東京証券取引所に上場する企業の決算発表のピーク日は、5月15日といわれている。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080425ddm008020173000c.html
ところで、会計監査人設置会社において、会社法第439条前段に規定する場合にあっては、取締役会の承認(第436条第3項)により決算が確定する。たとえば3月期決算の株式会社の「最終事業年度」(第2条第24号)は、今年5月の取締役会の承認を受けた時点で、「平成19年4月1日~平成20年3月31日」ということになる。
また、計算書類の公告に関しては、定時株主総会の終結後に公告しなければならない(第440条第1項)とされている。有価証券報告書提出会社には、同項の規定は適用されない(同条第4項)が、これは、定時株主総会終結後に有価証券報告書が提出されることにより、計算書類が公開の状態となるからである。
すなわち、会計監査人設置会社において、会社法第439条前段に規定する場合にあっては、取締役会の承認による確定後、定時株主総会の終結後に計算書類の公告又は有価証券報告書の提出がされるまでの間は、最終事業年度に関する貸借対照表が公告又は公開されていない状態にあることになる。
したがって、取締役会の承認により決算が確定した後、定時株主総会までの間に組織再編を行う等により債権者保護手続の公告又は催告をする際の「最終事業年度に係る貸借対照表に関する事項」については、新たな最終事業年度に係る貸借対照表についての掲載場所等を記載できない(有価証券報告書提出会社にあっては、「有価証券報告書提出済み」と記載できない。)ことになり、「貸借対照表の要旨の内容」を掲載する必要があるので注意を要する。官報掲載の手続は、掲載予定日の2~3週間前には行う必要があるから、きわめて困難な問題を生ずる。
取締役会による承認日よりも前に公告等を行えば、回避されるのだが、いまだに看過されている例があるようである。簡易組織再編のスケジューリングの際には特にご注意を。