司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

取締役会の議事録における「開催場所」の記載等

2023-08-16 13:15:05 | 会社法(改正商法等)
 旬刊商事法務2023年8月5日・15日合併号に,実務問答会社法第76回として,塚本英巨「取締役会の議事録における「開催場所」の記載等」が掲載されている。

 ポイントは,取締役会が開催された「場所」としてどこまでの内容を取締役会の議事録に記載する必要があるのか,である。

 要旨は,

・ 取締役会の開催場所は,取締役会の招集に当たり,取締役等に対して通知しなければならないと解されている(上掲96頁中段)。
※ 株主総会の開催場所と異なり,招集通知の記載事項とはされていない(会社法第299条第4項,第368条第1項参照)。

・ 開催場所が取締役会の議事録の記載事項とされている趣旨は,会議体たる取締役会が実際に開催されたことを,その場所を明記することによって明らかにする点にあると解される(上掲96頁下段)。
※ こういう考え方があるとは,知りませんでした。

・ 物理的な取締役会の開催場所を観念できない完全にバーチャルな取締役会は,会社法上,取締役会が開催されたと評価することはできないと解されている(上掲97頁中段)。開催場所として,「リモート開催」「バーチャル開催」等と議事録に記載し,物理的な開催場所を記載しないということはできない(上掲97頁下段)。
※ 会社法施行規則第101条第3項第1号

・ 取締役会事務局を含め,取締役会の出席者が,全員,本社以外の場所から出席(リモート出席)をしている場合には,会議体に出席したその構成員たる取締役のいずれかの所在場所を開催場所と記載すれば足りると考えられる(上掲97頁下段)。
※ 上記のとおり「開催場所」は招集通知に記載されるので,当該場所を記載すればよい。

・ この場合,代表取締役の住所のように公示されている場所を開催場所とする場合には,「代表取締役の自宅」等とのみ記載すれば足りるが,そのように公示されている場所以外の場所を開催場所とする場合は,開催場所の特定可能性のため,地番を含むその住所を記載すべきであると考えられる(上掲97頁下段)。
※ これは,当然であろう。

・ 出席者個人の自宅を開催場所とするような場合に,プライバシーに配慮する必要がある場合は,その特定が一定程度可能である範囲において,住所の一部を記載すれば足りると解されるが,少なくとも最小行政区画である市町村までは記載すべきであると考えられる(上掲97頁下段)。
※ この点は,どうだろうか。これを認めると,上記の「会議体たる取締役会が実際に開催されたことを,その場所を明記することによって明らかにする」という趣旨が満たされないように思われる。


 株主総会と異なり,取締役会においては,特定少数の会議体であることから,物理的な開催場所を観念できない完全にバーチャルな取締役会を許容することにしてもよいのではないか。
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深刻化する火葬場不足

2023-08-16 11:33:58 | いろいろ
テレ朝NEWS
https://news.yahoo.co.jp/articles/67c06e72b81f1922029db946c05835368982615d

 亡くなる方が年々増えていて,火葬が追い付かないようだ。

「全国の年間死亡数は、1979年は約69万人でしたが、およそ40年で2.2倍以上増え、去年は過去最多の約157万人でした。」(上掲記事)

 10年くらい前の死亡者数は,約120万人であったので,さらに増加している。

 また,その後のお墓の問題も。
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株式分割の動きが拡がる

2023-08-16 09:29:33 | 会社法(改正商法等)
NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230815/k10014162911000.html

「来年1月から個人投資家を対象にした優遇税制「NISA」が拡充されるのを前に、企業の間では、株式を分割して、投資単位あたりの金額を引き下げ、株式を買いやすくしようという動きが広がっています。」(上掲記事)

 1株あたりの投資単位は,1桁(1万円~10万円未満)くらいがちょうどいいと思われる。
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「親の認知症、実家どう備える 子が売却できる方法は」

2023-08-14 09:12:25 | 家事事件(成年後見等)
日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB075ZG0X00C23A8000000/

 このケースでは,いわゆる家族信託ではなく,「遺言+任意後見」の利用が選択されている。

「これらの手続きは、さほど難しいものではなく、遺言や任意後見に詳しい司法書士や弁護士に相談すれば対応してくれます。しかし、本当の問題は手続きそのものではなく、親にいかに理解してもらうかなのです。」(上掲記事)

「親にいかに理解してもらうか」,それが一番大事である。
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リーガルサポートの定款変更(未成年後見制度に関する事業の追加)について内閣府が変更認定

