先日の地方紙に「原発再稼動 今こそ国民投票を」(ジャーナリスト 今井 一)という、一文が掲載されていた。要約すると、
投稿者らは、3.11後「みんなで決めよう『原発』国民投票」という運動を展開している。この運動は反原発達成のためではなく、「憲法3原則の一つ「国民主権」をより豊か」にするためにやっている。
日本の政治システムは代議員制を基本としているが、このシステムは個別の政治課題では必ずしも有権者多数の意思を反映し難いという問題を孕んでいる。
原発の是非はじめ憲法9条改憲の是非など、国の行く末を左右する大きな政治課題については国民投票で決めるべきだ。
実は私もずっと同様の問題意識を持っている。
代議員制というのは選挙が行われた時点での政策セットで判断しその実行を期待して代議員を選ぶのである。このシステムが民主主義として機能する前提は、有権者は自らの判断で投票権を行使し、投票結果が正確に反映されて代議員が選ばれ、選ばれた代議員は誠実にその公約を実行する、ということである。
今さら何をと言われてしまいそうなことだが、利害や人間関係、マスコミなどに左右される投票行動、政権政党有利の選挙制度による獲得票数と議員数の不一致など、民主党マニフェストの形骸化を例に挙げるまでもなく、現実には代議制民主主義などというものは実現不可能なことを事実が示している。
むしろ選ばれてしまえばこっちのものとばかりに、旋風?渦中の橋下氏を例に出すまでもなく、選挙民を置き去りに「有力者」とその思惑、利害を受けた議員達で政治が進められていくのがオチだ。
原発事故のような国の行く末を大きく左右する問題でも、選挙後に発生した問題は有権者の埒外でしかない。次の選挙に託せば良いという考え方もあるかもしれないが、遅々としてむしろ悪化の一途をたどることの方が多いことの証明が今の閉塞状況なのではないのか。
枝葉末節のようなことがらは別として、「国の行く末を左右する大きな政治課題については国民投票で決めるべき」であるとする意見には賛成だ。もちろん、国民が自ら情報を集め、まともに真剣に考えて判断する条件と能力があることが前提であるが、例えそれらが不十分であったとしても、結果は現状の国民の政治レベルに応じた「民意」であるという意味では代議員制よりもマシであり、結果に文句も付けられない。
現政権側有利を狙った議員定数削減、小選挙区制維持結構(正すに越したことはないが)。死票をなくすための完全比例代表制も結構(抵抗する少数派は賛成、支配する多数派は反対するのは当たり前)。しかし国民投票制度、最低限これだけはなんとか実現して欲しいものだ。