司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

武富士が会社更生法適用申請へ(2)

2010-09-27 19:36:30 | 消費者問題
 日経夕刊によれば,次のとおり。

・ DIP型手続を行う。
・ 過払い債権者は,最大200万人規模
・ 一両日中にも,会社更生手続開始の申立て
・ 現在,過払金返還請求中の債権者は,11万人
・ 要返済額は,2兆5000億円に上る見込み

 大幅な債権カットは必至だが,本当に再建できるのかしらん。
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賃借人の自殺で,遺族に対する損害賠償請求

2010-09-27 19:11:49 | 消費者問題
讀賣新聞記事
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100927-OYT1T00076.htm


 賃借人の自殺により,以後借り手がつかず,損害を被ったとして,賃貸人が遺族に対して損害賠償請求をするケースが増えているようだ。自殺があった賃貸物件は,『心理的瑕疵物件』と呼ばれ,借り手がつかなくなったり,家賃を大幅に安くせざるを得ないため,損害賠償の対象になるからである。

cf. 平成21年7月25日付「居住者自殺で「事故物件」,借主に損害賠償請求」
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株式が相続により準共有となった場合の権利行使者の指定等が権利の濫用に当たるとした大阪高裁判決

2010-09-27 17:57:23 | 会社法(改正商法等)
 株式会社の株式の所有者が死亡し,複数の相続人がこれを承継した場合,当該株式は,共同相続人の準共有となる(民法第898条)。この場合,当該株式に関して権利を行使するには,共同相続人の中から権利行使者を指定し,その旨を株式会社に通知しなければならない(会社法第106条本文)。この権利行使者の決定過程が権利の濫用に当たり,許されないとした大阪高裁平成20年11月28日判決(金融・商事判例1345号38頁)がある。

 権利行使者の指定は,最終的には準共有持分の価格に従い,その過半数で決定されるとしても,事前にしかるべき協議をすることが必要であり,この協議をまったく行わずに権利行使者を指定するなど,権利行使者の決定過程が権利の濫用に当たる場合には,当該権利行使者の指定及び議決権の行使は,権利の濫用に当たり許されない,とするものである。

 下記のHPで詳細が紹介されているので,ぜひご覧ください。

cf. 御器谷法律事務所HP
http://www.mikiya.gr.jp/20081128.html

旬刊商事法務2010年9月25日号「新商事判例便覧」63頁
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「会社分割の理論・実務と書式(第5版)」

2010-09-27 12:57:40 | 会社法(改正商法等)
編著「事業再編シリーズ① 会社分割の理論・実務と書式(第5版)―労働契約承継、会計・税務、登記・担保実務まで―」(民事法研究会)
http://www.minjiho.com/new_detail.php?isbn=9784896286410

 会社計算規則の改正(平成21年4月1日施行)その他の法令の改正に対応した改訂版。

 次の2冊との三部作です。お薦め。


編著「事業譲渡の理論・実務と書式」(民事法研究会)2010年5月刊
http://www.minjiho.com/new_detail.php?isbn=9784896286168

編著「会社合併の理論・実務と書式」(民事法研究会)2009年7月刊
http://www.minjiho.com/new_detail.php?isbn=9784896285482
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株主総会から取締役会への権限の委任

2010-09-27 12:35:03 | 会社法(改正商法等)
 株主総会から取締役会への権限の委任はどこまで許されるか?

 (株主総会の権限)
第295条 株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。
2 前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。
3 この法律の規定により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役、執行役、取締役会その他の株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、その効力を有しない。


 会社法第295条第2項及び第3項の規定によれば,会社法が株主総会の専権事項と定めたものについては,取締役会に委任できないが,定款の定めにより株主総会の権限としているものについては,取締役会に委任することができる。

 そして,会社法が株主総会の専権事項と定めたものについて,取締役会にまったく委任できないかというと,会社法の立案担当者は,「株主総会が決議をした上で,その決議の効力の発生を他の機関や第三者の承認にかからしめることまでを否定するものではない」との見解を示している(相澤哲編著「立案担当者による新・会社法の解説」(商事法務)77頁)。

 また,会社法第361条における取締役の報酬等の決定に関して,条文上,定款の定め又は株主総会の決議を要するとされているが,株主総会が総額又は上限額を定めれば,具体的支給額については取締役会に一任することができるというのは,判例及び実務慣行として定着したものである。

