司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

特定商取引法に関する通達の改正(経済産業省)

2005-08-12 16:22:08 | 消費者問題
 経済産業省が、悪質住宅リフォーム訪問販売に対する特定商取引法の執行を促進・ 強化すること等を目的として、8月10日、同法の通達を改正・施行。

プレス・リリース

特定商取引に関する法律等の施行について(通達)


○ (老人その他の者の)判断力が不足していることが明らかでなかった場合についても、通常の判断力があれば締結しないような、消費者にとって利益を害するおそれがある契約(例えば、新築代金に匹敵するような高額のリフォーム契約)を締結させることが法違反に該当することを明確にした。

○ 年金収入しかない高齢者に対して、返済困難な借金をさせて住宅リフォーム契約を締結するよう勧誘する行為が法違反に該当することを明確にした。

○ 消費者が冷静に検討する時間も与えられずに次々と短期間に住宅リフォーム契約を結ばされるいわゆる次々販売が、訪問販売規制の適用除外となる「継続的取引関係にある顧客に対する住居訪問販売」に該当しない(特定商取引法の規制が適用される)ことを明確にした。

○ 住宅リフォーム訪問販売業者が、消費者に「見積もりをしてほしいので来訪されたい」等、あたかも消費者の方から販売業者に対して、自宅に来訪して取引することを要請したかのように言わせることは、訪問販売規制の適用除外に該当しない(特定商取引法の規制が適用される)ことを明確にした。

※その他
 インターネット・オークションに出品する事業者には特定商取引法の通信販売の広告規制が適用されることを明確にした。
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貸金業ガイドラインの改正

2005-08-12 14:07:25 | 消費者問題
 金融庁が、貸金業関係の事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)の一部改正(案)のパブリックコメントを実施。平成17年9月2日(金)まで。
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/17/kinyu/f-20050812-1.html#01

 先般の最高裁判決を受けて、貸金業者に取引履歴の開示義務があり、正当な理由に基づく開示請求を拒否した場合には行政処分の対象となり得ることを明確化するとともに、併せて、弁護士・司法書士等の代理人を通ずる場合を含め、取引履歴の開示が求められた際の本人確認の手続について明確化するもの、である。

cf. 平成17年7月20日付「取引履歴開示に関する最高裁判決」
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登記原因証明情報(根抵当権と会社分割)

2005-08-11 17:39:51 | 司法書士(改正不動産登記法等)
「元本の確定前又は確定後における会社分割を原因とする根抵当権の移転の登記の申請の登記原因証明情報について(通知)」(平成17年8月8日付法務省民二第1811号)が発されている。

 この民事局民事第二課長通知によって、実務上若干混乱があった元本確定前の根抵当権についてする登記の申請の登記原因証明情報は、「会社分割の記載がある登記事項証明書のみで足りる」で統一されることとなった。

 やれやれ。

cf. 平成17年4月3日付「登記原因証明情報(根抵当権と会社分割)」

   平成17年3月2日付「登記原因証明情報 for 金融機関」

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商業・法人登記申請の行政書士への開放

2005-08-10 20:23:10 | 会社法(改正商法等)
 内閣府規制改革・民間開放推進室&内閣府市場化テスト推進室が実施した「全国規模の規制改革及び市場化テストを含む民間開放要望」に対する各省庁からの回答が公表されている。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kiseikaikaku/osirase/050726/050726kaitou.html

 日本行政書士会連合会からの要望である「商業・法人登記申請の行政書士への開放」問題に関して、法務省は改めて拒否の回答。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kiseikaikaku/osirase/050726/houmu_a.pdf(最終頁)

<要望理由>
 会社・法人設立や各種変更では、定款や総会議事録等、申請に必要な添付書類は行政書士が作成しており、登記申請書の作成及び手続のみ、規制があるため本人申請又は本人が司法書士に依頼している。依頼者は、一連の業務として迅速かつ廉価を望む中、制限があるため、手続の煩雑さと負担を強いられている。登記申請書の作成及び手続を行政書士等も行えるようにすることで、依頼者たる国民は迅速かつ廉価なサービスを享受することが可能となり、利便性が増す。
 なお、昨今の電子申請化に伴い、電子公証制度に基づく定款の認証方法に「電子定款」があり、これに使用する電子署名として、本会が行政書士会員向けに発行している電子証明書が認められた。

<再要望に伴う法務省回答への意見>
(1)専門的知識について
 商業・法人登記に係る登記申請書の作成は、添付書類で明確にされている事実を引き写して記載するものである。一方で、その記載事項を証明するために添付する定款や各種議事録等の書類の作成など、登記申請までの手続全般について、相談からの一連の依頼案件として行政書士が行っている実態もある。また、会社・法人設立、変更登記には、許認可申請を伴うものも多く、許認可の内容を熟知した上での登記申請が必要。許認可申請は行政書士が専門分野として行っている。申請書記載事項を証明するための添付書類を専管業務として作成しており、また許認可申請も専管業務としている行政書士に、商業・法人登記に関する専門的知識がないとするのは、形式的な見解に過ぎる。
(2)能力の担保について
 行政書士試験は、幅広い業務内容に対応する能力を担保するため、広範な法律分野が出題されており、商法に加え、民法、税法、労働法など、会社・法人の経営・運営に必要な法律分野が含まれている。また、行政書士法第13条の3は、行政書士の研修受講による資質向上義務を規定しており、商法や法人設立実務に関する研修会は、毎年全国的に実施されている。
 上記に加え、更なる能力担保措置については、今後検討したい。

