インターネットのニュースを見ていたら、「カロリー制限で寿命は延びるのか」という話題があった。
ひと通り見てみた。
実際にカロリー制限している人には、「カロリー制限」の功罪について、参考になるニュースだろう。
・・・私はというと、一応、食事には気を付け、運動も心掛けている。
その意味では参考にすべきか・・・
「食事制限された猿は、ガンの発生率がいくぶん抑制されたものの、心臓血管疾患の割合はわずかに上がった」
「総じて、老化と関係の見られる疾患(糖尿病や高血圧など)の発症を、遅らせているように見られた」
「だがカロリー制限との因果関係はハッキリしない」
・・・・
当該研究者やその研究結果に対する論評を見て感じたのは、「カロリー制限」自体はあまり意味がないのではないか、ということ。
たとえば、
「激しいカロリー制限をしている男性はテストステロン(男性ホルモン)が少なくなり、骨密度維持に問題が生じる恐れがある」
などの意見もあるし、
「単純にカロリーだけの問題ではなく、食事の内容が問題なのだ」
という話は納得。
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●カロリー制限しても寿命は延びず
「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2012年 8月 30日 9:33 JST
ある研究によると、サルを使った実験では、カロリーを制限すると健康にはなるが、その寿命は延びないことが示唆された。これは大幅なカロリー制限は寿命を延ばすとの、一部の人たちの考えを否定するものだ。
過去数十年にわたるマウスとラットを使った各種の実験では、カロリーを制限すると、その寿命は30~40%延びた。カロリー制限が寿命を延ばすという考えは、2009年に発表されたアカゲザル―遺伝子的にマウスなどよりも人間に近く、同じように長期間生きる―を使った研究結果で、寿命が延びる傾向が見られたことで強まった。ただ、その研究結果は明瞭さを欠いていた。
こうした研究成果は、摂取カロリーを制限するだけで長生きできるのではないかという魅力的な考えが生まれ、何千人もの人は現在、寿命を延ばすために、典型的なカロリー量である1日2200カロリーを30%も下回る熱量しかとっていない。薬品会社は、ひどい空腹感を覚えることなく同様の効果を得られる薬品を研究している。
科学者らは、カロリー制限がもたらす利点が適応反応につながっているのかもしれないと推測し、食料が不足すれば動物は繁殖できず、その老化プロセスも鈍ると考えた。これによって、食料が豊富になり、繁殖できるようになるまで時間稼ぎができるというわけだ。
しかし、科学誌ネイチャー(電子版)に29日に掲載されたデータは、この理論は人間には簡単に適用できないかもしれないことを示唆した。メリーランド州ボルティモアの米国立老化研究所(NIA)の老人病専門家で、報告の中心執筆者となったラファエル・ドカボ氏は「明らかになりつつある一つのことは、カロリー制限は地球上を歩いている全ての生き物にとって寿命を延ばす聖杯ではないということだ」と指摘した。
同氏らの研究ではサルを1~14歳と16~23歳の二つのグループに分けて、通常より30%少ない餌を与え、その結果を通常に近い餌を与えた2グループと比較した。少量の餌のサルはいずれのグループでも、通常の餌のサルたちより長生きすることはなかった。
健康面への影響はまちまちだった。少量の餌を与えられた雄のサルのコレステロールは非常に低かったが、雌のサルにはこれは見られなかった。カロリー制限はガン発生率を低めたようだが、一方で、心臓血管疾患の発生率をわずかながら高めた。有望な結果は、さまざまな老化に関連した疾患の発生は少量の餌のグループでわずかに遅れたように見えたことだ。
NIAでのサルの研究は、ウィスコンシン大学で同様の研究が始まった1980年代末にスタートした。アカゲザルは平均して30年近く生きるため、生存中の差異を調べるには長期間が必要になる。
ウィスコンシン大学の研究は決定的な発見をもたらした最初のものだった。09年に発表された研究結果では、老齢に関連した原因による死亡を除外する限り、カロリー制限はサルたちの寿命を延ばしたことが分かった。ただ、一部の科学者らは、その方法論を疑問視した。これらの死亡を含めれば、寿命が延びたことは消えてしまうというわけだ。
それにもかかわらず、同大学のデータはカロリー制限が霊長類の寿命に影響する可能性があるとの手掛かりを初めて提供した。ミステリアスなのは、NIAの研究ではなぜ違った結論が出たのかということだ。
