司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

法定相続情報証明制度に関する不動産登記通達の補遺(4)

2017-04-19 23:17:22 | 不動産登記法その他
4 法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出

(3)代理人
ア 申出人の法定代理人
イ 申出人から委任を受けたその親族
ウ 申出人から委任を受けた戸籍法第10条の2第3項に掲げる者(弁護士,司法書士,土地家屋調査士,税理士,社会保険労務士,弁理士,海事代理士及び行政書士に限る。)

 親族については,民法上のもの(6親等内の血族,配偶者及び3親等内の姻族)であれば可。

 本制度の申出そのものが,戸籍法第10条の2第3項に定める「受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合」には当たらない。

 戸籍法第10条の2第3項に掲げる者(弁護士,司法書士,土地家屋調査士,税理士,社会保険労務士,弁理士,海事代理士及び行政書士に限る。)であっても,本制度の申出のみを代理する場合には,当該資格士業の業務範囲を超える行為(いわゆる業際違背)となると解される。

 規則第247条第2項第2号の「戸籍法第10条の2第3項に掲げる者」とは,「戸籍法第10条の2第3項の事件又は事務に関する業務を受任した者」という理解である。

(4)利用目的
 申出に当たっては,法定相続情報一覧図の写しの提出先が 分かるように利用目的を申出書に記載する必要がある。

 具体的にどのような手続が本制度を利用することができるかについては,ホームページやリーフレットにおいて例示をして周知される予定である。

(5)不動産があるとき
 被相続人名義の不動産が複数ある場合は,そのうちの一部の不動産所在事項又は不動産番号を記載することで足りる。

(6)その他
 相続登記の申請と同時に申出をすることができるかは,通達からは明らかではないが,認めても差し支えないであろう。
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法定相続情報証明制度に関する不動産登記通達の補遺(3)

2017-04-19 19:53:00 | 不動産登記法その他
3 法定相続情報一覧図
(1)申出をすることができる場合
 相続に起因する登記その他の手続のために必要があるとき。単に,家系図作成の場合は,不可。

 申出をすることができる者は,相続人又は当該相続人の地位を相続により承継した者。

(2)管轄登記所
ア 被相続人の本籍地
イ 被相続人の最後の住所地
ウ 申出人の住所地
エ 被相続人を表題部所有者又は所有権の登記名義人とする不動産の所在地

 不動産登記手続以外の利用目的の場合,不動産の所在地を管轄する登記所に対し申出をすることは,不可と解される。

 数次相続が生じている場合,二次相続に係る被相続人の本籍地又は最後の住所地がどこであるかにかかわらず,一次相続に係る被相続人の法定相続情報一覧図の保管等を管轄する登記所に,二次相続に係る被相続人の法定相続情報一覧図の保管等の申出をすることができる。

 書面による窓口申出のほか,郵送による申出をすることができる。オンライン申請は不可。

(3)一覧図の内容
ア 被相続人に関する情報(第1号関係)
 被相続人の最後の住所を証する書面が廃棄され添付することができない場合には,被相続人の最後の住所の記載に代えて被相続人の最後の本籍を記載することで足りる。

 本籍地は,記載しない。

 不動産の所在地を管轄する登記所に申出をする場合であっても,登記簿上の住所と最後の住所のつながりについて証明する必要はない。

イ 相続人に関する情報(第2号関係)
 相続人の住所は,任意的記載事項である(規則第247条第4項)。

 同順位の相続人の中に被相続人の死亡以前に死亡した者がいるときは,代襲相続人がいる場合を除き,当該死亡者を記載する必要はないと解される。

 数次相続が生じている場合の死亡している相続人について,死亡年月日を記載する必要はない。

 相続人に嫡出でない子がいる場合,平成13年7月1日よりも前に相続が発生しているときは,嫡出子・嫡出でない子の別を記載することでも差し支えない。

ウ その他
 法定相続情報一覧図については,図面形式に限らず,相続人の一覧表形式も認められる。

 明瞭に判読することができれば,手書きでもよい。

(4)数次相続の場合
 数次相続が生じている者に係る相続手続の場合には,必要に応じて被相続人ごとに法定相続情報一覧図を作成し,これらを組み合わせることで対応する。

