●小選挙区選挙は廃止しかない(その1:民意切り捨て・・・56%の死票)
ブロゴス 上脇博之 172012年12月18日 15:34
はじめに
(1)先日(2012年12月16日)、衆議院議員総選挙の投票日だった。
その開票結果は、以下の報道の通りである。
・・・(略)・・・
(2)衆議院議員を選出する選挙制度については、簡単な説明をしておこう。
議員定数は480である。
小選挙区選挙と比例代表選挙で構成されており、両者は別々の選挙であり、有権者はそれぞれに投票する仕組みである。
小選挙区選挙は各選挙区から1人しか選出されず、議員定数は300なので300名の衆議院議員が選出され、
比例代表選挙は、全国11ブロックに分かれており、各ブロックで議員定数が定められており(各ブロックの議員定数はここで省略)、
得票率に比例して各政党などの議席数が配分され、合計の議員定数は180である。
ただし、比例代表名簿の同一順位に小選挙区選挙の立候補らを登載すると、小選挙区選挙で当選した立候補者を除く重複立候補者について、
小選挙区選挙における惜敗率で、その順位が決められることになっている(この点で、小選挙区選挙の結果が比例代表選挙に持ち込まれている)。
(3)480の議員定数のうち、小選挙区のそれは300なので、小選挙区選挙中心の選挙制度である。
私が問題視するのは、小選挙区選挙である。それは、主に、以下の著書・論文で指摘してきた。
・・・(略)・・・
(4)このブログでも、これまで小選挙区選挙の重大な問題点を指摘し、その廃止を訴えてきた。
その主要なものだけ紹介しておこう。
「上げ底政権」を作ってきた小選挙区選挙は廃止すべきだ
政治改革はやり直せ!(その2):小選挙区制は廃止しろ!
民意を歪める小選挙区制はやはり廃止するしかない!
09年総選挙の小選挙区選と比例代表選の各得票数の乖離と政策選挙
一人一票運動における今夜のツイッターでの呟き
(5)この度の総選挙では、マスコミでも小選挙区選挙の重大な問題点が指摘されている。
以下、マスコミ報道も紹介しながら、何回かに分けて私見を書くことにする。
1.民意の切捨て・・・56%の「死票」
(1)小選挙区選挙の重大な問題点としてまず指摘できるのは、主権者国民(投票者)の投票において膨大な「死票」が生まれることである。
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版2012年 12月 17日 死票率56%に上昇=民主は惨敗で8割超—衆院選【12衆院選】
(2)そもそも死票が全く生じない選挙制度はないが、56.0%の投票(約3730万票)が「死票」になる選挙制度は、あまりにも異常である。
(中選挙制で最後に施行された1993年衆議院総選挙では、私の記憶に間違いがなければ「死票」は25%未満だった。)
このように異常に「死票」を生み出す選挙制度は、国民主権の国民代表制とは相容れないものである。
主権者・投票者の半分以上(今回は56%)の意思を切り捨てるからだ。
2.投票意欲の剥奪・・・低い投票率
(1)この問題との関係で指摘されうる、小選挙区選挙の問題点の第二は、投票率の低さである。
(2)投票率の低下には幾つか理由があるが、「死票」を大量に生み出す小選挙区制もその一つとして挙げられる。
意中の候補者が当選しそうになければ、棄権してしまうからだ。
投票率の低下には主権者の側にも問題があるので、小選挙区制だけをその最大の理由にするつもりはないが、
少なくとも大量の「死票」を生み出す小選挙区制を採用しているもとで、投票率の低下を有権者の責任にすることはできないだろう。

上記報道のクラブでも分かるように、1993年までの中選挙区時代に比べて投票率が低いのは、小選挙区制も大きな原因があるといえるだろう。
(3)主権者国民の投票意欲を奪っている小選挙区制は、この点でも重大な問題を抱えており、国民主権の国民代表制に相応しくない、といわざるを得ない。
(つづく) |