数日前に、図書館から借りていた斎藤美奈子『文庫解説ワンダーランド』を読み終わった。
文庫の解説に対して辛口の批評を綴った、目の付け所のおもしろい本。解説は、「基本はオマケ」と書いている。目次は次の通り
序にかえて 本文よりエキサイティングな解説があってもいいじゃない
1.あの名作に、この解説
坊ちゃん 四国の外で勃発していた解説の攻防戦
伊豆の踊子・雪国 伊豆で迷って、雪国で遭難しそう
走れメロス 走るメロスと、メロスをみない解説陣
放浪記 放浪するテキスト、追跡する解説
智恵子抄 愛の詩集の陰に編者の思惑あり
2.異文化よ、こんにちは
悲しみよこんにちは、ティファニーで朝食を 翻訳者、パリとニューヨークに旅行中
ロング・グッドバイ、グレート・ギャツビー ゲイテイストをめぐる解説の冒険
ハムレット 英文学か、それが問題だ
小公女 少女小説(の解説)を舐めないで
ヨーロッパ退屈日記、女たちよ! おしゃれ系舶来文化の正しいプレゼンター
武士道、葉隠 憂国の士があこがれるサムライの心得
3.なんとなく、知識人
赤頭巾ちゃん気をつけて、なんとなく、クリスタル ン十年後の逆転劇に気をつけて
君たちはどう生きるか、資本論 レジェンドが鎧を脱ぎ捨てたら
されど われらが日々 優しいサヨクのための嬉遊曲 サヨクが散って、日が暮れて
モオツァルト・無情という事 試験に出るアンタッチャブルな評論家
Xへの手紙、共同幻想論 ソラからコバヒデが降ってくる
三四郎 友情 悩める専念の源流を訪ねて
4.教えて、現代文学
限りなく透明に近いブルー、半島を出よ 限りなくファウルに近いレビュー
点と線、ゼロの焦点 トリック破綻を解説刑事が見破った
三毛猫ホームズシリーズ 私をミステリーの世界に連れてって
ひとひらの雪 解説という名の「もてなし」術
ビルマの竪琴、二十四の瞳、夏の花 彼と彼女と「私」の戦争
火垂るの墓、少年H、永遠の0 軍国少年と零戦が復活する日
あとがき
To be or not to be, that is the questionの訳の話(p.84)
赤川次郎作品は「17歳」がキーワード。18歳になれば大人の世界に足を踏み入れてしまう。その一歩手前の、まだ日々の暮らしに戸惑いを持っている、ナイーブな世代。『セーラー服と機関銃』はその第一歩(p.204)
原爆文学の『夏の花』に関するリービの解説 西洋と違って、近代の日本文学の中では、フィクションとノンフィクションの区別がそれほどはっきりしなかった。・・「「自然現象おなかの私」が文学の大きな流れとなった」p.225-226
野坂昭如の『火垂るの墓』、野坂は、1930年生まれ。大野さんと同じ。野坂らの戦争体験:昭和五年に生まれた昭如は、生まれて1年後にいわゆる満州事変がおこり、小学校に入学した年に盧溝橋事件がはいjまり、中学のときに太平洋戦争が終わっている。もう少し早く生まれていれば、特攻隊員として散華していたかもしれないし、もうすこしあとに生まれれば、学童疎開で田舎へ行き、飢餓を通して戦争を実感したかもしれない。しかし彼の世代は、戦争と戦後の陥没地帯に似て、そのどちらにもついてゆけず、規制の権威や木津所を音を立ててくずれるのを、その目で見、その肌で感じた世代ということになる。p.229
解説をくさす、辛口の言葉が小気味がいいというか。
文庫の解説に対して辛口の批評を綴った、目の付け所のおもしろい本。解説は、「基本はオマケ」と書いている。目次は次の通り
序にかえて 本文よりエキサイティングな解説があってもいいじゃない
1.あの名作に、この解説
坊ちゃん 四国の外で勃発していた解説の攻防戦
伊豆の踊子・雪国 伊豆で迷って、雪国で遭難しそう
走れメロス 走るメロスと、メロスをみない解説陣
放浪記 放浪するテキスト、追跡する解説
智恵子抄 愛の詩集の陰に編者の思惑あり
2.異文化よ、こんにちは
悲しみよこんにちは、ティファニーで朝食を 翻訳者、パリとニューヨークに旅行中
ロング・グッドバイ、グレート・ギャツビー ゲイテイストをめぐる解説の冒険
ハムレット 英文学か、それが問題だ
小公女 少女小説(の解説)を舐めないで
ヨーロッパ退屈日記、女たちよ! おしゃれ系舶来文化の正しいプレゼンター
武士道、葉隠 憂国の士があこがれるサムライの心得
3.なんとなく、知識人
赤頭巾ちゃん気をつけて、なんとなく、クリスタル ン十年後の逆転劇に気をつけて
君たちはどう生きるか、資本論 レジェンドが鎧を脱ぎ捨てたら
されど われらが日々 優しいサヨクのための嬉遊曲 サヨクが散って、日が暮れて
モオツァルト・無情という事 試験に出るアンタッチャブルな評論家
Xへの手紙、共同幻想論 ソラからコバヒデが降ってくる
三四郎 友情 悩める専念の源流を訪ねて
4.教えて、現代文学
限りなく透明に近いブルー、半島を出よ 限りなくファウルに近いレビュー
点と線、ゼロの焦点 トリック破綻を解説刑事が見破った
三毛猫ホームズシリーズ 私をミステリーの世界に連れてって
ひとひらの雪 解説という名の「もてなし」術
ビルマの竪琴、二十四の瞳、夏の花 彼と彼女と「私」の戦争
火垂るの墓、少年H、永遠の0 軍国少年と零戦が復活する日
あとがき
To be or not to be, that is the questionの訳の話(p.84)
赤川次郎作品は「17歳」がキーワード。18歳になれば大人の世界に足を踏み入れてしまう。その一歩手前の、まだ日々の暮らしに戸惑いを持っている、ナイーブな世代。『セーラー服と機関銃』はその第一歩(p.204)
原爆文学の『夏の花』に関するリービの解説 西洋と違って、近代の日本文学の中では、フィクションとノンフィクションの区別がそれほどはっきりしなかった。・・「「自然現象おなかの私」が文学の大きな流れとなった」p.225-226
野坂昭如の『火垂るの墓』、野坂は、1930年生まれ。大野さんと同じ。野坂らの戦争体験:昭和五年に生まれた昭如は、生まれて1年後にいわゆる満州事変がおこり、小学校に入学した年に盧溝橋事件がはいjまり、中学のときに太平洋戦争が終わっている。もう少し早く生まれていれば、特攻隊員として散華していたかもしれないし、もうすこしあとに生まれれば、学童疎開で田舎へ行き、飢餓を通して戦争を実感したかもしれない。しかし彼の世代は、戦争と戦後の陥没地帯に似て、そのどちらにもついてゆけず、規制の権威や木津所を音を立ててくずれるのを、その目で見、その肌で感じた世代ということになる。p.229
解説をくさす、辛口の言葉が小気味がいいというか。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます