tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

チョーク・ソムブーン19 (2)

2009-09-08 21:48:45 | bad news


"チョーク・ソムブーン19”の遭難のあらましはこうだ。

3月08日 23時頃、船転覆後、沈没。
3月09日 23名が救出された後、7名が行方不明。沈没した船の場所の捜索。
3月10日 1名の遺体を水面で発見。沈没した船の場所の捜索。深夜、船の位置を確認。
3月11日 テクニカルダイバーによる水深70mでの捜索。船中の4名を発見。
3月12日 同じく、テクニカルダイバーによる再捜索。1名を発見後、5名の遺体を水中から引き揚げ。
3月13日 5名遺体の身元確認。また最後の行方不明者のタイ人シェフを水面で発見。身元確認。同じく、テクニカルダイバーによる所持品の回収作業。
3月14日 テクニカルダイバーによる所持品の回収作業。

この事故の後で救命ボートで漂流中に救出されたスキッパーは、「パトンビーチ沖約30kmを航行中、"red wind"の竜巻が直撃した」と新聞取材に対し語った。それまではおだやかだったパトンビーチ沖。レーダーに突然現れた竜巻は船から北に3海里ほど離れたところで発生したが、それから10分ぐらいで船に接近。竜巻の直撃を左舷に受けた船は、激しく回転し、傾き、浸水し、そして沈没したようだ。
スキッパーは、ダイブアジアでダイブサファリボートを20年にわたり操船してきたベテランだった。彼は悪天候の予報はあったものの、船は6ヶ月前に完成した最新の設備を備えた大きな艇であり、普通の嵐なら十分に耐えられる自信があったと新聞記者に対し言っている。だが、嵐は一度も経験したことがないような大きなものだったのだ。
"red wind"とは、レイモンド・チャンドラー著の「赤い風」 Red Wind (1938)でなじみだが、毎年の春先、アフリカで発生し海を越えて吹き付ける埃っぽい季節風のことだ。タイでは 12月~4月 が乾季。この時期は北西からのインドシナ半島の山越えの季節風が吹く。

参考までに当日のプーケットエリアの気象レーダーのデータのリンクを示す。雲内部の降水粒子の移動速度を観測することで、雲内部の風の挙動を知ることが出来るため、竜巻対策としてドップラー・レーダーによる監視が行われているのが常である。これによれば、局地的な上昇噴流が問題の海域で遭難の時刻にあったことがわかる。

http://www.thaiweather.net/DATA/REPORT/php/radar/show_pkt120radar.php?sdate=08%20Mar%202009&subm=1