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てらまち・ねっと



 先日、政府が「原発ゼロ」方針を打ち出した。
 閣議決定されるものとみられていた。
 閣議決定の意味は、新聞報道にもある通り、

      国民の多くが原発に不安を抱き、脱原発を支持する以上、「(政権として最も重みのある意思決定手段となる)閣議決定をされてしまうと、
      自民党政権がその後誕生したところで簡単にはひっくり返せない」(財界幹部)。米倉会長の戦略会議欠席は閣議決定前に「財界としてできる最後の抵抗手段」


 という位の重みがある。

 しかし、政府は、19日の閣議で今後の対応方針のみ決定し、新戦略自体は参考文書とする方向で最終調整に入ったという。

 結局、政府が縛られる度合いが薄まり、総選挙で政権が代わった場合も見直しが容易になる。
 脱原発方針が後退した。
 その理由は、報道では、

         経済界だけでなく、民主党の支持母体である連合からも異論が出ており、軌道修正する余地を残した。
        近く予定されている衆院選にも影響が出かねないと判断したとみられる。


 私は、世論調査で民主党代表選の行方につき、圧倒的に野田有利と出たことも少なからず影響していると思う。
 

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●エネルギー・環境戦略:原発ゼロ方針 政府・財界、深まる溝 米倉氏、戦略会議欠席で危機感訴え
          毎日 2012年09月19日
 経団連の米倉弘昌会長が18日、国家戦略会議への出席をボイコットしたのは、政府が30年代の原発ゼロ方針を閣議決定した場合、「国内産業の空洞化が加速し雇用の維持が困難になる」との危機感を内外に訴えるためだ。米倉会長は戦略会議にぶつける形で経済同友会の長谷川閑史代表幹事、日本商工会議所の岡村正会頭と緊急記者会見を開き、財界の総意として政府に再考を迫ったが、政府は19日にも原発ゼロを閣議決定する方針で、両者の溝は深まるばかりだ。

 「(原発政策は)本来なら国家戦略会議で議論すべき問題。(戦略会議には)報告するだけというのではとてもじゃないが納得できない」。米倉会長は18日の会見で、戦略会議欠席の理由を語気を強めて語った。

 財界3団体は電気料金の大幅上昇や電力供給不足への懸念から、原発ゼロに反対してきた。米倉会長は過去の戦略会議で原発ゼロへの異論を表明。
しかし政府は、エネルギー政策論議の場を政治家と官僚で構成するエネルギー・環境会議に設定。戦略会議を議論の場とせず、財界の意見を受け入れなかった。

 経団連関係者が「民主党は目先の選挙で頭がいっぱい。エネルギーという国家の根幹すら人気取りの材料としている」と語るように、財界における政権への信頼は失墜。
民主党政権に比較的近いとされる同友会の長谷川代表幹事も会見で「(原発ゼロは)早急に見直すべきだ」と訴えた。

 最近では自民党総裁選に立候補した町村信孝衆院議員が経団連幹部を秘密裏に訪ねるなど、自民党の経団連詣でが活発化している。
「我々を敵視する民主党に義理立てするより政権交代に備えた方が生産的」(総合電機幹部)との声は財界内でも強まりつつある。

 しかし、国民の多くが原発に不安を抱き、脱原発を支持する以上、「(政権として最も重みのある意思決定手段となる)閣議決定をされてしまうと、自民党政権がその後誕生したところで簡単にはひっくり返せない」(財界幹部)。米倉会長の戦略会議欠席は閣議決定前に「財界としてできる最後の抵抗手段」(金融機関首脳)だったともいえる。【宮島寛、和田憲二】

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 ■Keyword
 ◇国家戦略会議
 中長期的な経済財政運営の政策課題を議論する政府の会議。野田政権の重要政策の「司令塔」として、民主党政権で乱立していた政府の会議を統合して昨年10月に発足した。
メンバーは議長の野田佳彦首相と関係閣僚、日銀総裁のほか、米倉弘昌経団連会長や長谷川閑史経済同友会代表幹事ら民間議員も加わる。
7月には20年度までの成長戦略を盛り込んだ「日本再生戦略」をまとめた。「革新的エネルギー・環境戦略」を決定したエネルギー・環境会議は、戦略会議の下に位置付けられている。
戦略会議は閣議決定に基づく会議だが法的な裏付けがなく、法的権限があった自民党政権の経済財政諮問会議と異なり、政策決定過程で存在感を示せていないのが実情だ。