2023-08-10 10:59:03 | 法人制度
公益認定等委員会
https://www.koeki-info.go.jp/pictis-info/ptd0002!show#prepage2

 公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートが平成28年6月の定時社員総会で決議をした定款変更(未成年後見制度に関する事業の追加)について,ようやく公益認定等委員会により「公益認定の基準に適合すると認めるのが相当である」旨の答申がされ,内閣府から変更認定(公益認定法第11条第1項本文)がされたとのことである。

 私も,当時の社員総会(福岡市で開催)に現実出席しており,この度の認定については,感慨深い。

 関係された皆様,おめでとうございます。


公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律
 (変更の認定)
第11条 公益法人は、次に掲げる変更をしようとするときは、行政庁の認定を受けなければならない。ただし、内閣府令で定める軽微な変更については、この限りでない。
 一 公益目的事業を行う都道府県の区域(定款で定めるものに限る。)又は主たる事務所若しくは従たる事務所の所在場所の変更(従たる事務所の新設又は廃止を含む。)
 二 公益目的事業の種類又は内容の変更
 三 収益事業等の内容の変更
2 前項の変更の認定を受けようとする公益法人は、内閣府令で定めるところにより、変更に係る事項を記載した申請書を行政庁に提出しなければならない。
3 前項の申請書には、内閣府令で定める書類を添付しなければならない。
4 第五条及び第六条(第二号を除く。)の規定は第一項各号に掲げる変更の認定について、第八条第一号(吸収合併に伴い当該変更の認定をする場合にあっては、同条各号)の規定は同項第二号及び第三号に掲げる変更の認定について、前条の規定は同項の変更の認定をしたときについて、それぞれ準用する。
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「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023(女性版骨太の方針2023)に係る上場制度の整備等について」

2023-08-10 09:03:21 | 会社法(改正商法等)
「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023(女性版骨太の方針2023)に係る上場制度の整備等について」by 東証
https://www.jpx.co.jp/news/1020/20230728-01.html

1.女性役員の選任
・ プライム市場の上場内国会社における女性役員の選任について、以下のとおり定めるものとします。
① 2025年を目途に、女性役員を1名以上選任するよう努める。
② 2030年までに、女性役員の比率を30%以上とすることを目指す。
③ 上記の目標を達成するための行動計画の策定を推奨する。


「あわせて、個人投資家が投資しやすい環境を整備する観点から、当取引所が望ましい投資単位として規定する「5万円以上50万円未満」の水準に関して、下限「5万円以上」の水準の撤廃を行います。
 なお、当取引所は、投資単位が高い水準にある上場会社に対しては、昨年10月に投資単位の引下げに向けた株式分割の実施をお願いし、本年7月 27日までに50社において、株式分割の実施を決議いただいています。
 一方、いまだ投資単位が高い水準のままにある上場会社も見受けられることから、引き続き「50万円未満」への引下げに向けた働きかけを行っていくとともに、更なる引下げの実現に向けた実務上の課題等についても、市場関係者と検討を進めてまいります。

 なお、極端に低水準の株価へ移行することを目的とする株式分割など、流通市場に混乱をもたらす又は株主の利益の侵害をもたらすおそれのある株式分割等を行わないものとする規定については、現行制度から変更ありません。例えば、1株100円未満となることが見込まれる株式分割については、今後においても、当取引所からその理由等について慎重に確認させていただきます。」(上掲HP)
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法務大臣閣議後記者会見の概要「新たに始まる相続登記の義務化について」

2023-08-10 08:53:33 | 不動産登記法その他
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和5年8月8日(火))
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00436.html

「続けて、もうすぐお盆を迎えるに当たり、新たに始まる相続登記の義務化に関し、私からお願いがあります。
 これまでも繰り返しお伝えしているところですが、近年、「所有者不明土地」が全国に広がっていることが、公共事業や民間取引等の大きな妨げになっており、その解消が喫緊の課題です。
 その対策として、令和3年4月に、民事基本法制の総合的な見直しが行われ、令和6年4月1日には、相続した不動産につき相続登記の申請が義務化されます。
 この制度では、来年(令和6年)4月1日より前に生じた相続であっても、登記がされていなければ、義務化の対象となることから、多くの方が対象になると見込まれ、国民の皆様への影響が特に大きいものです。
 これからお盆の時期を迎え、御実家に帰省される方もいらっしゃると思いますが、この機会に、是非皆様の御実家の土地や建物の登記がどのような状況になっているのか、御確認いただけたらと思います。
 法務省としては、国民の皆様に相続登記の申請手続を進めていただくためには、まず登記の手続を身近に感じていただくことが重要と考えています。
 そこで、国民の皆様に向けた情報発信として、相続登記の申請手続を分かりやすくまとめた「登記手続ハンドブック」を法務局ホームページで公開するなどしていますので、是非御覧いただければと思います。
 法務省としては、国民の幅広い層に必要な情報が確実に届けられるよう、引き続き新制度の円滑なスタートに万全を期したいと考えております。」

cf. 所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html

相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック)
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000001_00014.html
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京都で外資系ホテルが開業ラッシュ

