WESTWOOD -手作りビンボー暮らし-

持続可能な社会とは、必要なものはできる限り自分(達)で作る社会のことだ。衣食住なんでも自分で作れる人が偉いのだ。

大米騒動

2021年01月15日 | 映画(西部劇など)

コロナでヒマなので(別にコロナでなくてもヒマか)、大正時代の富山の米騒動を描いた映画「大米騒動」を観てきました。

<総評>
関係者の方々にはほんと申し訳ありませんが、正直期待外れ。
男尊女卑の非民主的時代がテーマだと思いますが、貧乏な”細民”と強欲な米屋の対立という構図が浅すぎて何も伝わってこない。まあ少しだけ、シベリア出兵の兵糧としてのコメ需要増と投機という表面的な時代背景には触れられているが、その歴史的、社会的な掘り下げは全く無い。どころか、その矛盾を正そうと街頭演説する”労農党”らしきお方に対して、おかか達に「あんたらみたいな口ばっかりで何にも動かないやつに用はない。うちらはうちらのやり方でやる」と罵倒させ、今のヘタレな野党をディスるかのごとき演出は、当時の皇国警察の弾圧に抗して命がけで戦った労農党はじめとした方々に対し失礼極まりないし、歴史をゆがめて見せる悪質さを感じざるを得ない。こんなトランプ氏のツイッターばりの描写では、映画を観て米騒動の本質を理解できた人はいないどころか、誤解さえ与えてしまうだろう。室井おばばがいなかったら映画としては凡作以下、歴史の描き方ではむしろ事実を捻じ曲げた御用映画と言われてもしかたないだろう。
室井さんファン以外、おススメする価値はないのでリンクもはりません。

<映画作品としての評価>
真央さんファンには申し訳ないがミスキャスト。こんな美人な女性が富山の寒村にいるわけがない(富山の方ごめんなさい)。実在感ゼロ。夏木さんや左さん、柴田さんなどの演技派を揃えながらチョイ役扱いで全く活かされていない。ギャラ高いだろうにもったいない。あんな演出なら他の大根役者で十分。立川志の輔さんの狂言回し的解説役も、時代背景や庶民の心情を伝えるべきカットを手抜きするための苦肉の策なのが見え見え。 対して室井滋さんのおばばはさすがの存在感。本作はあくまで室井さんの、室井さんによる、室井さんファン(私)のための映画。というわけで個人的には室井さんのおばばを堪能できたので、そこだけは満足でした。