<法務省の回答>
 商業・法人登記は,国民の権利に重大な影響を及ぼすものであり,この登記手続を代理するためには,高度な法律知識及び専門的能力が要求されるので,司法書士又は弁護士以外の者が当該業務を行うことは,国民の権利の保全及び登記事務等の適正な運営の観点から認められない。

cf. 平成17年1月18日付「商業・法人登記の行政書士等への開放」
   平成17年1月31日付「商業・法人登記業務の規制緩和~法務省改めて拒否~」
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京都地裁で傷害事件

2005-08-10 12:44:18 | いろいろ
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2005081000082&genre=C1&area=K10

「京都地裁にパトカー3台と救急車、大量の警察官が大集合!」という噂を耳にして、何か大事件でも起こったのか、と思っていたのだが・・・。
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郵政公社によるM&A

2005-08-10 12:11:59 | 会社法(改正商法等)
郵政公社、初の企業買収へ 宅配強化狙い物流会社を (朝日新聞) - goo ニュース

 民営化法案は頓挫したが、積極的に業容拡大を図るようだ。しかし、現行法上は出資可能な事業はきわめて限定されている。


日本郵政公社法
 (出資)
第21条 公社は、第19条第1項第1号に掲げる業務の運営に特に必要がある場合には、総務大臣の認可を受けて、当該業務に密接に関連する政令で定める事業を行う者に出資することができる。

 (業務の範囲)
第19条 公社は、第1条の目的を達成するため、次の業務を行う。
 一 郵便法 (昭和22年法律第165号)の規定により郵便の業務を行うこと。
 二~八 【略】
2~4 【略】

日本郵政公社法施行令
第1条 日本郵政公社法(以下「法」という。)第21条 の政令で定める事業は、次のとおりとする。
 一 日本郵政公社(以下「公社」という。)の委託により、郵便物の取集、運送又は配達に使用する運送機関に係る情報の処理に関する業務を行う事業
 二 他人の委託により、郵便物の作成及び差出しに関する業務を行う事業
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東京三菱銀とUFJ銀、来年1月1日合併?

2005-08-10 10:53:34 | 会社法(改正商法等)
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20050810AT2Y0900A09082005.html

 商法の下では、合併は登記が効力要件となっており、たとえ1月1日を合併期日と定めても、法的に効力を生じるのは登記申請日である(商法第416条第1項)。したがって、本件では、登記所の最初の開庁日である1月4日(水)以降となる。もっとも、管轄登記所が1月1日に開庁し、登記申請を受理してくれれば、1月1日合併も可能であるが。
 会社法の下では、当事者会社の合意により、合併が法的に効力を生じる日を定めることが可能となる(会社法第750条第1項)。したがって、法的にも1月1日合併が可能となる。

cf. 平成17年4月5日付「登記情報4月号」
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大学発ベンチャー

2005-08-10 09:24:52 | 会社法(改正商法等)
http://www.nikkei.co.jp/news/tento/20050810AT2E0800309082005.html

 会社法施行により、人的資本の拠出者にも応分のペイをしやすくなるので、大学発ベンチャーの起業がさらに活性化するのでは。
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最高裁裁判官の国民審査

2005-08-09 09:21:37 | いろいろ
最高裁6裁判官の国民審査、総選挙と同時に投票 (朝日新聞) - goo ニュース

 衆議院解散、総選挙により、最高裁裁判官の国民審査が実施される。最高裁のHPで各判事のプロフィールが紹介されているので要チェック。

http://courtdomino2.courts.go.jp/shokai_J.nsf/View01?OpenView
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LLPに関する登記事務の取扱(通達)

2005-08-08 10:18:03 | 会社法(改正商法等)
 「有限責任事業組合契約に関する法律等の施行に伴う登記事務の取扱いについて(通達)」(平成17 年7 月29 日付法務省民商第1713号)が発されている。

 不動産登記事務の取扱についての通達は先般発されており、今回のものは商業・法人登記に類似した「組合契約の登記」に関するものである。別紙記録例のほかは特に目を引くところはない。
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ゲートキーパー

2005-08-07 15:51:04 | いろいろ
 弁護士界では、ゲートキーパー問題が論議を呼んでいるようだ。

cf. ゲートキーパー制度に関する日弁連の行動指針

   兵庫県弁護士会会長声明

 守秘義務に関する「秘密を開示できる正当な理由」について、「依頼者の犯罪行為の企図が明確で、その実行行為が差し迫っており、犯行の結果が極めて重大な場合で秘密の開示が不可欠な場合」には正当な理由があると解されており、正当な理由があるとされる場合を具体的に限定列挙させる攻防となろうか。
 弁護士界には「弁護士神聖にして侵すべからず」的考え方が流布しており、一筋縄ではいかないであろうが。
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ミステリー・ショッピング

