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●地方自治法の政務調査費条項の改正に反対する
1 平成24年8月10日、地方自治法100条14項・16項(地方議会の政務調査費についての根拠規定)の改正案が衆議院で可決された。
改正案は「政務調査費」を「政務活動費」と改称し、交付の目的について14項に「その他の活動」の6文字を付加して「議員の調査研究その他の活動に資するため」としている。
この改正案は平成24年8月7日になって民主党・自民党・公明党・「生活」に所属する6名の議員が突如地方自治法の改正案に対する修正案として協同提出したものであり、国民的な議論が全くなされないまま、即日衆議院総務委員会において、共産党と社民党を除く賛成多数でこの修正案が可決され、衆議院本会議で可決されるに至った。
2 しかし、地方議会の会派、議員による政務調査費の乱脈ぶりは数え切れないほど報告されている。
提訴された住民訴訟は全国で70件を超え、そのうち47件の判決で支出の一部が違法と認定されている。
そして、それらの訴訟の争点は、いずれも、当該支出が地方自治法が定める「議員の調査研究に資する」支出にあたるか否かを厳しく問うものである。
議員や会派の調査研究に資するものではないことを理由に、多くの政務調査費が自治体に返還されている。うち6件では、違法とされた支出金額が1000万円を超えてすらいる。
3 ところが修正条項は「政務調査費」という名称を「政務活動費」と変更し、交付の目的に「その他の活動」を加えることで、これまで裁判所で違法とされてきた、およそ議員の調査研究と関係のない使い方をも合法化できる余地を広範に与えるものであって、市民から強く批判されてきた地方議会の政務調査費支出の乱脈ぶりに免罪符を与えようとするものに他ならない。
4 今日、わが国の財政は、国家においても自治体においても危機的な状況にあり、国民生活に不可欠な分野の財源すら削られている状況にある。
そのような財政状況にもかかわらず、地方議員に対する公金支出の規律をゆるめることは、財政秩序のうえからも国民に対する信義のうえからも許されるべきではない。
少なくともこのような例外扱いを地方議員に認めるのであれば、法改正の必要性をささえる合理的な理由を十分に国民に説明する責任があることはあらためて述べるまでもないことである。
5 私たちは、こうした説明責任も果たさず、議論らしい議論もないまま、お手盛りの改正案を可決したことを強く批判するとともに、これを廃案とするためにあらゆる努力を払うことをここに宣言する。
平成24年8月18日
全国市民オンブズマン連絡会議
代表幹事 土橋 実
井上博夫
児嶋研二
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