●新エネ戦略 原発ゼロ事実上見直し 閣議決定を見送りへ
         産経 2012.9.19 00:11
 「2030(平成42)年代の原発稼働ゼロ」を柱にした革新的エネルギー・環境戦略に関し、政府は19日の閣議では今後の大まかな対応方針のみを決め、戦略本体は参考文書にとどめる方針を固めた。通常、重要政策は文書全体を閣議決定するが、脱原発に対する経済界や労働界、立地自治体の強い反発に配慮した。新戦略の閣議決定見送りで、「原発ゼロ」目標は事実上見直されることになった。

 閣議では、14日にまとまった政府の新戦略について、「関係自治体や国際社会などと議論し、不断の検証や見直しを行う」とする対応方針のみを決定する。

 戦略決定をめぐっては、米倉弘昌経団連会長が、新戦略が報告された18日の国家戦略会議を欠席し、会議の場でも民間議員から反対論が噴出した。長谷川閑史経済同友会代表幹事は「戦略全体の中で1カ所だけ違和感がある。『30年代に原発ゼロ』の部分だ」と述べ、ゼロ目標の削除を強く求めた。古賀伸明連合会長も、同様に反発した。

 古川元久国家戦略担当相は会議後、記者団に、「19日に(新戦略を)閣議決定したい」と述べたが、政府は経済界や労働界の反発を受け入れた格好だ。

 新戦略に基づき、エネルギー基本計画を策定する経産省総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の三村明夫委員長(新日鉄会長)は18日夜、「ゼロなのかどうなのか政府が明確に提示しないと、具体策の取りまとめが非常に難しい」と批判した。



丸政府、エネ新戦略は参考文書で調整 対応方針のみ閣議決定
           産経ビズi2012.9.19
 政府は18日、原発ゼロ目標を盛り込んだ「革新的エネルギー・環境戦略」に関して、19日の閣議で今後の対応方針のみ決定し、新戦略自体は参考文書とする方向で最終調整に入った。
重要政策は文書全体を閣議決定するのが通例だが、原発ゼロ目標に懸念を示す関係自治体や米国などに配慮し、あいまいな決着を図る方向となった。

 新戦略の「30年代の原発稼働ゼロ」との目標に政府が縛られる度合いが薄まり、総選挙で政権が代わった場合も見直しが容易になるとみられる。脱原発方針が後退したとの指摘も出そうだ。

 19日の閣議では、今後のエネルギー・環境政策は、新戦略を踏まえて関係自治体や国際社会などと議論し「不断の検証と見直しを行いながら遂行する」との大まかな対応方針のみを決め、具体策を明記した新戦略の文書自体は参考扱いとする方向だ。

●原発2030年代にゼロ閣議決定へ 経済界は猛反発
         テレ朝 (09/19 00:10)
 政府は19日、2030年代の原発稼働ゼロを目指すとした新たなエネルギー戦略を閣議決定します。
しかし、経済界は反発を強めています。

 野田総理大臣:「検証を行い、不断に見直ししながら、国民が安心できるエネルギー政策を一歩ずつ着実に実現していきたい」
 新たな戦略では、2030年代の原発稼働ゼロを目指し、原発の40年廃炉や増設を認めない原則などが盛り込まれています。
 政府は19日の閣議でエネルギー戦略を正式に決定する方針ですが、18日の国家戦略会議では経済界から反発の声が上がりました。

また、日本経団連の米倉会長は欠席し、メンバーの辞任も示唆しています。
 日本経団連・米倉会長:「経済界はこのような戦略を受け入れることはできない」

●新エネルギー戦略 具体的な基本計画の決定は当面見送り
     FNN (09/19 06:40)
2030年代の原発稼働ゼロを目指す新たなエネルギー戦略を受け、政府は、具体的な基本計画の決定を急ぐ予定だったが、当面見送られる見通しとなった。