一つの理由は、これらの研究が異なった形で行われたことだ。ウィスコンシン大のサルたちにはNIAの場合よりもはるかに多くのスクロース(蔗糖)が与えられた。また、大学の対照群(カロリー制限のないグループ)は好きなだけ食べることができ、NIAでは一定の量しか与えられなかった。
テキサス大学健康科学センター(テキサス州アンアントニオ)のバイオ老人病専門家スティーブン・オースタッド氏は「制約条件から見て、いずれの研究もうまく行われた」とし、「いずれも発見したことをどのように人間の条件に当てはめるかについての問題を提起した」と述べた。同氏はNIAの研究には参加しなかったが、この研究についてネイチャーに解説を書いた。
人々はその遺伝子的組成と食事の構成によってカロリー制限への反応が異なる可能性がある。その結果も、制限を始めた時に太りすぎなのか、あるいは既にやせているのかによって異なるだろう。適正に制限すれば、心臓疾患のリスク低減など健康面での若干の利益は得られるようだ。ワシントン大学(ミズーリ州セントルイス)の科学者は6月、カロリー制限をしている人の心臓は実年齢より20歳も若い人のようだったとの研究結果を発表した。
一方で、テキサス大のオースタッド氏は、激しいカロリー制限をしている男性はテストステロン(男性ホルモン)が少なくなり、骨密度維持に問題が生じる恐れがあると述べている。
●カロリー制限は本当に体にいいの? 老化の専門機関が「寿命への素晴らしい効果は期待できない」と報告
ロケットニュース 2012年9月1日
ダイエットの一環で「カロリー制限」をしているという人に、知っておいて頂きたい情報がある。それは、アメリカの老化研究の専門機関が、カロリー制限に関する重要な報告をしているのだ。この機関は約20年にわたってアカゲザルの調査を行ったきた。そうしたところ「カロリー制限は寿命への効果は期待できない」と結論づけているのだ。もしかすると、「体のため」と思ってやっていることが無意味であるかもしれない。
アメリカの国立老化研究所(NIA)は、23年にわたってアカゲザルの調査を行ってきた。当初120匹(現在は約50匹)の猿のうち、半分にカロリー3割減の食事を提供し、ダイエットを実施してきた。その結果現在まで生き残っている猿が、必ずしもダイエットから直接的な恩恵を受けて延命した訳でないと、科学誌『ネイチャー』に報告している。
食事制限された猿は、ガンの発生率がいくぶん抑制されたものの、心臓血管疾患の割合はわずかに上がったという。
総じて、老化と関係の見られる疾患(糖尿病や高血圧など)の発症を、遅らせているように見られたとのこと。だがカロリー制限との因果関係はハッキリしないようだ。
実は2009年にウィスコンシンの霊長目リサーチセンター(WNPRC)が、カロリー制限が寿命に良い効果を与えると報告し、世界的な話題になった。カロリー制限を受けた猿は、「糖尿病が発症する確率が低かった」としている。ところがそもそも比較されたふたつのグループの食事量に大きな違いがあった。制限を受けていなかった猿には、食事量の限界がなかったため、甘いものを過剰に摂取していたようだ。そのため研究方法に疑問の声もあった。
したがってNIAの報告は、WNPRCの報告と対照的な結果となっている。このふたつの報告を踏まえて、テキサス大学ヘルス・サイエンス・センターのスティーブン ・オースタッド氏は、「カロリー制限が、体重を維持するために必要な食物摂取と定めるならば、ごくわずかな太りすぎている人の健康増進に役立つかもしれない」と説明し、「寿命への素晴らしい効果は期待できない」と話している。
なお、オースタッド氏によれば、極端な食事制限は骨密度の維持に問題を生じる場合があると指摘している。今回の報告はアカゲザルを対象にしたものだが、カロリー制限が人間にどれほどの影響を及ぼすのかは、今後の研究によって明らかになるかもしれない。
●サル、食事制限で寿命延びず マウスでは効果
日経 2012/8/31
サルは食事でカロリー制限しても、ダイエットをしないグループと比べて寿命は延びなかったとの研究結果を、米国立加齢研究所などのチームが30日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
コレステロール値が下がるなど健康状態は改善。
マウスではカロリー制限によって寿命が延びることが分かっており、より長生きの人間や、人間に近いサルで同じ効果があるか注目されてきた。
