司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

簡易組織再編における会社法第797条第3項の規定による通知又は同条第4項の公告

2015-03-05 18:08:29 | 会社法(改正商法等)
 平成26年改正会社法においては,簡易組織再編における反対株主は,買取請求権を有しないものとされた。

 現行の会社法においても,簡易分割の場合には,分割会社の反対株主は,買取請求権を有さず(会社法第785条第1項第2号,第806条第1項第2号),この場合,買取請求のための通知又は公告は,不要である(会社法第785条第3項ただし書,第806条第3項ただし書)。

 したがって,改正によって,簡易組織再編における反対株主のための通知又は公告(会社法第797条第3項,第4項)は,不要となると考えていたのであるが・・。

 しかし,改正後の会社法第797条第3項には,第785条第3項ただし書のような「ただし書」が追加されていない。すなわち,通知又は公告は,必要であるということになる。

 反対株主は買取請求権を有しないのになぜ? であるが,改正後の会社法第796条第3項によれば,この通知又は公告の日から2週間以内に,一定数の株主から吸収合併等に反対する旨の通知があったときは,原則に戻って,株主総会の決議によって,吸収合併契約等の承認を受けなければならない。

 この手続のために,買取請求のための通知又は公告は,これまで通り行う必要があるわけである。

 「買取請求のための」と書くから,ややこしいのかもしれない。単に,「会社法第797条第3項の規定による通知又は同条第4項の公告」と書けばよいのだろう。

 そして,通知又は公告の日から2週間以内に,一定数の株主から吸収合併等に反対する旨の通知がなかったときは,2週間を経過した時点で,簡易組織再編の要件が完備したことが一応確定することになる。

 一応というのは,簡易合併の要件は,吸収合併等の効力発生日の直前の時点において満たしている必要があり,かつ,それで足りる(吸収合併契約等の締結時点では満たしていなくてもよい。)が,結局のところ,差損が生じるか否かが確定するのは,吸収合併等の効力発生日時点であるからである。

 したがって,「簡易合併の要件に該当することを証する書面」(商業登記法第80条第2号)等においては,やはり,「通知又は公告の日から2週間以内に,一定数の株主から吸収合併等に反対する旨の通知がなかった」ことも記載する必要があると解される。

cf. 平成23年6月20日付け「簡易合併の要件を満たすことの証明書」

 私は,「簡易合併の要件に該当することを証する書面」(商業登記法第80条第2号)等においては,

(1)資産の5分の1要件をクリアしていること
(2)差損を生じないこと
(3)一定数の株主からの反対がなかったこと

の3要件を充足していることを証する必要があると考える。
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国家戦略特区における起業手続のワンストップセンター

2015-03-05 17:28:57 | 会社法(改正商法等)
日経記事
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS04H4M_U5A300C1EE8000/

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