 なお,一の相続の場合であっても,「相続人が多く,法定相続情報一覧図が2枚以上にわたることも想定」されているようである(法務省HP参照)。
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法定相続情報証明制度に関する不動産登記通達の補遺(2)

2017-04-19 15:29:04 | 不動産登記法その他
2 不動産登記の申請等における添付情報の取扱い

 登記名義人等の相続人が登記の申請をする場合において,法定相続情報一覧図の写しを提供したときは,その一覧図の写しの提供をもって,相続があったことを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報の提供に代えることができる(規則第37条の3)。

 登記の申請書に添付した法定相続情報一覧図については,原本の還付を請求することができる(規則第55条第1項本文)。

 なお,法定相続情報一覧図については,被相続人及び相続人を単に列挙する記載としても差し支えないとされているが,この場合には,いわゆる相続関係説明図を作成して,提出することになろう。この場合,当該相続関係説明図を一覧図の写しの謄本として取り扱い,一覧図の写しについては還付され得る。

 法定相続情報一覧図は,申出をした登記所に保管されているのだから,相続登記の申請を当該登記所にする場合には,法定相続情報一覧図の提供は,不要という取扱いをすることもできそうである。登記の申請書に,法定相続情報一覧図記載の「法定相続情報番号」を記載すればよいのだから。

 法定相続情報一覧図に相続人の住所が記載されているときは,相続登記の申請において,住所を証する情報の提供に代えることができるかについては,通達からは明らかではないが,おそらく認められるであろう。

 法定相続情報一覧図には被相続人の最後の住所が記載されているが,相続登記の申請において,最後の住所を証する情報の提供に代えることができるかについては,通達からは明らかではないが,おそらく認められるであろう。
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法定相続情報証明制度に関する不動産登記通達の補遺(1)

2017-04-19 15:09:27 | 不動産登記法その他
1.法定相続情報一覧図つづり込み帳及びその保存期間

 法定相続情報一覧図つづり込み帳につづり込まれる書類は,法定相続情報一覧図のほか,

・ 申出書
・ 申出書に記載されている申出人の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他公務員が職務上作成した証明書(当該申出人が原本と相違ない旨を記載した謄本を含む。)
 ※ 住民票の写し,運転免許証のコピー等である。
・ 代理人の権限を証する書面
 ※ 委任状のほか,代理人の身分や資格を証明するものも添付しなければならない。
 
である。

 法定相続情報一覧図つづり込み帳は,登記簿の附属書類であり,利害関係人は,手数料を納付して,利害関係を有する部分の閲覧を請求することができる(不動産登記法第121条第2項)。

 保存期間は,「作成の年の翌年から5年間」である(規則第28条の2第6号)。

 再交付の申出(規則第247条第7項)をすることができるのは,つづり込み帳の保存期間中に限られる。
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法定相続情報証明制度に関するFAQ

2017-04-19 13:41:18 | 不動産登記法その他
法定相続情報証明制度についてお答えします! by あかし運営委員会(静岡県司法書士会)
http://akashi.wp-x.jp/%E6%B3%95%E5%AE%9A%E7%9B%B8%E7%B6%9A%E6%83%85%E5%A0%B1%E8%A8%BC%E6%98%8E%E5%88%B6%E5%BA%A6/

 すばらしい! 仕事が早いですね。
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「司法書士法人の手引き(第3版)」

2017-04-19 12:51:25 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 日司連編「司法書士法人の手引き(第3版)」が作成されている。関係各位は,御確認を。
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吉田神社例祭

2017-04-19 11:27:10 | 私の京都
吉田神社
http://www.yoshidajinja.com/yuisyo.htm#hongu_reisai

 昨日(4月18日)は,吉田神社例祭に参列。厳かに執り行われました。

 終了後に,直会(なおらい)を頂きました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B4%E4%BC%9A
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「法定相続情報証明制度」の創設に係る不動産登記通達が発出

2017-04-19 10:18:30 | 不動産登記法その他
 「不動産登記規則の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務等の取扱いについて(通達)」〔平成29年4月17日付法務省民二第292号〕が発出されている。

 「法定相続情報証明制度」の創設に係る不動産登記通達である。御確認を。
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