朝日新聞記事を引用。
地下アイドル、ライブアイドルは、身近すぎて、燃え上がる対象になりにくい。その辺の心情を、書いてみたい。ナッキー
地下アイドル、萌える大人 握手会やチェキ会、身近さ魅力
2014年11月22日16時30分
AKB48やももいろクローバーZらが脚光を浴びる裏側で、ライブハウスを拠点にする地下アイドルたちの世界が盛り上がっている。追っかけのファンには年配の社会人の姿も目立つ。地下で燃える(萌〈も〉える)大人たちを追っかけた。
平日の夜8時、渋谷のライブハウス。会社員のまっちーさん(46)は、スーツからTシャツ姿に変身した。アイドル、みきちゅのライブが始まると、300人ほどの群衆をかき分けステージの真ん前に立ち、ミックス(応援のかけ声)を打つ。ジャンプをしたり、振りをまねしたり。ライブが終わると、さわやかな汗が流れていた。「自分一人の力で歌手の道を進む姿に心が打たれる」
会社員わっちさん(23)は「僕の力でみきちゅを有名にしたい」と意気込む。年100枚近く購入するCDは人にも分け、みきちゅの本拠・仙台でのライブにも足しげく通う。趣味は会社にも知られ、上司から「ボーナスの半分は貯金したほうがいい」と忠告され、実行中だ。
ライブが終わると、出演したアイドルたちが直接、グッズを売ったり、インスタントカメラでチェキ写真を撮影したりする物販会がある。そこにはみきちゅと仲良く写真を撮るまっちーさんらの姿があった。
みきちゅのようにライブハウスを中心に活動するアイドルは、「地下」や「ライブ」アイドル、さらに地方が拠点の場合は、「ご当地」や「ロコ」アイドルと呼ばれる。ファンにとって魅力は身近さにある。メジャーなアイドルに比べ、小さな会場で間近に見られる上、ライブ数が多い。握手会やチェキ会など接触の機会も十分にあり、親しくなりやすい。ただ、回数を重ねるには費用がかかり、自然と大人のファンが幅をきかせている。
地下アイドルの裾野が広がった背景について、アイドルライターの岡島紳士さんは「AKB48以来、女の子たちがアイドルになれると感じるようになる一方、録音技術の進歩やインターネットの浸透で、大手企業でなくてもアイドルを売り出しやすくなった」と話す。
一方、元々、音楽ファンだった人がはまるケースも少なくない。
ロック系アイドルの「BELLRING少女ハート」を応援する40代のいくぞーさんは、往年のインディーズロックファンで、今はアイドルとライブで盛り上がる。娘とライブに行くこともある。「妻はさておき、娘は理解してくれています」
会社員のキンバさん(46)は元々ソウル音楽が好きだったが、ももクロでアイドルにはまり、愛媛県の人気アイドル「nanoCUNE」に至った。土曜日、メンバーを追いかけ午前中に東京・台場、午後は赤坂と会場をはしご。翌日は松山市でライブがあるため夜の間に仲間のファンとレンタカーで現地に向かい、月曜日の朝に東京に戻る。国内だけでなく来月には台湾遠征にも同行。月に20万円ほど出費したこともあるが、いつも応援していることを知らせたい。「正直、しんどいです。すごく人気が出て手の届かないところに行くか、解散して欲しい」
休日の新宿・歌舞伎町で、地下アイドルが集まるライブがあった。フロアの客は30人程度しかいない。飲食店を経営する「おでん屋」さんは3カ月前に初ライブをしたばかりの「Lyric Holic歌劇団」を追いかける。「好きなのは、おれに優しいから。自分がついていないと解散してしまう心配もある」
アイドルはいつか卒業する。だが、大人たちがアイドルから卒業する日は来るのだろうか。
(大西元博)
地下アイドル、ライブアイドルは、身近すぎて、燃え上がる対象になりにくい。その辺の心情を、書いてみたい。ナッキー
地下アイドル、萌える大人 握手会やチェキ会、身近さ魅力
2014年11月22日16時30分
AKB48やももいろクローバーZらが脚光を浴びる裏側で、ライブハウスを拠点にする地下アイドルたちの世界が盛り上がっている。追っかけのファンには年配の社会人の姿も目立つ。地下で燃える(萌〈も〉える)大人たちを追っかけた。
平日の夜8時、渋谷のライブハウス。会社員のまっちーさん(46)は、スーツからTシャツ姿に変身した。アイドル、みきちゅのライブが始まると、300人ほどの群衆をかき分けステージの真ん前に立ち、ミックス(応援のかけ声)を打つ。ジャンプをしたり、振りをまねしたり。ライブが終わると、さわやかな汗が流れていた。「自分一人の力で歌手の道を進む姿に心が打たれる」
会社員わっちさん(23)は「僕の力でみきちゅを有名にしたい」と意気込む。年100枚近く購入するCDは人にも分け、みきちゅの本拠・仙台でのライブにも足しげく通う。趣味は会社にも知られ、上司から「ボーナスの半分は貯金したほうがいい」と忠告され、実行中だ。
ライブが終わると、出演したアイドルたちが直接、グッズを売ったり、インスタントカメラでチェキ写真を撮影したりする物販会がある。そこにはみきちゅと仲良く写真を撮るまっちーさんらの姿があった。
みきちゅのようにライブハウスを中心に活動するアイドルは、「地下」や「ライブ」アイドル、さらに地方が拠点の場合は、「ご当地」や「ロコ」アイドルと呼ばれる。ファンにとって魅力は身近さにある。メジャーなアイドルに比べ、小さな会場で間近に見られる上、ライブ数が多い。握手会やチェキ会など接触の機会も十分にあり、親しくなりやすい。ただ、回数を重ねるには費用がかかり、自然と大人のファンが幅をきかせている。
地下アイドルの裾野が広がった背景について、アイドルライターの岡島紳士さんは「AKB48以来、女の子たちがアイドルになれると感じるようになる一方、録音技術の進歩やインターネットの浸透で、大手企業でなくてもアイドルを売り出しやすくなった」と話す。
一方、元々、音楽ファンだった人がはまるケースも少なくない。
ロック系アイドルの「BELLRING少女ハート」を応援する40代のいくぞーさんは、往年のインディーズロックファンで、今はアイドルとライブで盛り上がる。娘とライブに行くこともある。「妻はさておき、娘は理解してくれています」
会社員のキンバさん(46)は元々ソウル音楽が好きだったが、ももクロでアイドルにはまり、愛媛県の人気アイドル「nanoCUNE」に至った。土曜日、メンバーを追いかけ午前中に東京・台場、午後は赤坂と会場をはしご。翌日は松山市でライブがあるため夜の間に仲間のファンとレンタカーで現地に向かい、月曜日の朝に東京に戻る。国内だけでなく来月には台湾遠征にも同行。月に20万円ほど出費したこともあるが、いつも応援していることを知らせたい。「正直、しんどいです。すごく人気が出て手の届かないところに行くか、解散して欲しい」
休日の新宿・歌舞伎町で、地下アイドルが集まるライブがあった。フロアの客は30人程度しかいない。飲食店を経営する「おでん屋」さんは3カ月前に初ライブをしたばかりの「Lyric Holic歌劇団」を追いかける。「好きなのは、おれに優しいから。自分がついていないと解散してしまう心配もある」
アイドルはいつか卒業する。だが、大人たちがアイドルから卒業する日は来るのだろうか。
(大西元博)