経済産業省は、総合エネルギー調査会・基本問題委員会で、より具体的な数字や年次などを盛り込んだエネルギー基本計画を速やかに決定する予定だったが、18日の会議では、原発ゼロ派・維持派の双方から異論が相次いだ。
新日鉄・三村会長は「政策目標を明確にして、実現した場合の課題整理したうえで、あらためてわれわれや国民に示していただきたい」と述べた。

三村委員長は「2030年代に原発ゼロとするのか、努力目標に過ぎないのかがはっきりしないと具体策は決められない」と述べ、基本計画の決定を当面見送る考えを示した。

●原発ゼロ事実上見直し 選挙に影響、軌道修正に余地
           産経ビズ 2012.9.19 00:15
2030年代の原発ゼロを目指したエネルギー・環境戦略について、政府が戦略自体の閣議決定を見送るのは、「原発ゼロ」目標が与える国民生活や経済の影響に懸念が広がってきたためだ。
経済界だけでなく、民主党の支持母体である連合からも異論が出ており、軌道修正する余地を残した。近く予定されている衆院選にも影響が出かねないと判断したとみられる。

 「政府には責任あるエネルギー戦略をゼロからつくり直すよう強く求めたい」。経団連の米倉弘昌会長は18日の経済3団体の会見で、エネルギー政策の見直しを強く訴えた。

 米倉氏は国家戦略会議の民間議員を辞任する考えを表明。そこまでして強く反対するのは、政府のエネルギー戦略があまりにも国民生活への影響を無視しているからだ。

 議論の過程では、実現不可能なレベルでの太陽光などの再生可能エネルギーの拡大が必要な点や、電気料金が現行の2倍に上昇することなどが示されていた。

 しかし、14日にまとまった戦略は、「30年代の原発ゼロを可能にするよう、あらゆる政策資源を投入する」とするにとどまり、原発ゼロで起こり得る悪影響に対し、具体的な表現を避けた。

 使用済み核燃料の再処理を続けるなど矛盾点も多く、政府内部には、「そもそも閣議決定に値しない」(経済官庁幹部)との見方もあった。

 経済が落ち込めば、雇用に跳ね返るのは避けられず、国家戦略会議では、連合の古賀伸明会長も、経済同友会の長谷川閑史代表幹事の意見に賛同した。政府内ですら、川端達夫総務相が「(目標が)どこまで具体的なものか、きちんと説明すべきだ」とするなど、反対の声があった。

 政府は、このまま閣議決定すれば、支持母体の反発だけでなく、党内の分裂を招く事態になりかねないと判断したもようだ。

 このため、19日の閣議では、新戦略本体は決定せず、戦略の対応方針にとどめる異例といえる対応になった。

 野田佳彦首相は18日の国家戦略会議で、「基本はぶれず、かつ将来を過度に縛ることなく、柔軟な戦略が必要だ」と指摘した。だが、内容だけでなく、政府としての決定方法もあいまいで、エネルギー政策は早くも崩壊し始めている。


●「原発ゼロ」新戦略、参考文書扱いに格下げ 政府方針
         日経 2012/9/19 2:06
 政府は18日、「2030年代の原発稼働ゼロ」を目指す新しいエネルギー・環境戦略の文書を19日の閣議決定で参考文書として扱う方針を決めた。事実上、戦略の扱いを下げ、原発ゼロ方針を曖昧にする。新戦略を今後の政府の政策として踏まえ柔軟に見直すとした基本方針を加えることで政策に見直し余地をつくり、原発ゼロに反対する経済界や米国などの声に配慮する。

 政府は14日に開いたエネルギー・環境会議(議長・古川元久…

●原発ゼロ 空手形に終わらせるな
     信濃毎日 09月18日(火)
 政府が原発の将来の姿などを示した新エネルギー戦略を決定した。
「2030年代に原発稼働ゼロを可能とする」との目標を盛り込んでいる。

 「原発ゼロ」を掲げた点は評価できるが、はっきりしない表現や矛盾した内容が目につく。
経済界などが反発しており、努力目標に終わる恐れがある。実現には、法律に裏付けられた目標と具体的な工程表が欠かせない。