 要は,当該委任が,権限の委譲といえる程度か否か,あるいは,権限を保持したままで,細目の決定のみを委ねたものといえるか否か,ということであろう。

 コメント欄でご質問を受けた「例えば定款変更など,追加する予定の目的を株主総会で決めて,その中から一年以内に取締役会で選択した事業目的のみ定款に反映されるなどは可能か」については,定款変更の内容の決定を委ねるものであり,権限の委譲といえるであろうから,不可と考える。

 実務的には,新株予約権の問題等,柔軟な対応が望まれる場面も多いが,基本的な考え方としては,上記のとおりであろう。
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武富士が会社更生法適用申請へ

2010-09-27 08:23:54 | 消費者問題
時事通信
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010092700014

 武富士もいよいよ法的整理に入るようです。
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尖閣諸島と不動産登記

2010-09-27 00:57:33 | 不動産登記法その他
 尖閣諸島が,不動産登記上,那覇地方法務局石垣支局の管轄であることは,既知であったが,
cf.平成16年4月21日付「尖閣列島、北方領土と登記」

 沖縄県石垣市字登野城2390番~2394番という地番が付されているらしい。
http://akabana.seesaa.net/article/65691391.html

 政府は,所有者との間で,賃貸借契約を締結しているが,設定登記は,されていない模様(登記記録の確認まではしていないが。)。

※【追記】過去に,賃借権設定登記がなされたとニュースが流れた記憶があったのだが,確認できなかったところ,奇特にも登記記録を取得した方から送付いただいた。魚釣島については,「総務省」を賃借権者として,賃借権設定登記がされている。存続期間は,毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間として,平成14年以降,毎年登記がされている。賃料は,1年につき2112万3492円。

 久場島については,1972年に締結し,1992年に更新した20年の賃貸借契約が2年後に期間満了となるらしいので,契約更新でまた問題が浮上か。
http://www.47news.jp/CN/200301/CN2003010801000175.html


cf. 尖閣諸島の領有権についての基本見解 by 外務省
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/

尖閣諸島の領有をめぐる論点―日中両国の見解を中心に― by 外務省職員
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/0565.pdf
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「上場管理業務について -不適切な第三者割当の未然防止に向けて-」

2010-09-26 22:46:47 | 会社法(改正商法等)
「上場管理業務について -不適切な第三者割当の未然防止に向けて-」by 東証
http://www.tse.or.jp/about/books/jojo-kanri_wariate.html

 上場会社の第三者割当増資に関する事例集である。「不適切」の烙印を押されないように,留意しましょう。
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子会社の取締役会及び監査役会の廃止による意思決定の一元化

2010-09-26 16:12:52 | 会社法(改正商法等)
 JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社は,子会社である事業会社(日本ビクター,ケンウッド,J&Kカーエレクトロニクス)の取締役会及び監査役会を廃止し,意思決定の一元化を図るそうだ。
http://www.jk-holdings.com/press/2010/09/press_100924.pdf

 日本ビクターとケンウッドの経営統合(株式移転による持株会社の設立)後も,両社の独立性を重視し,事業会社が決議した案件を持株会社においても決定する二重構造が続いていたが,意思決定の手続に時間がかかるため,事業会社の案件についてはすべて持株会社が決定する体制に改めるという。具体的には,各事業会社における重要案件の意思決定については,各事業会社の株主総会又は持株会社の取締役会若しくは執行役員会で行われることになる。

 取締役会設置会社以外の株式会社における業務の決定は,原則として,取締役の過半数の決定(会社法第348条第2項)又は株主総会の決議(会社法第295条第1項)により行われるから,「すべて持株会社が決定する体制」にするには,次のとおりにする必要があると思われる。

① 会社法第348条第3項各号に掲げる事項(3号を除く。)についての決定は,各事業会社の株主総会が行う。
② 会社法第348条第3項各号に掲げる事項以外の事項についての決定は,定款の別段の定めによって,各事業会社の社長である取締役が行う。ただし,各事業会社の社長である取締役は,持株会社の取締役会又は執行役員会により行われる決定に従う。

