましたか?」
N「動いていませんでした」
T「えっ!」
N「動いていませんでしたよ」
T「僕の頭は働いていなかったですか?」
N「頭の中は働いていたようです」
T「よかった」

脳科学者には、「頭が動いていたか」ではなく「脳が活動していたか」といわないといけない。

話を聞くと、ごっつい関西弁で、声も大きくて、面白い。
遺糞症のアスペルガー障害の子どもの診断と治療のところに、「関西圏から出たことがないのに標準語でずっとはなしていた」とある。ごっつい関西弁の医者とごっつい標準語の子どもはどのような会話をしたのか、想像してしまう。

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