 次期総選挙の争点でもある。各党が曖昧さを排した明確な理念と政策を打ち出し、さらに論議を深める必要がある。

   <法律の裏付けが要る>
 新戦略の特徴の一つは、原発ゼロ目標を打ち出したことだ。

 (1)40年運転制限を厳格に適用(2)原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ再稼働(3)原発の新設・増設はしない―の3原則を掲げ、「30年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」と宣言した。

 政府は、30年の総発電量に占める原発の比率について、「0%」「15%」「20~25%」の三つの選択肢を掲げ、全国11都市で意見聴取会を開いたり、意見公募をしたり、かつてない規模の「国民的な議論」を試みた。

 新エネルギー戦略は、脱原発を望む強い世論に後押しされ、ようやくまとまったといえる。

 だが、「30年代」「可能とするよう」の表現は玉虫色だ。脱原発に向けた具体策も先送りされた。
22年末までに全原発を閉鎖する法律を成立させたドイツのメルケル政権と比べ、野田佳彦政権の方針の危うさは一目瞭然だろう。


   <核サイクルを棚上げ>
 このままだと、政権が代われば方針が反故になりかねない。まして民主党には「公約破り」の前例がある。本気で原発ゼロを目指すというのであれば、首相は根拠となる法律の成立に「政治生命を懸ける」べきだ。脱原発を掲げる他の政党とともに、国会で成立にこぎつけてもらいたい。

 新エネルギー戦略の特徴の二つ目は、核燃料サイクルの維持を盛り込んだことだ。

 青森県六ケ所村の使用済み核燃料の再処理工場を継続し、同県を廃棄物の最終処分地にしないとの約束を明記している。一方、福井県の高速増殖炉「もんじゅ」は、廃棄物を減らす研究施設にするとした。存廃について不透明となった印象は拭えない。

 原発で使用されたウランやプルトニウムを再処理し、利用するのが、核燃料サイクルである。このサイクルを担う主な施設が、青森県の再処理工場だ。「もんじゅ」は使った以上のプルトニウムを生産する「夢の原子炉」と位置付けられてきた。

 だが、再処理工場は高レベルの放射性廃液をガラス固化体にする過程に問題が生じ、本格操業に入れないままだ。「もんじゅ」も、ナトリウム漏れ事故をはじめトラブルが絶えず、再稼働にめどが立っていない。

 再処理工場は着工から19年、「もんじゅ」は27年である。巨額の投資を続けても、技術的な壁を越えられない現状に、核燃料サイクルは破綻しているとの声が高まり、見直しが求められていた。

 青森県は核燃料サイクル路線からの撤退によって、使用済み核燃料や高レベルの放射性廃棄物の最終処分地になることに強い警戒感を抱いている。再処理事業の継続には、国策に協力してきた同県への配慮がある。

 核燃料の再処理など原発の技術は、米、英やフランスとの連携で進められてきた。関係国とのこれまでの経緯も、サイクル路線維持の背景とみていいだろう。

 だが、「30年代にゼロ」というのであれば、その時点で核燃料は不要になる。燃料確保の観点からは、核燃料サイクルにこだわる理由はなくなる。

   <曖昧さ排した論議を>
 原発ゼロを宣言しておきながら再処理を続ければ、核兵器の原材料となるプルトニウムの生産と受け取られる懸念がある。原子力の平和利用という点でも、国際社会に対して説得力を欠く。

 中途半端な姿勢をあらため、政府・民主党は路線転換に向けた姿勢を示すときである。踏みこんだ決断を求めたい。

 福島第1原発の事故から1年半。大事故を起こしながら、原因や責任の所在も明確になっていない。再稼働や核燃料サイクルの是非、将来のエネルギー計画などをめぐる国会の議論も、国民の目から見て不十分だ。

 「曖昧な日本」という言葉が思い浮かぶ。作家の大江健三郎さんがノーベル文学賞を受賞した際の講演「あいまいな日本の私」からの連想である。あれだけの事故を起こしながら、多くのことが曖昧なまま時が過ぎてきた。

 野党の責任も大きい。原発停止を求めて、かつてない規模のデモが起きている。国会は、国民の声を正面から受け止めているのだろうか。事故を踏まえた新たな制度の構築は、国会の責務である。



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