「2010年 地域主権 地方議会も変化の時」(1月10日毎日新聞社説から抜粋)
内閣は「地域主権」を旗印に掲げている。従来の「地方分権」との言葉を用いず、地方に権限を強力に移し、行政への住民参加を徹底し、自立した自治の完成を目指す発想だ。
ヒモつき補助金を使途が自由な一括交付金に改編する作業も、今年は本格化する。脱・官僚依存に向け・・同時に「地域主権」を目指す改革が、地方にバラ色の未来を当然のように約束するものでない。
自治体の「地域経営」の自由度が高まれば、それだけ成功、失敗に伴う結果責任を首長は問われ、住民の生活も大きな影響を受ける。自立を試される自治体はその受け皿にふさわしい政策の立案能力と、権力のチェック機能が求められる。
提起したいのは、地方議会のあり方だ。日本は首長、議員ともに住民から直接選出される二元代表制、双方の協調とけん制で自治を形づくる。条例など政策立案は首長が優位に立ち、議会は議案が素通りし、片山前鳥取県知事が「八百長と学芸会」と評したような審議がまかり通る。一方で、裏金など、議会の監視はいったい、どうなっていたのか。
地方議員に求められるのは、専門知識以上に、住民の意識をくみ上げ、地域を変える熱意とセンスだ。・・内閣は、自治の原則を定める地方自治法の抜本改正も検討している。まさに「地域主権」の主役として、地方議会の将来像を幅広く議論する好機である。 |