2005-08-07 15:26:16 | いろいろ
 8月7日付日経流通新聞に飲食店における「覆面調査」(ミステリー・ショッピング)に関する記事が掲載されている。

 司法書士業務の場合、専門職種であるがゆえに、「顧客接点の品質管理」は注目され難い面があるが、司法書士事務所にとっても本来等閑視するわけには行かない重要なファクターの一つである。ともすれば、独善的になりがちであり、時には客観的視点を導入して、見直しを図ることも必要であろう。

cf. 注目を集めるミステリーショッパーリサーチ(ミステリーショッピング)
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会社法の制定に伴う商業登記事務に関する改正の概要(2・完)」

2005-08-07 11:29:02 | 会社法(改正商法等)
 法務省民事局発行の民事月報最新号(60巻7号)に、松井信憲法務省民事局局付「会社法の制定に伴う商業登記事務に関する改正の概要(2・完)」が掲載されている。登記手続に関する簡明な解説であり、特に踏み込んだ記述は見られない。

 まさか2回で終わるとは・・・。

 今後、法務省令のパブコメ、通達等により、全貌が徐々に明らかになって行くのであろう。
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信託法改正要綱試案の補足説明

2005-08-06 00:53:22 | 会社法(改正商法等)
 「信託法改正要綱試案の補足説明」が公表された。
http://www.moj.go.jp/PUBLIC/MINJI60/refer02.pdf

cf. 平成17年7月26日付「信託法改正要綱試案」に関する意見募集」
   平成17年7月10日付「担保権の信託可能(法制審部会方針)、不動産登記ではどう対処?」

 注目の「債権者と担保権者を分離し、担保権だけを信託会社に信託できる制度が導入される方向」に関しては、下記のとおりである。

【要綱試案】
総則関係
第1 信託の意義について
1 信託の意義
 信託とは,次の要件が満たされるものをいうものとする。
a 財産の譲渡,担保権の設定その他の処分があること。
b 財産の処分を受けた者が,一定の目的(自己の利益を図るものを除く。)のために,当該財産の管理又は処分その他の当該目的の達成に必要な行為を行うこと。

【補足説明】
総則関係
第1 信託の意義について
試案第1は,信託の意義に関する提案である。
1 提案1(信託の意義)について
 1は,現行法第1条に相当するものであり,信託とは,1のa及びbを要素とすべきことを提案するものである。この提案においては,現行法の実質を変更するものではないが,以下の考え方を確認している。
 1のaは,財産について処分があることを要素とすべきことを提案している。処分の対象となる財産としては,金銭的価値に見積もり得るものすべてが含まれ,特許権等の知的財産権はもちろんのこと,特許を受ける権利,外国の財産権等も含まれる。ただし,委託者の生命,身体,名誉等の人格権が含まれないのは,これまでと同様である。
 「処分」には,既存の権利の移転のほか,いわゆる設定的移転も含まれ,前者の例示として「財産の譲渡」を,後者の例示として「担保権の設定」を掲げている。「担保権の設定」とは,一般の債権について,担保付社債信託法のようなスキーム,すなわち,債務者を委託者,担保権者を受託者,債権者を受益者として担保権を設定すること(いわゆるセキュリティ・トラスティ)(※1)をいう。ただし,このような「担保権の設定」に係るスキームが円滑に機能するために,民事執行法等の他の法令において見直しが必要であるかについては,更に検討するものとしている。

※1 規制改革・民間開放推進3か年計画(平成16年3月19日閣議決定)においては,「シンジケートローン等において,1人の債権者が他の債権者の債権も含めた被担保債権の担保権者となり,その担保権の管理を行うことができるようにすべきであるとの指摘があることから,信託の在り方を見直す中で,制度の整備の必要性を検討する。」とされている。
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『会社法・整備法全条文(含・改正後商法・商業登記法)整備法新旧対照全条文CD-ROM付』

2005-08-05 15:30:01 | 会社法(改正商法等)
 商事法務から会社法の条文集が発売される。さすがに素早い対応。

 整備法の新旧対照表については、法務省のHPからPDFをダウンロードすることもできるのだが。いずれにしても、検索機能が便利なので利用すべき。

cf. 会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案


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■新・会社法で現行の商法・商法特例法はどのように変わったのか?
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 相澤 哲 編(627頁 2,520円)

■新・会社法の全条文・経過措置および改正後商法、商業登記法を収載!
 2600頁に及ぶ整備法新旧もCD-ROMに収録!
『会社法・整備法全条文(含・改正後商法・商業登記法)
 整備法新旧対照全条文CD-ROM付』
 商事法務 編(451頁 2,310円)
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