国税庁
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/85/01/index.htm
清算型遺贈において,遺贈の目的物が不動産であるときは,譲渡所得税の賦課の問題がある。形式的には(登記簿の外観からは),法定相続人が売主として不動産を売却したように見えるからである。
この点に関して,上記HPに,小柳誠「換価遺言が行われた場合の課税関係について」が掲載されている。
私は,譲渡所得税については,遺贈の登記の登録免許税と同様に,遺言執行に関する費用(民法第1021条)として,相続財産の負担とするのが合理的であると考える。
民法
(遺言の執行に関する費用の負担)
第1021条 遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とする。ただし、これによって遺留分を減ずることができない。
民法第1021条が遺言執行費用を相続財産の負担としていることから,相続人は,相続人の固有の財産をもって支弁する必要はない。
すなわち,各相続人が負担すべき遺言執行費用は,遺言執行費用を全相続財産のうち当該相続人が取得する相続財産の割合に比例按分した額であり,かつ,当該相続人が取得した相続財産の額を超えない部分に限られる。
そして,遺言執行費用によって遺留分を害することはできない(民法第1021条ただし書)ので,相続人は,遺留分額に遺言執行費用を加算した額を保全するまで,遺留分侵害額請求をすることができると解される。
cf. 平成26年10月24日付け「遺贈による登記の登録免許税の負担者は誰か(3)」
例えば,清算型の相続人以外の者への全部遺贈のケースでは,相続人が取得する相続財産はない。この場合,相続人は遺言執行費用を負担する義務を負わないから,譲渡所得税を納付する義務を負わないというべきである。
税務署的には,相続人が(遺言執行費用の負担相当額についてのみ)遺留分侵害額請求をして,相続人が譲渡所得税を納付する,というのが筋が通っているのであろう。しかし,相続財産を取得していない相続人は,本来,遺言執行費用の負担義務はないのであるから,筋が悪い,迂遠な話である。
このような場合には,受遺者に納付義務を負わせるような措置をとるべきではないだろうか。
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/85/01/index.htm
清算型遺贈において,遺贈の目的物が不動産であるときは,譲渡所得税の賦課の問題がある。形式的には(登記簿の外観からは),法定相続人が売主として不動産を売却したように見えるからである。
この点に関して,上記HPに,小柳誠「換価遺言が行われた場合の課税関係について」が掲載されている。
私は,譲渡所得税については,遺贈の登記の登録免許税と同様に,遺言執行に関する費用(民法第1021条)として,相続財産の負担とするのが合理的であると考える。
民法
(遺言の執行に関する費用の負担)
第1021条 遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とする。ただし、これによって遺留分を減ずることができない。
民法第1021条が遺言執行費用を相続財産の負担としていることから,相続人は,相続人の固有の財産をもって支弁する必要はない。
すなわち,各相続人が負担すべき遺言執行費用は,遺言執行費用を全相続財産のうち当該相続人が取得する相続財産の割合に比例按分した額であり,かつ,当該相続人が取得した相続財産の額を超えない部分に限られる。
そして,遺言執行費用によって遺留分を害することはできない(民法第1021条ただし書)ので,相続人は,遺留分額に遺言執行費用を加算した額を保全するまで,遺留分侵害額請求をすることができると解される。
cf. 平成26年10月24日付け「遺贈による登記の登録免許税の負担者は誰か(3)」
例えば,清算型の相続人以外の者への全部遺贈のケースでは,相続人が取得する相続財産はない。この場合,相続人は遺言執行費用を負担する義務を負わないから,譲渡所得税を納付する義務を負わないというべきである。
税務署的には,相続人が(遺言執行費用の負担相当額についてのみ)遺留分侵害額請求をして,相続人が譲渡所得税を納付する,というのが筋が通っているのであろう。しかし,相続財産を取得していない相続人は,本来,遺言執行費用の負担義務はないのであるから,筋が悪い,迂遠な話である。
このような場合には,受遺者に納付義務を負わせるような措置をとるべきではないだろうか。