2023-08-09 17:23:26 | 私の京都
京都新聞記事
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1083995

 すごい勢いで増えている。特に,ヒルトンが攻勢をかけている感。河原町通三条上る(かつてのロイヤルホテルの跡)にもできるらしい。

 京都のサービス業界は,今でも人手不足といわれているが,果たして手当がつくのか。
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一般社団法人等登記規則第3条における商業登記規則の各規定の準用と読替え

2023-08-09 09:46:34 | 法人制度
 一般社団法人等登記規則第3条には,商業登記規則の数多の規定の準用規定(同条前段)と,その読替規定(同条後段)が置かれている。

 しかし,準用規定の全てについて読替規定があるわけではない。

 この点については,一般社団法人等登記規則においては,引用条項の読替えが自明のものや,事項の対応関係が明らかなものについては,それぞれ当然に読み替えられるものとされており,それ以外のものについて,読替規定が置かれているとのことである(江原健志編「一般社団・財団法人法の法人登記実務」(テイハン)239頁参照)。

 読替規定のないものの多くは,「事項の対応関係が明らかなもの」ということのようである。

 同書巻末の商業登記規則読替表では,「当然読替」と「読替規定があるもの」が明瞭に区別されているので,可能であれば,御参照を。
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民法772条による嫡出の推定を受けない子に対する父子関係に基づく扶養義務の存否を確定することを要する場合に,裁判所が父子関係の存否を審理判断することは妨げられない

2023-08-08 20:59:03 | 家事事件(成年後見等)
最高裁令和5年5月17日第2小法廷決定
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92090

【判示事項】
婚姻費用分担審判において、夫とその妻が婚姻後に出産し戸籍上夫婦の嫡出子とされている子であって民法772条による嫡出の推定を受けないものとの間の父子関係の存否を審理判断することなく、夫の上記子に対する上記父子関係に基づく扶養義務を認めた原審の判断に違法があるとされた事例

【裁判要旨】
婚姻費用分担審判において、夫とその妻が婚姻後に出産し戸籍上夫婦の嫡出子とされている子であって民法772条による嫡出の推定を受けないものとの間の父子関係の存否は訴訟において最終的に判断されるべきものであることを理由に、上記父子関係の不存在を確認する旨の判決が確定するまで夫は扶養義務を免れないとして、上記父子関係の存否を審理判断することなく、夫の上記子に対する上記父子関係に基づく扶養義務を認めた原審の判断には、違法がある。

「夫は、婚姻後に妻が出産し戸籍上夫婦の嫡出子とされている子であって民法772条による嫡出の推定を受けないもの(以下「推定を受けない嫡出子」という。)との間の父子関係について、嫡出否認の訴えによることなく、その存否を争うことができる。そして、訴訟において、財産上の紛争に関する先決問題として、上記父子関係の存否を確定することを要する場合、裁判所がこれを審理判断することは妨げられない(最高裁昭和50年(オ)第167号同年9月30日第三小法廷判決・裁判集民事116号115頁参照)。このことは、婚姻費用分担審判の手続において、夫婦が分担すべき婚姻費用に推定を受けない嫡出子の監護に要する費用が含まれるか否かを判断する前提として、推定を受けない嫡出子に対する夫の上記父子関係に基づく扶養義務の存否を確定することを要する場合であっても異なるものではなく、この場合に、裁判所が上記父子関係の存否を審理判断することは妨げられないと解される(最高裁昭和39年(ク)第114号同41年3月2日大法廷決定・民集20巻3号360頁参照)。」
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会計監査人設置会社が非設置会社に移行する場合

2023-08-07 15:14:18 | 会社法(改正商法等)
 旬刊商事法務2023年7月5日号に,実務問答会社法第75回として,内田修平「事業年度末日後に会計監査人非設置会社かつ非公開会社となった株式会社の事業報告及び注記表の記載事項」が掲載されている。

