内閣官房の国家戦略室が原発ゼロだと電気代が倍になる方向の資料を出している。
「エネルギー・環境会議』の資料。のちほど、リンクし、図をコピーしておく。
同会議の「資料2 エネルギー・環境戦略策定に当たっての検討事項について」の中の「ナリオ別の影響』のページ
経済界はもちろん、一部、原発推進の新聞なども、そこを強調している。
しかし、「“原発ゼロだと電気料金高騰”は疑問」などの反論も多く出ている。
東京新聞は社説で、明確に「間違い」を指摘している。
ともかく、政府は世論を受けて、「原発ゼロ」を目標にするらしい。
しかし、年限を示さない、ポーズだけの逃げ。
(朝日)民主党のエネルギー・環境調査会(会長・前原誠司政調会長)は4日、「原発ゼロ」実現を2050年代前半とし、
さらに前倒しするため、15年に具体策を示すとした素案をまとめた。
事実上、結論を3年間先送りする。
ブログ末には、「原発ゼロ社会/期限を切って実現目指せ」という河北新報の社説を記録。
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●【社説】原発ゼロ社会 電気代高騰は本当か
東京 2012年9月4日
二〇三〇年の原発比率を決める議論が大詰めだ。
国民の多くが「原発ゼロ」を望む一方、政府内には電気代高騰や電力不足を招くとの慎重論がなお残る。
だが、その主張にまやかしはないのか。
「原発ゼロ」でも電力不足が生じないのは、今夏が証明した。
東京電力管内は猛暑日が連日続いたが供給力は勝り、西日本でも関西電力大飯原発の再稼働なしで電力が足りたのは周知の通りである。
では、電力料金高騰の方はどうか。政府は家庭の電気代について三〇年に原発ゼロとした場合、一〇年を月一万円とすると一万四千~二万一千円に跳ね上がる試算を示した。
しかし、これは省エネ技術や節電行動を無視した、いわば“非現実的な数字”である。
省エネ対策を研究する独立行政法人、科学技術振興機構によると、例えば消費電力が多い家電を一九九五年製と〇五年製で比較すると、消費電力はエアコンで43%減、冷蔵庫は実に72%減だった。
こうした省エネ性能の向上や節電の広がり、さらに次世代自動車や省エネ住宅などの普及予測から、年間の総電力消費量は現行の一・一兆キロワット時から〇・八兆キロワット時に約27%下がるとみている(政府予測は一兆キロワット時)。
発電単価が高くなっても家庭の電力消費が大きく減るので、電気代は今より半減も可能と主張する。
家電などの買い替えを前提としているが、省エネ技術を無視したり、逆に消費電力の大きい粗鋼生産量をかさ上げするような政府試算よりはよほど信頼できよう。
大阪府市エネルギー戦略会議に提出された自然エネルギー財団の試算も、家庭で約三割節電すれば、電気代は一〇年と変わらないとの結果だった。
こうした試算以外にも、電力会社の地域独占など非効率を改めれば電気代は下げられる。
再生可能エネルギーも、市場参入を促し、技術革新や量産化で発電コストの引き下げを目指すべきだ。
何より原発は「安全神話」が崩壊した瞬間に、政府が最安としてきた「経済性神話」も崩れ去った。
同財団は福島事故の損害賠償や除染が二十兆~七十五兆円に上り、立地対策費などを適切に反映させれば、原子力の発電コストが最も高くなると指摘した。
国民の過半が原発ゼロを望む重い覚悟を受け止めるべきだ。政府が方針を決めれば、民間や国民は知恵を絞り、工夫を重ねよう。それが日本の国民性である。
●原発ゼロで“光熱費大幅上昇も”
NHK 9月4日 14時46分
政府は新しいエネルギー政策の策定に向けた関係閣僚会議を開き、この中で枝野経済産業大臣は、将来、原発がゼロになった場合には家庭の平均的な光熱費が2倍の3万2000円余りへと大幅に上昇するおそれがあることや青森県が受け入れてきた使用済み核燃料の扱いをどうするかなど課題があると、報告しました。
会議ではまず、古川国家戦略担当大臣が、政府が行った各種の世論調査について、「少なくとも過半の国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいる」という検証結果がまとまったと報告しました。
