現在、国民生活審議会「消費者・生活者を主役とした行政への転換に向けて」(意見)に対するパブコメが実施中である(平成20年5月26日まで)。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=095080510&OBJCD=100095&GROUP=
その中で、会社法に係る論点が3点ほど。
50頁
(親会社や支配株主等に対する責任追及等)
消費者被害犯罪の行為者の背後に、様々な形で支援を行う企業グループが存在したり、悪質な場合、資金提供等を行い、行為者以上に利益を得る事業者が存在する場合がある。悪徳商法の撲滅という観点からは、企業結合の法制化など、親会社や支配株主に対する責任追及を可能とする方策について検討すべきである。
(株式会社の解散命令の活用、資格喪失制度の創設)
特に悪質な事業者については、積極的に解散命令を活用することや、再犯歴がある個人は会社設立に関与する資格を剥奪する制度を構築することも考えられる。その際、そうした対応を一定の悪質行為に対応する行政処分として行うことの可否や、可能である場合はその執行主体としてどのような主体が適切か等の問題を検討する必要がある。
51頁
(会社法の審議体制の拡充)
会社法のあり方は、内部統制などを通じて消費者・生活者に資するとの観点からも極めて重要であり、恒常的に施行状況を把握し、柔軟に見直しの必要性を検討することが不可欠である。そこで、法制審議会の下に部会を常設するか、法務大臣が包括的な諮問を行うなど実質的に会社法制の状況を常に点検する体制を拡充すべきである。
第1の論点について・・・企業結合法制に関しては、今後の会社法改正の検討課題として俎上に挙がっているようであることから、その際に、悪徳商法撲滅の観点からの議論を取り入れるべきであろう。
第2の論点について・・・会社法上の解散命令(第824条第1項)の制度は、従来積極的に活用されてこなかったが、悪質業者の根絶に向けて積極的に活用すべきであり、執行主体としては、新設される消費者庁が適切であると考える。
諸外国においては、設立の際に、出資者又は取締役等の「無犯罪証明書」が要求されている例もある。また、ビザ(査証)の発給に際して同証明書が要求されるケースがあることから、日本においても同証明書を発行することがあるようである。したがって、設立登記の添付書面として、同証明書を要求する取扱いの採用も不可能ではないであろう(現実問題としては、難しいと思われるが。)。
なお、宅地建物取引業法においては、同法第5条第1項第7号及び第3号により、執行猶予期間が経過してからさらに5年を経過しない者は、宅建業を営む会社の役員に就任することができないものとされており、通常の事業を営む会社に比して(会社法第331条第1項第4号の規制に比して)、厳しい取扱いとなっている。同様の措置を導入すべきである。
第3の論点について・・・部会を常設するなど、実質的に会社法制の状況を常に点検する体制を拡充することが望ましいのは事実であり、かつ、会社法&消費者問題の現場に通じた実務家を登用すべきであろう。