6人のダイバーとクルー1名が竜巻でなくなった。
"チョーク・ソムブーン19”は、6ヶ月前に完成したばかりの、全長29.9メートル、全幅6mの3層構造の鉄製の船だった。客室が1階と2階、リビングエリアは3階にあるクルージングボートで、ドイツ人が経営するプーケットで最大手のダイブアジア社が、ダイビングのパラダイス、シミランへのダイブサファリ(Liveabord)に就航させていた。
ダイブアジアには日本人インストラクターが常駐していた。これは、ダイブアジアと提携を結んだ日本の法人が、ダイブアジアジャパンとしてダイブアジアと特約を結んで日本人客にサービスを提供していたことによるものだった。
シミラン諸島は、プーケットの北西90km、バンガー県に属する大小9つの島で、その自然の美しさからタイ自然国立公園に指定されている。透視度20メートルを超える海にはさまざまな海洋生物が生息しており、世界中のダイバーの憧れの地でもある。
2009年3月8日。"チョーク・ソムブーン19”は、日本人4人や欧州からのダイビング客、タイ人乗組員ら計30人を乗せ、シミラン諸島を訪れた後、同日午後4時ごろ同諸島を出発。雷を伴う暴風雨が続いていたプーケット島沖約30kmの海域で、8~9ノットで航行中、午後23時(日本時間9日午前1時)すぎに強風にあおられて転覆し沈没した。予定では現地時間3月9日午前2時にシャロン湾に到着し、乗客は朝8時頃に下船するはずだった。
船の沈没から14時間後、漁船が救命ボートで漂流していた23人を救出。だが、船とともに海に沈んだ奈良県の男性(44)を含む7名は帰らぬ人となった。
船は、転覆から約2分で70mの海底に沈んだ。船を操船していたスキッパーは、"red wind"の竜巻が直撃したための転覆と新聞の取材に応えている。以上が"チョーク・ソムブーン19”遭難のあらましである。