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tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

ユー・マスト・コム

2007-04-20 20:11:55 | lesson

英語と言えば、笑っちゃうほど典型的なジャパングリッシュを話す日本人の旅行者が、ネイティブたちと充分にコミュニケーションしているのを見かけて愕然とすることがある。会話するのに格好つける必要なんてないのだ。度胸が大切なのだ。

<海外旅行に行って英語が通じなくてどんだけ苦労したことか!!>しばらく前まで日本でも良く耳にする話であった。ぼくも初めての海外旅行で、イギリスのホテルにて、門限に遅れたぼくは、ロックされたホテルの外の公衆電話からフロントに電話したことがあった。
「ユー・マスト・コム」
この<コム>という、聞きなれたはずの単語の意味が何であったのか思い出せずにあせっていた。・・・聞いたことのある簡単な単語・・・。
それが<come>であることに気づいたのは、とりあえず、ホテルのドアまで行った時であった。深夜、エレベータの電源を入れてぼくを部屋まで連れて行ってくれた年配のフロント・マンに、おずおずとチップを差し出すと<いらない>とつき返されてしまった。とにかく、はじめての経験ではいろいろな気苦労がつきまとう。

最近、日本人の海外旅行における言葉の失敗を耳にしなくなったのは、そういう機会が減ったためであろうか。団体のパック旅行が主流となり、飛行機の中はもちろんのこと、ホテルや土産物店まで、日本語が通じる場合が少なくない。だから、旅行中、ほとんど外国語を聞かずに過ごすこともできる。あえて、日本語を話すホテルのクロークで外国語を話す必要はない。
その半面、勝手気ままに海外を旅行する人が減ってきた。むろん、ヒッチハイカーなど、無謀な冒険をする若者が全くいなくなったわけではないが・・・。1年間有効の航空券であるオープンチケットを片手に、何の準備もせず出たとこ勝負で放浪し近い旅をする若者がかつては随分いた。そして、ヨーロッパの都会の片隅で、日本人の長期旅行者が集う日本人を形成していた。しかし、最近はどうなのだろう。格安のチケットが簡単に手に入るようになったことから、短いツアーを数多くこなす人が増えてきたような気がする。そして、インターネットの発達が、事前の情報収集を可能としている。あれこれと現地のことを調べ、わかった気になって出かけてゆく。もちろん、海外旅行の数をこなすから、簡単な日常会話はお手の物である。そのせいで、プリミティブな失敗談は少なくなっていると思われる。
情報入手の容易さから世界が狭くなってきていることは、民族間の理解を深めるので良いことなのだろうが、これから未知の世界へ向かうという胸躍る期待を抱くこともなくなってしまった。事前にインターネットで調べれば、衛星から取られた上空写真により町並みはおろか、道に駐車する車まで観ることができる。観光スポットはもちろんのこと、多種多様な写真の情報で、先行した擬似体験をすることができる。これが、スマートな海外旅行のやり方なのだろうが、自分だけの旅行をするとなると、日本人のだれもが行かないような海外の僻地を目指すしかないのだろう。
南の島の無人島でサバイバル生活を送るか、アラスカの果てで釣りをしてその場でバーベキュー生活をするしかないのかもしれない。

コメント
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