一方、枝野経済産業大臣は原発がゼロとなった場合の課題について報告し、
▽これまで青森県が再利用されるのを前提に受け入れてきた使用済み核燃料の扱いをどうするかが大きな課題となることや、
▽2030年に原発をなくし、代わりに太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及を図る場合、送電線の整備や土地の確保などに必要な投資額が50兆円に上る見込みであることなどを指摘しました。
また、枝野大臣は、
▽原発をゼロとした場合の家計への影響として、1人暮らしを除く世帯の電気料金を含む平均的な光熱費は、おととしは月額1万6900円だったのが、最大3万2243円と、2倍に増えるという試算も示しました。
さらに、▽将来、原子力に関する技術をどう維持していくのかや、
▽輸入に頼る原油やLNG=液化天然ガスについて日本企業の価格交渉力が低下しないよう対処することも課題だとして指摘しました。
政府はこうした課題も検討しながら、近く改めて関係閣僚による会議を開き、新しいエネルギー政策に「原発ゼロ」を明記することも含めて、最終調整することにしています。
●原発ゼロ、再生エネ拡大が柱 政府環境戦略の素案判明
西日本 2012年9月7日
東京電力福島第1原発事故を受けた政府の「革新的エネルギー・環境戦略」の素案が6日、判明した。
「原発に依存しない社会の一日も早い実現」を掲げ、「グリーンエネルギーの拡大」「エネルギーの安定供給」と合わせ3本柱とした。
原発比率は「2030年には15%を下回らせ、さらにゼロを目指す」としたが時期は空欄。
高速増殖炉もんじゅ(福井県)は廃止、原子力委員会は廃止を前提に見直す。戦略は来週初めまでにまとめ閣議決定する予定で、脱原発が初めて公式な政府方針となる見通し。
●原発ゼロ「50年代前半」 民主、結論は15年に先送り
朝日 2012年9月4日18時28分
民主党のエネルギー・環境調査会(会長・前原誠司政調会長)は4日、「原発ゼロ」実現を2050年代前半とし、さらに前倒しするため、15年に具体策を示すとした素案をまとめた。
事実上、結論を3年間先送りする。
一方、野田政権は同日、「原発ゼロの課題」をまとめた。政権は党の提言を踏まえ、来週にも新しいエネルギー政策を決める。
民主党調査会の素案は、「原発ゼロ社会を目ざして」と題し、原発ゼロを実現する前提でまとめた。
「40年廃炉」の規定を厳しく適用する、停止中の原発は原子力規制委員会の安全確認を得たものだけ再稼働する、新増設をしない――という3原則を明記。
これで50年代前半に原発ゼロが実現する。
さらに前倒しを目指して15年にその後の目標を定める。
そのため、今後3年間を再生可能エネルギー導入や省エネルギー推進の「スタートダッシュ期間」と位置づけている。
●フクシマウォッチ:原発ゼロを目指す古川戦略相
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2012/9/6
政府のエネルギー・環境会議は近く中長期のエネルギー戦略を決めるが、古川元久国家戦略相は脱原発に向けたキャンペーンを強化している。
古川戦略相は6日、自然エネルギー財団主催の国際シンポジウムで講演し、「何年もふるさとに帰れないような事故を起こすリスクのある原発からは一日も早く脱することのできる社会を作っていくため、その大きな方向性を指し示すことが使命だ」と語った。
エコノミストや政府当局者のなかには、こうした動きは日本経済に深刻な打撃を与えることになると指摘する向きもいる
。実際、経済産業省は今週、調査報告書を公表し、原発ゼロとする場合、家計の電気代は2倍になるとの見方を示した。
しかし、古川戦略相は再生可能エネルギー生産の促進につながるという点で、脱原発が日本経済に利益をもたらす可能性があると指摘する。
同相は講演で、「グリーンエネルギー革命を実現することが、長期の低迷に苦しんできた日本の新しい時代をリードしていく」と語った。