 なお,本件に関する日経記事の次の解説は,ちょっと・・・。


取締役会非設置会社
 新会社法により株式を公開しない非公開会社がとれるようになった会社形態。従来の有限会社にあたる。株主総会の賛意を得て定款を変更すれば採用できる。必ずしも代表取締役を選ぶ必要がなく、各取締役はそれぞれ業務の執行にあたる。取締役の責任範囲は取締役設置会社(※ママ)と変わらない。
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自己株式を活用するTOBの条件緩和へ

2010-09-24 10:31:31 | 会社法(改正商法等)
 本日の日経朝刊によれば,経済産業省が産業活力再生特別措置法の改正により(例によって「会社法制の見直し」に先鞭を付ける形で),自己株式を活用するTOBの条件を緩和することを検討しているようだ。

 私見であるが,非上場株式についても,一定の条件を満たす場合には,セルアウト及びスクイーズアウトを認めることを検討してもよいように思われる。


(緩和策)
○ 株式を活用したTOB
 ・検査役による株式価格の評価を省略
 ・株価に関する株主総会の特別決議を不要に
 ・買収企業の役員や株主は、TOB時の株価について責任を問われない
○ 少数株主からの株式買い取り
 ・買収企業がTOBで80~90%の株式を取得した場合,残りの株主から強制的に株式を買い取ることが可能に
 ・買い取りに伴う株主総会の決議は不要

cf. 今後の企業法制の在り方に関する経済産業省の意見
http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/keizaihousei/konngonokaisyahousei.html

<案1>検査役調査・填補責任の免除
 自社株を対価とするTOBを行う場合であっても,その対価の相当性について検査役の調査をなすことを要せず,買付会社の役員や応募株主は填補責任を負わないこととする。

<案2>株式価格の変動リスクの軽減
自社株を対価とするTOBを行う場合は、株式の現物出資の際の決定事項(会社法第199 条第1項第3号)を「価額」ではなく、発行日の時価または算定式で足りるものとする。

<セルアウト制度>
 TOBの結果,買付者が対象会社の●%(例えば,2/3)の株式を取得できた場合には,TOBに応じなかった残余の株主は,買付者による公告後の一定期間内に限り,その保有する株式をTOB価格を下回らない公正な価格で買い取らせること(セルアウト)を当該買付者に対して請求できることとし,実質的にTOBへの追加応募の機会を確保する。この場合,対象会社において株主総会決議を要しない。

<スクイーズアウト制度>
 TOBの結果,買付者が▲%(例えば,5/6)の株式を取得できた場合には,当該買付者は,一定期間内に限り,TOBに応募せず,又はセルアウトをしなかった残余の株主に対して,その保有する株式をTOB価格を下回らない公正な価格で売り渡すことを請求でき,対象会社を完全子会社とすることができるものとする。この場合,対象会社において株主総会決議を要しない。
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株主総会の決議事項の拡張

2010-09-23 18:11:35 | 会社法(改正商法等)
 株式会社において,取締役の利益相反取引の承認を要する場合,取締役会設置会社にあっては取締役会,取締役会設置会社以外の株式会社にあっては株主総会が承認機関である(会社法第356条第1項第2号,第365条第1項)。

 会社法は,この点に関する別段の定めを許容する条文を置いていない。

 ところで,取締役会設置会社における株主総会の権限は,会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限られる(会社法第295条第2項)が,この場合の「定款で定めた事項」に制限はないと解されているので,会社法上取締役会の決議事項とされているものであっても,定款に定めることによって,株主総会の決議事項とすることができる。ただし,取締役会の権限を奪うことはできず,株主総会及び取締役会のいずれもが決議をすることができることになる。

 したがって,取締役会設置会社において,定款の定めをもって,取締役の利益相反取引の承認に関して,株主総会の決議事項とすることは可能である(取締役会が承認をすることもできる。)。

 というわけで,平成22年9月17日付「取締役会の決議の定足数算定の基準」において,対応策②が考えられると述べたものである。

 なお,コメント欄でみうらさんが指摘された「総株主の同意があれば」の点について,例えば譲渡制限株式の譲渡承認の場合のように純粋に株主間の問題であれば,所定の承認機関の承認がなくても「総株主の同意があれば」有効と解されているが,取締役の利益相反取引の承認に関しては,債権者の利害にも影響があるところなので,たとえ総株主の同意があっても,所定の承認機関の承認がない限り,無効である。

