本日の日経朝刊によれば,経済産業省が産業活力再生特別措置法の改正により(例によって「会社法制の見直し」に先鞭を付ける形で),自己株式を活用するTOBの条件を緩和することを検討しているようだ。
私見であるが,非上場株式についても,一定の条件を満たす場合には,セルアウト及びスクイーズアウトを認めることを検討してもよいように思われる。
(緩和策)
○ 株式を活用したTOB
・検査役による株式価格の評価を省略
・株価に関する株主総会の特別決議を不要に
・買収企業の役員や株主は、TOB時の株価について責任を問われない
○ 少数株主からの株式買い取り
・買収企業がTOBで80~90%の株式を取得した場合,残りの株主から強制的に株式を買い取ることが可能に
・買い取りに伴う株主総会の決議は不要
cf. 今後の企業法制の在り方に関する経済産業省の意見
http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/keizaihousei/konngonokaisyahousei.html
<案1>検査役調査・填補責任の免除
自社株を対価とするTOBを行う場合であっても,その対価の相当性について検査役の調査をなすことを要せず,買付会社の役員や応募株主は填補責任を負わないこととする。
<案2>株式価格の変動リスクの軽減
自社株を対価とするTOBを行う場合は、株式の現物出資の際の決定事項(会社法第199 条第1項第3号)を「価額」ではなく、発行日の時価または算定式で足りるものとする。
<セルアウト制度>
TOBの結果,買付者が対象会社の●%(例えば,2/3)の株式を取得できた場合には,TOBに応じなかった残余の株主は,買付者による公告後の一定期間内に限り,その保有する株式をTOB価格を下回らない公正な価格で買い取らせること(セルアウト)を当該買付者に対して請求できることとし,実質的にTOBへの追加応募の機会を確保する。この場合,対象会社において株主総会決議を要しない。
<スクイーズアウト制度>
TOBの結果,買付者が▲%(例えば,5/6)の株式を取得できた場合には,当該買付者は,一定期間内に限り,TOBに応募せず,又はセルアウトをしなかった残余の株主に対して,その保有する株式をTOB価格を下回らない公正な価格で売り渡すことを請求でき,対象会社を完全子会社とすることができるものとする。この場合,対象会社において株主総会決議を要しない。