「イノベーション」の定義を試みることから、秋葉原型の創意工夫、酒の輸出促進に至るまで、低迷の続く日本経済の復活につながり得るアイデアを模索する古川戦略相に、JRTは注目してきた。
古川戦略相は講演で、日本経済を10年前の米国と比較した。
同相は、米国は情報技術産業の繁栄を通し景気拡大に成功したと指摘。
再生可能エネルギーを推進するとともに原発を脱することで、日本もこれと同じことを行うべき時だと語った。
●2段階で「原発ゼロ」 政府、エネ戦略で調整
中国 '12/9/6
政府は5日、新たなエネルギー・環境戦略で、2030年時点で総発電量に占める原発比率を15%以下に引き下げ、最終的には「原発ゼロ」を目標とする方向で調整に入った。
全原発の廃炉に向けた工程表を15年までに作成し、2段階で脱原発を実現する。
再生可能エネルギーの普及状況や国際的なエネルギー情勢をにらみながら工程表を5年ごとに見直す。
民主党内には、早期の原発ゼロへの慎重論が根強く、実現時期を明示することは難しいと政府は判断。
段階的に原発を廃止する目標を掲げることで決着を図る考えだ。
民主党のエネルギー・環境調査会は5日の総会で、政府への提言の最終調整を調査会の役員会に一任した。
同調査会は週内に提言をまとめ、政府に提出する。
政府は、野田佳彦首相がアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議から帰国した後の10日に新戦略をまとめる方向で調整している。
政府のエネルギー・環境会議では、原発ゼロに向けた課題として、核燃料サイクル政策の見直しや、原発を代替する再生可能エネルギーの拡大、原発立地地域の振興策などを掲げている。工程表にはこれらの課題を克服する方策やスケジュールが盛り込まれる。
原発ゼロの時期を現時点で明確にすることには、経済界や労働組合の反発も強い。政府は衆院解散・総選挙をにらみ、脱原発を求める世論の広がりも踏まえつつ、現実的な着地点を探っている。
野党はより早期のゼロ目標を打ち出す可能性があるが「課題への克服策がないまま、原発ゼロの時期だけが選挙の争点になるのは避けたい」(官邸筋)との思惑もある。
●「原発ゼロ」宣言も目標年限は見送り 民主党調査会が素案
産経ビズ 2012.9.4 13:07
民主党のエネルギー・環境調査会の役員は4日午前の総会で、将来の原発依存度に関する党内の意見集約に向け、「原発ゼロ社会を目指す」としつつ、具体的な目標年限を見送った素案を提示した。党内論議を経て修正を加え、週内に最終案をまとめる方針。
素案は、原発は40間年の稼働で廃炉▽原子力規制委員会の安全確認を得た原発のみ再稼働▽建設中を除き原発の新設・増設はしない-の3原則を明記。この原則を厳守することで「2050年代前半には国内に稼働する原発はゼロとなる」とする一方、脱原発を求める世論の高まりを受けて「原発ゼロ社会を可能な限り早期に実現すべきである」とした。
原発ゼロに向けた今後3年間の重点対応や、使用済み核燃料問題に関する専門機関「原子力バックエンド機構」の設置、高速増即炉の実用化を前提としない対応を政府に提言する。火力発電への依存の高まりを受け、「国際社会に対する温室効果ガス削減計画は再検討する必要がある」とした。
●「“原発ゼロだと電気料金高騰”は疑問」
将来の原発への依存度をゼロにした場合、電気料金が値上がりするとした日本経団連の試算=試みの計算に対して、自然エネルギーを推進しているソフトバンクの孫社長は「甚だ疑問だ」と批判しました。
「経団連がまさに一生懸命言っているのは料金が高くなるという課題。つまり、原発がなくなると電気代が倍になると脅してるわけです。私は甚だ疑問を持っている」(ソフトバンク 孫正義社長)
ソフトバンクの孫社長は6日に開いた自然エネルギー財団のシンポジウムでこのように述べて、電気料金が倍になるとする日本経団連の試算を批判しました。
その上で、原発の発電コストには除染や廃炉にかかる費用が含まれておらず、今後も原発を利用し続けた方がコストは高くなる可能性があると指摘しました。
また、孫社長は「電力会社の独占の状態を改善することが電気代を抑える最大の鍵だ」とも指摘しています。
● 原発ゼロ電気料金月3万円台? 真実は?
