司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

自己株式を活用するTOBの条件緩和へ

2010-09-24 10:31:31 | 会社法(改正商法等)
 本日の日経朝刊によれば,経済産業省が産業活力再生特別措置法の改正により(例によって「会社法制の見直し」に先鞭を付ける形で),自己株式を活用するTOBの条件を緩和することを検討しているようだ。

 私見であるが,非上場株式についても,一定の条件を満たす場合には,セルアウト及びスクイーズアウトを認めることを検討してもよいように思われる。


(緩和策)
○ 株式を活用したTOB
 ・検査役による株式価格の評価を省略
 ・株価に関する株主総会の特別決議を不要に
 ・買収企業の役員や株主は、TOB時の株価について責任を問われない
○ 少数株主からの株式買い取り
 ・買収企業がTOBで80~90%の株式を取得した場合,残りの株主から強制的に株式を買い取ることが可能に
 ・買い取りに伴う株主総会の決議は不要

cf. 今後の企業法制の在り方に関する経済産業省の意見
http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/keizaihousei/konngonokaisyahousei.html

<案1>検査役調査・填補責任の免除
 自社株を対価とするTOBを行う場合であっても,その対価の相当性について検査役の調査をなすことを要せず,買付会社の役員や応募株主は填補責任を負わないこととする。

<案2>株式価格の変動リスクの軽減
自社株を対価とするTOBを行う場合は、株式の現物出資の際の決定事項(会社法第199 条第1項第3号)を「価額」ではなく、発行日の時価または算定式で足りるものとする。

<セルアウト制度>
 TOBの結果,買付者が対象会社の●%(例えば,2/3)の株式を取得できた場合には,TOBに応じなかった残余の株主は,買付者による公告後の一定期間内に限り,その保有する株式をTOB価格を下回らない公正な価格で買い取らせること(セルアウト)を当該買付者に対して請求できることとし,実質的にTOBへの追加応募の機会を確保する。この場合,対象会社において株主総会決議を要しない。

<スクイーズアウト制度>
 TOBの結果,買付者が▲%(例えば,5/6)の株式を取得できた場合には,当該買付者は,一定期間内に限り,TOBに応募せず,又はセルアウトをしなかった残余の株主に対して,その保有する株式をTOB価格を下回らない公正な価格で売り渡すことを請求でき,対象会社を完全子会社とすることができるものとする。この場合,対象会社において株主総会決議を要しない。
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