tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

チョーク・ソムブーン19 (4)

2009-09-10 23:49:11 | bad news


この船に乗船していた日本人のダイビング・インストラクター。
彼は、そのとき、3階建ての船の最上階にあるリビングエリアで、札幌から来たゲスト夫妻らを含む多くのゲストとともにダイビングのログ付けを行っていた。
3月8日午後23時(日本時間9日午前1時)、船は大波によって右に押され、次の瞬間、別の波を受けて船は右舷を下に転覆し、70メートルの海底に沈没する。沈没した船から引き上げた物品の中のダイブコンピュータによれば、浸水から海底に着底するまで約2分だった。
あまりにも早い沈没時間。それでもスキッパーは、救助信号を発したと証言している。
乗船していたゲストの中には客室で眠っていたものもいた。

船が傾いた時、リビングエリアにいた多くのゲストは船から脱出しようと出入り口に殺到した。
横倒しになり浸水してきたリビングエリアで、ゲストの全員避難を確認していた日本人のダイビングインストラクターは、そばにあった電気ポットをつかむや船室の窓ガラスに叩きつけ、ガラスを割って船から脱出。この時、割れたガラスの破片で、彼は背中に切り傷を負っている。
2艘の救命ボートが展開され、沈没する船から逃れた乗客たちが1~2mもの波の中を乗り込んだ。海上は真っ暗で、雷雨を伴う暴風雨の真っ只中だった。
行方不明になった7名の内、2名が船から脱出したのが目撃されている。しかし、彼らは生存者たちとは反対の方向へ避難してしまったようだ。
すべては、あっという間のことだった。脱出の際に、ライフジャケットを装着する時間もなかった。

救命ボートにあったライトは高く掲げられたのだが、暴風雨のなかでは周りに緊急事態を知らせるには小さすぎた。
救命ボートから、遠くにいくつかの船の明かりが厚い雨煙の向こうに見えた。だが、おそらく他の船は、チョーク・ソムブーン19に起こった悲劇を目撃していなかったであろうし、海難事故の発生を考えもしなかったと思われる。SOSを受けたタイの海上警察は、深夜だったためヘリでの救助捜索はできなかった。

一艘あたり最大20人を乗せられる救命ボートは、互いに結び付けられ、パトンビーチの西、ラチャノイの近くから漂流を始める。
12時間後、そこから50kmはなれた海域で、救命ボートに乗った23名は地元の漁船に救助される。漁船に救出されたのは、翌日の正午ぐらいのことだった。強い日焼けのため、軽い脱水症状を示してたものの、避難者は無事だった。
無線が通じる海域まで漁船で移動。海上警察に救助の連絡がとれたのは13時ごろだった。