 ただし,急を要するのであれば,事後の承認(追認)という対応も一策である。
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架空増資

2010-09-22 10:48:31 | 会社法(改正商法等)
毎日新聞記事
http://mainichi.jp/select/today/news/20100922k0000m040072000c.html

 募集株式の発行による変更の登記においては,払込みがあったことを証する書面(商業登記法第56条第2号)を添付しなければならないが,払込金総額が一時に存在することは要しないものと取り扱われているので,少額の資金でも,払込み&払戻しを何度も繰り返して,払込金合計額が払込金総額に達すれば,当該額を基準として資本金の増加額を計上し,変更登記をすることが可能である点を悪用したものである。

 記事中の「同社の未公開株を投資家に販売」「新株の購入」という表現があちらこちらの新聞記事において散見されるが,会社法的には,もちろん不適切であり,気に障るところである。

 不正な登記の横行は,登記法改正の端緒となることが多いが,本点は,どうであろうか。
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京都府迷惑行為防止条例

2010-09-22 10:12:07 | 私の京都
 たまには,やわらかモードで。


京都府迷惑行為防止条例の一部改正について by 京都府警
http://www.pref.kyoto.jp/fukei/anzen/seitai/meibou/index.html

 改正点が改正点とはいえ,京都府警らしからぬ(?)イラストの数々。

 Yahoo!知恵袋の京都府迷惑行為防止条例に関するQ&A も面白事例が満載。
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管轄転属と「登記事務の委任」

2010-09-22 09:56:44 | 会社法(改正商法等)
管轄転属に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて by 山口地方法務局下関支局
http://houmukyoku.moj.go.jp/yamaguchi/standard/20100927simo.html

 商業・法人登記事務の集中化に関する周知文書において,「管轄転属~」という表現が散見される。しかし,これらの中には,上記のように「管轄転属」と「登記事務の委任」を混同しているものが多いようである。

 「管轄転属」は,甲登記所の管轄地の一部が乙登記所の管轄に転属したこと(商業登記事務取扱手続準則第2条第1項)である。

 これに対し,「登記事務の委任」は,商業登記法第2条の規定により一の登記所の管轄に属する事務を他の登記所に委任した場合(同準則第3条)である。

 法令上の手当てとしては,

 「管轄転属」は,「法務局及び地方法務局の支局及び出張所設置規則」(平成13年1月6日法務省令第12号)第4条別表の一部改正により行われる(行政区画に変更があったときは,管轄区域も,これに伴って変更される(同規則第5条第1項))。

 「登記事務の委任」は,登記事務委任規則(昭和24年6月1日法務府令第13号)の一部改正により行われる。

 したがって,「管轄転属」と「登記事務の委任」は,似て非なるものである。

 商業・法人登記事務の集中化は,一般に,「登記事務の委任」によって行われているのであり,両者を混同した周知文書は,適切ではない。

 なお,商業登記においては,例えば,本店移転の登記(商業登記法第51条)のように,申請が複数の管轄登記所に関わることがある。集中化後は,当然のように同一管轄として扱われているが,厳密に言えば,「登記事務の委任」による集中化後も,「管轄」は変わらないのであるから,「登記事務の委任」に対応するように,法令を整備すべきではないだろうか。
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法務省オンライン申請システムに障害が発生した場合の特別措置の変更

2010-09-22 08:35:44 | 司法書士(改正不動産登記法等)
法務省オンライン申請システムに障害が発生したことにより不動産登記及び商業・法人登記のオンライン申請の受信が完了しなかった場合の特別措置について by 法務省
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/tokubetusochitop_index.html

 平成22年10月1日から,以下の取扱いが追加される。


 「平成21年3月30日から実施している「メール仮受措置」について,メール送信後の申請情報及び添付情報の提出方法は,これまで,書面を提出していただく方法に限られておりましたが,今後は,オンラインにより提出していただく方法(いわゆる「特例方式」を含む。)につきましても,ご利用いただくことができるようになりました(作成されている申請情報や添付ファイルをご利用いただけます。)
 これに伴い,上記の方法により申請された場合には,登録免許税の軽減措置(租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第84条の5)が適用されることになります。」
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