チームは「霊長類がカロリー制限によって寿命が延ばせるかどうかは、環境や食事内容などさまざまな要因が影響するのではないか」としている。
チームは実験動物のアカゲザルで、カロリーを20%ほどカットしダイエットした場合と、しない場合を20年以上にわたり観察、比較した。両者に寿命の違いはなく、寿命は延びないとの結論となった。
しかしダイエットに何の効果もないわけではなく、オスに限ると、ダイエットした場合は血中のコレステロールの値が下がったほか、若いサルでがんの発生率が減ったりするなど、健康状態には差が出た。
また、統計的には確証とはいえないが、ダイエットをすると平均でメスが28歳、オスは35歳まで生き、飼育されたアカゲザルの一般的な平均寿命の27歳を超え、長生きする傾向があった。
別の研究ではダイエットでアカゲザルの生存率が上がったとの結果もある。チームは「複数の研究を比較し、どのような仕組みが働いているか調べることが重要」としている。〔共同〕
●「カロリー制限」で寿命は延びるのか:最新研究から
WIRED.jp 2012年8月31日
27歳のオスのアカゲザル2頭。左のサルは餌のカロリーを制限され、右のサルは制限されていない。Photo: National Institute on Aging
2009年に発表されたアカゲザル実験の結果などから、食事制限は長寿の秘訣であるとして、1日1食など厳しい食事制限を実践する人たちもいる。しかし今回、低カロリー食は寿命延長に効果がないとの結果が出た。
アカゲザルに低カロリー食を与える実験を行ったところ、高カロリー食をとっていたサルに比べて長生きしなかったという研究結果が発表された。超低カロリー食によってサルの寿命が延びたとする2009年の研究(日本語版記事)とは相反する結果だ。
2009年の研究は、実験用マウスではなく、霊長類において寿命の延長効果を証明した初めての研究であり、食事が「長寿の源」になるという期待が高まるきっかけとなった。8月29日付けの「Nature」で発表された今回の研究はそれに反するものだが、最終的な結論が決定されるものではなく、事態がより複雑なものであることを示すものだ。
通説では、食事制限は単純明快な長寿の秘訣であるとされており、厳しい食事制限を実践する人たちもいる(日本語版記事)。今回の研究結果によって、カロリー制限のもたらす効果とそのメカニズムに関する議論が活発化することになるだろう。
米国国立老化研究所(NIA)の研究者ラファ・デ・カボは1987年に実験を開始したが、ちょうど同じころ、ウィスコンシン大学でも別の類似した実験が始まった。2つの実験はいずれも、通常健康的とされるカロリー摂取量を最大40%カットしたカロリー制限(CR:calorie restriction)がマウスや昆虫等にもたらしたとみられる健康保護および寿命延長効果は、霊長類にも発揮されるのかを調べることが目的だった。
そして2009年、ウィスコンシン大学の研究チームは、CRが実際にサルの寿命を延ばすのに効果があったと報告した。しかし、デ・カボ氏と、同じくNIAのジュリー・マティソンが率いた今回の研究では、少なくとも中年期およびそれ以降の年齢からCRを開始したサルにおいて、寿命延長効果はみられなかったと報告している(赤ん坊のころからCRを開始したサルは、まだ老年に達していないので、あと10年ほど経たないと結果がわからないという)。
NIAの研究チームがCR実験を行った合計57頭のサルは、いずれも健康状態の改善を示したが、その結果はまちまちだ。例えば、オスではコレステロール値と血糖値が低い値を示したが、メスにはそのような傾向はみられなかった。また、健康全般に改善効果がみられたとしても、CRに寄せられる、時として過剰なほどの期待に比べれば、けっして目覚ましい結果とはいえない。
今回の研究には参加していないテキサス大学のスティーヴン・オースタッドが行った研究では、実験用に改良された血統のマウスではなく、最近まで野生だったマウスの子孫には、CRの効果はみられなかったという。実験用マウスは、野生マウスと比べて不自然かつ本質的に不健康なため、誤解を招く結果をもたらす可能性がある。
また、CRはマウスの種類によって非常に異なった効果をもたらすという実験結果もある。遺伝子構成の違いによって、寿命が延びるマウスもいれば、寿命が縮むマウスもいた。変化のないマウスもいた。
そのほか、餌のやり方、餌の成分、さらには飼育環境までもがCR実験の結果に影響を及ぼしたとの報告もある。