防災グッズマガジン - 2012年9月6日
国民への脅しか
将来のエネルギー政策に関する関係閣僚会議で、原発がゼロになった場合一般家庭の平均光熱費が3万円台になるという試算となった。
これは2010年の平均1万6900円の2倍程度である。
枝野経済産業大臣によると、2030年に原発をゼロとした場合、代替エネルギーとして太陽光などの再生可能エネルギーの普及に伴って必要となる送電線や設備の整備に50兆円かかることからこの数字が算出されたとのことだ。
確かに現段階で火力発電はギリギリの状況だ。燃料の高騰も続いている。それでも、本当に電気料金は2倍にもなるのだろうか。
数字のまやかしに騙されるな
東京新聞の社説によると、政府が示した試算は省エネ技術や節電行動を無視した非現実的な数字だということだ。
家電の省エネ技術は日々進化を続けている。1995年製と05年製の家電の消費電力を比較すると、エアコンで43%減、冷蔵庫は72%減となっている。
関西電力管区内では大飯原発3・4号機の再稼働がなくとも今年の夏は電力不足とならなかったことが証明された。
関西はもちろん全国の一人一人が将来の原発ゼロの重みを受け止めて節電に取り組んだ結果が表れている。
最近は太陽光パネルを付けている家庭も増え、次世代カーや省エネ住宅も普及している。年間の総電力消費量は減少傾向にあり、30%節電すれば電気代は10年の水準を保てるとの試算もある。
政府の原発推進派が脅しのためにこの数字を強調する可能性があるが、エネルギー問題は日本の技術や国民の脱原発への意思でクリアできるに違いない。
子ども達へ負の遺産を残さないとする国民の覚悟を受け止めた政策を進めるべき時なのではないか。
●原発ゼロ社会/期限を切って実現目指せ
河北 2012年09月07日金曜日
原子力発電をこれからどうすべきか、国の検討作業が大詰めを迎えている。
閣僚で構成するエネルギー・環境会議では、原発ゼロの社会を目指す方向になっている。福島第1原発事故後、「脱原発依存」を決めた民主党政権にとって、取りあえず政策の一貫性は保たれる。
ただ、達成の目標年次を示さず、漠然と原発ゼロだけを決めようとする意見もある。それで果たして、脱原子力社会に本気で取り組んでいけるのか。
「脱原発」と一口で言っても、実現は容易なことではない。社会のさまざまな分野で変革が求められる。
目標年次を設けるかどうかによって、国民や企業への浸透度、協力の度合いはかなり異なってくるだろう。できるだけ早く脱原子力の設計図を描き、多少の幅はあるにせよ各分野で期限を切って取り組むのが最も望ましい進め方のはずだ。
原発は現在、全国に50基ある。1990年以前に運転を始めたのは32基あり、それらは2030年時点で稼働から40年になる。民主党政権の「原則40年で廃炉」のルールを適用すれば、18年後には約6割の原発は運転をやめることになる。
もちろん新規建設や現在の敷地内での増設があれば、事情は違ってくる。原発ゼロを目指すためには最低限、運転期間に上限を設け、新増設を断念することが必要だ。
福島第1原発事故の反省に立つなら、地震や津波の危険性も重要な判断材料になる。原子炉直下に活断層がある可能性を指摘されている原発もある。危険性が高ければ、40年にこだわらず廃炉にするのが筋だ。
これから仮に再稼働の検討が必要になるケースでも、もちろん安全性の徹底追求が欠かせない。今までと同レベルの安全基準による再稼働はあり得ない。
全国の原発は今後、厳しい条件を課して次第に減らすのが現実的な手順になるのだろうが、期限を設けて計画的に実行していかないと、実現が怪しくなりかねない。
当然、代替電源が必要になるが、太陽光や風力などの新エネルギーは無論、既存の発電所も含め計画的に需給バランスを取らなければならない。家庭や企業の節電も不可欠になる。
いずれも急に求めてもやれることは限られてしまう。だが、年単位で準備期間を置けばそれなりの効果が期待できるはずだ。
巨大な発電所を集中立地する時代が過ぎ去ったことも、原発事故の教訓の一つとして受け止めなければならない。
脱原子力社会のキーワードは「小規模・分散」。発電と同時に温水を供給できるようなシステムを実現し、地域で利用する仕組みになる。どの燃料にするかは、地域の特性に応じて考えればいい。
脱原発の準備には膨大な投資と時間がかかるだろうが、それは持続可能な社会を築くための前向きな経費だ。決して無駄なコストではない。
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