9月2日付「資格ないのに示談交渉」に付けていただいたコメントに関してであるが、
東京都行政書士会HPの「改正行政書士法と代理権」によれば、
「現在の司法制度改革審議会において、最高裁、法務省、日弁連、日行連等参加の下に、弁護士法七二条の弁護士以外に業として取り扱うことを禁止している法律事務は、「争訟性のある法律事務」に限ると確認されたのである。従って、契約締結代理事務を業として扱うことは、弁護士法違反では無いことが確認されたのである。それを受けて、行政書士法が改正され、契約代理業務が行政書士の法定業務とされたのである。」
「書類を代理人として作成するのであって、書類を代理して作成するのではない。・・・契約代理業務には、争訟性のある法律事務以外のすべての法律事務が含まれているのであるから当然に契約交渉代理も含まれると解さなければならない。」
ということである。
「書類を代理人として作成する」というのは、署名または記名押印を本人ではなく「代理人の名で」行うことを意味する。この点から、契約締結交渉の代理権まで導き出せるのか、改正法案審議段階において疑問に思ったのであるが、行政書士さんの立場は総じて上記引用箇所のとおりであった。
また、引用した解説では「争訟性のある・・・以外のすべて」という表現が用いられているが、「争訟性」は「紛争性」とも微妙に異なるより狭い概念であり、したがって代理権の範囲はより幅広く解される余地がある。たとえば、通常の商取引における契約締結交渉の代理権まで認められるとも解されよう。手元にないので参照できないが、兼子仁東京都立大学名誉教授著「行政書士法コンメンタール」(北樹出版)が最近刊行されているので、この辺に関しても詳しい解説があろうと思う。
一つの資格において法律上「できること」と「できないこと」の判別は非常に悩ましい。
行政書士法第1条ノ3 行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
一 (略)
二 前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。
三 (略)