例えばウィスコンシン大学の実験では、対照群のサルはいつでも好きなときに餌を食べることができた。餌の皿は常に満たされており、餌の内容も糖分が多いものだった。それに比べると、カロリー制限を受けていたグループのサルは長生きしたように見えるが、中程度のカロリーを摂取していたとしても、同じように対照群より長生きした可能性がある。
そして今回のNIAの実験では、対照群のサルは非常に健康的な、糖分の少ない餌を食べていた。そのため、単純にカロリー制限による改善効果が小さかったのではないかと考えられるが、同時に、それでもまだ対照群が野生のサルに比べて過体重だった可能性も考えられるとオースタッド氏は言う。その場合、実験で行われたカロリー制限は本当の意味での制限になっておらず、さらに厳しい制限が必要だったことになる。
加えて、先のウィスコンシン大学の実験結果は、統計分析のデータから、例えば麻酔中の合併症などの原因で死亡したサルを除外したために、結果が歪められてしまった可能性もある。そのようなサルも含めた場合、見かけ上の寿命延長効果は低下する。(※両群の生存率の違いは加齢関連疾患(がん・心血管疾患・糖代謝異常)による死亡のみを取り出した場合に見られるものであり、全ての死亡原因でみると違いは見られなくなる)
NIAの実験では、癌や代謝性疾患の発症率が下がるなど、いくつか健康改善効果もみられはしたが、これは「常識」の正しさを証明しているだけの可能性もあるとオースタッド氏は言う。「CRが最良の結果をもたらした場合でさえ、健康的な体重を維持することでは得られない、何らかの健康効果が得られるとは限らない」。
ワシントン大学の老年学研究者で、ヒトに対する食生活実験を通じてCRを研究しているルイージ・フォンタナによると、サルを使ったふたつの実験は、どちらも信頼性が十分に高いとは言えないという。
結果に影響を及ぼす要素のひとつは、ストレスだ。両研究とも、餌やりが定期的に行われ、それをしっかりと監視できるよう、サルたちは1頭ずつ個別のケージに入れられていた。これはサルにとって健康的な環境とはいえない(冒頭に掲載した写真はサルたちが隣り合わせているように見えるが、これは説明用に撮影したもので、こうした環境は日常的にはなかった)。
「霊長類のような知性の高い動物が、生涯ずっとひとつのケージに閉じ込められ、ほかの仲間との接触も絶たれ、カロリーも制限される。そうしたときに鬱的な状態になることは想像できる」とフォンタナ氏は述べる。「代謝経路の下流にある因子の多くは、主に脳の視床下部によって制御されていることがわかっている」。
フォンタナ氏は、カロリー制限を受けたマウスとヒトの両方にみられたカギとなるホルモンの変化が、両実験のサルには認められなかったことを指摘し、これはタンパク質の比較的豊富な餌を与えていたためだと述べている。
ヒトにおいては、タンパク質の摂取量を大幅に減らした場合にのみ、これらのホルモンが低下するという。カロリーを減らしただけでは十分でないのだ。「これらのサルに一部の寿命延長効果がみられなかったのは、高タンパク食をとっていたことが原因の可能性がある」とフォンタナ氏は述べている。「単純にカロリーだけの問題ではなく、食事の内容が問題なのだ」
「カロリー制限が疾患の発症と進行に大きな影響を及ぼすことは間違いない。このことは、生物の種を問わず、一貫して観察されている。一方、カロリー制限が生存率に及ぼす影響は、それとはまったく別の問題だ。われわれは目下、健康寿命と寿命の違いを解明しようと取り組んでいる」とデ・カボ氏は述べている。
TEXT BY BRANDON KEIM
TRANSLATION BY ガリレオ -高橋朋子/合原弘子
●カロリー制限、寿命に関係なし? 米研究所がサルで実験
朝日 2012年9月1日
カロリーを約3割減らすダイエットをしても長寿につながらなかった――。米国立加齢研究所がアカゲザルを20年以上飼育した実験で、こんな結果が出た。カロリー制限は「長寿の極意」とされてきただけに議論を呼びそうだ。科学誌ネイチャーに発表された。
計121匹のサルを二つのグループに分け、一方はカロリーを約3割減らしたダイエットをさせ、死亡率に違いが出るかを調べた。
その結果、性別やダイエットを始める年齢にかかわらず死亡率に統計的な差はなかった。ただ、ダイエットをしたサルは体重が軽く、コレステロールや中性脂肪が低めで、加齢に関係するがんや糖尿病、関節炎の発症は遅い傾向があり、「健康上の利点はある」との結果が出た。
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