 設例は,「ある事業年度の末日時点で会計監査人設置会社かつ公開会社であった株式会社が,その後,当該事業年度に係る事業報告および計算書類の作成前に,会計監査人非設置会社かつ非公開会社となった場合」である。事業年度末日後に非公開取引等によって会社の属性に変更が生じる場合が念頭にあるようである。

 ところで,事業年度の末日時点で「大会社」であれば,その後当該事業年度に関する定時株主総会までの間に,資本金の額が5億円未満になったり,負債総額が200億円未満になったりしたとしても,翌年の定時株主総会の終結の時までは「大会社」のままであり,会計監査人非設置会社となることはできない。したがって,設例は,「大会社ではない」が大前提であるようである。

 この「大会社ではない」を前提に,設例の株式会社が会計監査人非設置会社となることができるのは,

1.監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社である場合に,監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款の定めを廃止すると共に,会計監査人を置く旨の定款の定めも廃止したとき

2.1以外の場合に,法律上の強制ではなく,任意に会計監査人を置く旨の定款の定めを設けていた株式会社が,この定めを廃止したとき

というケースである。

 上掲実務問答は,会計に関する解説が中心であるが,前提として上記に関する言及がある方がわかりやすかったのではないか。
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取締役会の書面決議と特別利害関係取締役

2023-08-07 14:26:27 | 会社法(改正商法等)
 旬刊商事法務2023年7月5日号に,実務問答会社法第75回として,内田修平「取締役会の書面決議と特別利害関係取締役」が掲載されている。

 株式会社が取締役会の書面決議を行うに当たり,決議事項について特別利害関係を有するか否かが明確でない取締役からも念のため書面による同意を得ておくべきかという問題である。

 結論としては,「念のため書面同意を得ておくことも許容される」「仮にその後当該取締役が特別利害関係を有していたことが明らかになったとしても,書面決議の適法性および効力には影響を及ぼさない」(上掲誌42頁)と述べられている。

 会議が現実に開催されておらず,特別利害関係取締役が他の取締役に不当な影響力を行使する場面が形式的にはないので,妥当であろう。

 登記実務としては,不動産登記に関して,利益相反取引を承認する取締役会のみなし決議において,このような問題が生じ得る。通常は,一見明らかであるが,グレイな場合の参考になろう。

 ところで,書面決議の提案者が特別利害関係取締役である場合については,明確な言及はないが,「特別利害関係を有する取締役が他の取締役に対して書面同意に応じるよう不当な影響力を行使すること(括弧内省略)は,会社法369条の趣旨に反し,許されない」(上掲誌42頁)とあるように,好ましいことではないであろう。現実開催の場合に議長から外す理からすれば,特別利害関係取締役が提案者となることも避けるべきであろう。
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成年後見人の報酬算定,2025年4月から運用を改善へ

2023-08-07 12:10:08 | 家事事件(成年後見等)
福祉新聞記事
https://news.yahoo.co.jp/articles/a38a016f757956d1a53d9a1e4510f124fdc58a3b

 最高裁は,

1.報告書式の変更
2.身上保護事務の評価
3.財産管理事務の評価
4.予測可能性の確保

の4点を中心に現実的にできることから運用を改善して行く方向性であるようだ。

 財産僅少次案における報酬の確保についても,問題点として取り上げられている。


cf. 成年後見制度利用促進専門家会議(第二期基本計画期間)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212875_00007.html
※ 資料5 最高裁配付資料
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京都市内のマンション,1戸あたりの面積が縮小中

2023-08-06 14:32:40 | 私の京都
京都新聞記事
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1081489

「京都市内で分譲される新築マンションの1戸当たりの面積が縮小している。地価や建材費が高騰する中、開発業者が部屋の面積を減らして分譲価格の上昇を抑えようとしているとみられる。」(上掲記事)

 マンションの価格が高騰し,庶民の手が届かなくなっていることから,面積を抑えて,価格の上昇をセーブしようとするものであるが,肝心の子育て世代には,「狭過ぎる」とやはり不人気であるという。
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消費者団体訴訟制度の愛称は「COCoLiS」(ココリス)

2023-08-06 14:26:22 | 消費者問題
消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/collective_litigation_system/about_system/cocolis/

「消費者団体訴訟制度について、消費者のみなさまにとってより身近なものになるよう、愛称を「COCoLiS」(ココリス)とし、マスコットキャラクターも設定しました。」
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