●民間の企業年金及び退職金の実態調査の結果並びに当該調査の結果に係る本院の見解について
平成24年3月7日 総務大臣川端達夫殿 財務大臣安住淳殿 人事院総裁江利川毅
給生- 2 8 平成24年3月7日 総務大臣川端達夫殿 財務大臣安住淳殿 人事院総裁江利川毅
民間の企業年金及び退職金の実態調査の結果並びに当該調査の結果に係る本院の見解について
平成23年8月25日に貴職から御依頼のあった標記の件につきましては、民間
企業における企業年金及び退職金の実態調査を行うとともに、現行の国家公務
員共済年金の職域部分及び退職手当との水準比較を行いました。
本件について人事院の取りまとめた調査結果及び見解は、別紙のとおりであ
ります。
別紙
Ⅰ 民間及び公務における退職給付調査の結果
1 民間企業の退職給付調査の結果
⑴ 調査対象及び調査方法
退職給付は勤務条件的な性格を有していることから、調査企業は、本
院が毎年実施している「職種別民間給与実態調査」と同様に、企業規模
50人以上の企業を対象とした。具体的には、企業規模50人以上の全国の
民間企業約35,700社(母集団企業)から企業規模及び産業分類別に層化
無作為抽出法によって抽出した6,314社を対象に、昨年10月から11月に
かけて調査を実施した。調査内容は、平成22年度における各民間企業の
退職給付制度と平成22年度中に勤続20年以上で退職した常勤従業員(大
卒及び高卒)の退職給付の支給額とした
Ⅱ 退職給付の官民比較
2 退職給付水準の官民比較結果
上記1で示した比較の考え方に基づき、本院は、調査対象となった企業
規模50人以上の民間企業との比較を行った。具体的には、公務においては
行政職俸給表(一)適用職員、民間企業においては公務の行政職俸給表(一)
適用職員と類似すると認められる事務・技術関係職種の常勤従業員につい
て、退職事由別(公務の定年退職と民間の定年退職、公務の勧奨退職と民
間の会社都合退職)、勤続年数別に退職給付総額(いずれも使用者拠出分)
を対比させ、仮に国家公務員の退職者に民間企業の退職給付額を支給した
とすれば、これに要する支給総額が現に国家公務員の退職者に支払われる
退職給付総額と比べてどの程度の差があるかを算出するラスパイレス方式
による比較を行った。

その結果は、別表第5に示すとおり、
公務29,503千円(うち共済職域現
価額2,433千円、退職手当27,071千円)に対して民間25,477千円(うち企
業年金現価額15,063千円、退職一時金10,415千円)となり、公務の退職給
付総額が民間を4,026千円(13.65%)上回っている。
Ⅲ 国家公務員の退職給付についての見解
1 官民較差の解消の必要性
国家公務員の退職給付は、退職後の職員及び家族の生活設計を支えると
ともに、守秘義務等の服務規律の維持等の面から重要な意義を果たしてき
ている。そうした退職給付は勤務条件的な性格を有しており、その水準は
同種の給付を行っている民間企業における退職給付の総額との均衡を図る
ことが、経済社会情勢に適応した適正な退職給付を確保することにつなが
るものである。このため、上記Ⅱで示した民間企業の退職給付調査に基づ
く官民の退職給付の比較結果に基づき、国家公務員の退職給付について見
直しを行うことが適切である。
退職給付の見直しに当たっては、国家公務員の退職給付がこれまで終身
年金である共済職域と退職手当から構成され、その意義を果たしてきてい
る経緯や、企業規模50人以上の民間企業では退職給付として企業年金を有
する企業が過半を占めていることを考慮した対応が必要であると考えられ
る。なお、これまで国家公務員退職手当法の改正により退職手当の引下げ
(昭和56年は△8.3%、平成15年は△5.5%)が行われた際には、所要の経
過措置が講じられている。今回の退職給付の見直しは、退職後の職員の生
活設計に大きな影響を及ぼすこと、及び過去の引下げ幅と比べても大幅な
引下げとなることに鑑み、所要の経過措置を講じることが適切と考えられ
る。・・・ |